このシリーズを始めた理由 ― オルカンの「中国 約3%」から
こんにちは。シンパパ資産設計士です。20年ほど大家業と個人投資、そして細々とした事業を続けている40代のシングルファーザーです。妻を病気で亡くし、いまは4人の子どもを一人で育てています。
このページは、「中国から学ぶ資産形成シリーズ」全15話の総合ハブ(目次)です。各話への入り口をここにまとめておきますので、興味のある回から読み進めていただければと思います。
そもそも、なぜ私が「中国」をテーマに15話も書こうと思ったのか。きっかけは、保有しているeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、いわゆる「オルカン」の構成比率を眺めていたときのことでした。世界第2位の経済大国でありながら、世界株式の時価総額に占める中国の割合は約3%。人口約14億人、日本の11倍以上の国が、株式市場で測ると日本(5%前後)以下なのです。
この数字を見て、私は手が止まりました。そして思ったのです。「中国を避ける」のと「中国を理解する」のは、まったく別物ではないか、と。よく分からないから避ける、では、20年投資を続けてきた人間として、子どもたちに胸を張れない気がしました。
そこで私は中国4000年(厳密には実在が確認できるのは約3600年)の王朝交代史を学び直しました。統一と繁栄、腐敗と崩壊、分裂と再統一 ― 何度も盛衰を繰り返してきたこの国の歴史は、投資家にとって、これ以上ない教材だったのです。なお、これはあくまで個人の見解であり、中国株の売買を推奨するものではありません。中国に対する私のスタンスは一貫して、「すごい論」でも「崩壊論」でもなく、「理解して付き合う」中立的な姿勢です。
このシリーズで学べること
このシリーズは、単なる中国史の解説ではありません。4000年の王朝交代史というレンズを通して、自分の資産をどう守り、どう育てるかを考えるためのシリーズです。具体的には、次のようなことが見えてきます。
- 「永遠に強い国は存在しない」という事実。世界GDPの3分の1を占めた超大国が、わずか100年で植民地一歩手前まで転落した実例から学びます。
- 国家にもライフサイクルがあるということ。企業に成長期・成熟期・衰退期があるように、国にも興亡のサイクルがあります。中国史の王朝サイクルは、その典型例です。
- レバレッジ(借入)の光と影。中国の不動産バブルや地方政府の隠れ債務を題材に、「借り手側の複利」が味方から敵に変わる瞬間を、大家業20年の実感を交えて考えます。
- 地政学リスクの扱い方。台湾海峡、一帯一路、人民元国際化といったテーマを、感情論ではなくポートフォリオの問題として整理します。
- そして、全世界分散の合理性。盛衰を繰り返す一国の歴史を知ることで、なぜ「特定国への集中」ではなく「全世界への分散」なのかが、腑に落ちる形で理解できます。
難しい経済理論を並べるつもりはありません。あくまで、4児パパが子どもたちに語りかけるような気持ちで、歴史と数字をベースに書いています。
全15話 目次
第1話のみ公開済みです。第2話以降は順次公開していきます。公開のたびにこのハブから読めるようにしていきますので、ブックマークしておいていただけると嬉しいです。
- 第1話:オルカンの「中国 約3%」から始める ― 4000年の盛衰史を投資家として読み直す
- 第2話:中国はなぜ何度も繁栄と崩壊を繰り返すのか?(順次公開予定)
- 第3話:シルクロードと宋代経済から学ぶ「貿易立国」の本質(順次公開予定)
- 第4話:科挙制度と人材登用 ― 投資家としての「目利き」の鍛え方(順次公開予定)
- 第5話:明の海禁政策と「鎖国」のコスト(順次公開予定)
- 第6話:アヘン戦争 ― 世界一の富裕国が転落した瞬間(順次公開予定)
- 第7話:文化大革命の経済学的読み解き(順次公開予定)
- 第8話:改革開放と、日本のバブル崩壊の同時進行(順次公開予定)
- 第9話:中国不動産バブルの構造(順次公開予定)
- 第10話:地方政府融資平台と「隠れ債務」(順次公開予定)
- 第11話:人民元国際化はどこまで進むか(順次公開予定)
- 第12話:台湾海峡リスクをポートフォリオでどう扱うか(順次公開予定)
- 第13話:中国EV・半導体産業の競争力を冷静に評価する(順次公開予定)
- 第14話:日中関係200年史 ― 投資家の視点で(順次公開予定)
- 第15話:シリーズ総括 ― 4児パパの中国との付き合い方(順次公開予定)
他シリーズと合わせて読むと、見えてくるもの
私はこれまで、国や地域、テーマごとにいくつかの資産形成シリーズを書いてきました。中国シリーズは、それらと組み合わせて読むことで、より立体的に「なぜ全世界分散なのか」が見えてくる設計になっています。
- アメリカから学ぶ資産形成シリーズ:中国の”盛衰”とアメリカの”成長”を対比して読むと、オルカンの分散がぐっと腑に落ちます。4000年で何度も入れ替わってきた中国と、わずか250年で世界覇権を握ったアメリカ。両者を並べると、「いま強い国」と「これからも強い国」は別物だと実感できます。
- ロシアから学ぶ資産形成シリーズ:大国の盛衰という意味では、ソ連の成立と崩壊(わずか69年)もまた、強烈な教材です。中国とロシア、二つの大陸国家を見比べると、体制の違いが投資リスクにどう跳ね返るかが見えてきます。
- 地政学から学ぶ資産形成シリーズ:台湾海峡リスクや一帯一路といった、中国シリーズの後半で扱うテーマと直接つながります。地図の上の緊張が、ポートフォリオの上でどう意味を持つのかを考える回です。
- 年金から学ぶ資産形成シリーズ:少子高齢化と人口減少は、現在の中国が抱える大きな課題であると同時に、私たち日本人自身の足元の問題でもあります。国家の衰退局面と、自分の老後資金。両者は地続きです。
- 資産形成 統合ハブ(全シリーズの入り口):上記すべてのシリーズをまとめた総合インデックスです。「どこから読めばいいか分からない」という方は、まずここから。
このシリーズの結論
15話を貫く結論を、先にここでお伝えしておきます。それは ― 「永遠に強い国は存在しない」「国家にもライフサイクルがある」、この一点です。
中国史を丁寧に追うと、「統一→繁栄→腐敗→格差拡大→反乱→崩壊→分裂→次の統一」というサイクルが、何度も何度も繰り返されてきたことが分かります。世界GDPの約33%(1820年時点・マディソン推計)を占めた超大国でさえ、その後100年で列強の草刈り場に転落しました。そして20世紀後半、再び世界第2位まで戻ってきている。盛衰は、特定の国の特殊事情ではなく、すべての国家が逃れられない普遍的なリズムなのです。
これは中国に限った話ではありません。ローマ帝国も、大英帝国も、ソ連も、そしておそらくはアメリカも、例外ではない ― これが歴史から私が受け取ったメッセージです。「アメリカ株はもうダメ」という意味では決してありません。「100年後、200年後も今のままの相対的優位が続くとは限らない」という、ごく当たり前の事実を直視すべきだ、ということです。
では、盛衰を繰り返す国々に対して、一人の投資家として何ができるのか。私の答えは、シンプルです。サイクルのフェーズが異なる国を組み合わせて持つこと ― つまり、全世界分散です。どの一国がいま頂点にあろうと衰退局面にあろうと、世界全体を薄く広く持っておけば、特定国の崩壊が自分の資産全体を致命傷にする確率を下げられる。これが、中国4000年の歴史を学び直したうえでの、私の実務的な結論です。
もちろん、これはあくまで個人の見解です。投資はお金の話であると同時に、人生の話でもあります。最終的な判断は、ご自身のリスク許容度と価値観に照らして行ってください。
自分のポートフォリオの「中国比率」を確認する3ステップ
各話の公開を待っていただく間に、まず読者ご自身にやってみてほしいことがあります。それは、いま保有しているファンドの「国別組入比率」を実際に確認することです。オルカンの中国比率が約3%だと知っていても、自分の口座の中身を見たことがない人は意外と多いのではないでしょうか。ここでは3つのステップに分けて手順を整理します。
ステップ1:目論見書・月次レポートの「組入上位国・地域」を開く
投資信託であれば、運用会社のサイトで「月次レポート」または「マンスリーレポート」というPDFが毎月更新されています。この中に「組入上位国・地域比率」という表が必ずあります。ETFであれば同様に「ファクトシート(Fact Sheet)」に同じ情報が載っています。まずはこの一枚を見つけることがスタートです。
ステップ2:自分が保有する複数のファンドを合算してみる
オルカン1本だけを保有しているなら計算は簡単ですが、先進国株式・新興国株式・米国株式などを組み合わせている場合は、それぞれの中国組入比率に保有比率を掛けて合算する必要があります。たとえば「全世界株式70%+新興国株式30%」という組み合わせなら、それぞれの中国比率に0.7と0.3を掛けて足し合わせることで、ポートフォリオ全体としての中国比率が見えてきます。この作業をすると、想像より中国比率が高かった(あるいは低かった)ということがよくあります。
ステップ3:半年に一度は同じ確認を繰り返す
国別比率は市場の値動きや指数の定期見直し(リバランス)によって少しずつ変化します。一度確認して終わりにするのではなく、半年〜1年に一度、同じ手順で確認する習慣をつけておくと、自分がどれくらい特定の国に依存したポートフォリオになっているかを継続的に把握できます。忙しい方は「株式市場が大きく動いたニュースを見た日」を確認のきっかけにするのも一つの方法です。
主要インデックスの中国組入比率を比較する
「オルカンの中国比率は約3%」と言われても、それが高いのか低いのか、他の指数と比べてみないと実感が湧きにくいものです。時期によって数値は変動しますが、目安として代表的なインデックスの中国組入比率をまとめると、次のようになります。
| インデックス(代表的な連動商品のイメージ) | 中国組入比率の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| S&P500(米国大型株) | 約0% | 中国企業は原則含まれない。米国集中型 |
| MSCI ACWI(全世界株式・オルカン相当) | 約2〜3% | 先進国+新興国を時価総額加重で網羅。中国は数ある構成国の一つ |
| MSCI ACWI ex USA(米国除く全世界株式) | 約7〜9% | 米国を除くため、相対的に中国の存在感が増す |
| MSCI エマージング・マーケット(新興国株式) | 約25〜30% | 新興国の中では最大級の構成比率。インド・台湾・韓国等と並ぶ主要国 |
| MSCI China(中国単体) | 100% | 個別国リスクを丸ごと引き受ける形になる |
この表から分かるのは、「中国リスクをどれだけ取るか」は、実は銘柄選びではなく、どのインデックス(どの器)を選ぶかによって、すでに大枠が決まっているということです。オルカン1本であれば中国比率は自動的に数%程度に収まりますが、新興国株式ファンドを厚めに組み込むと、意識しないうちに中国への依存度が3割近くまで上がっている、ということも起こり得ます。国別比率は「気づいたら偏っていた」というケースが最も多いパターンなので、まずは自分がどの器を選んでいるかを把握することが出発点になります。
王朝ごとの世界GDPシェアをざっくり数字で見る
先ほど「世界GDPの3分の1を占めた超大国が、わずか100年で植民地一歩手前まで転落した」と書きましたが、これは清朝最盛期からアヘン戦争後にかけての推移を指しています。専門家による推計にはいくつかの説がありますが、経済史研究(アンガス・マディソン氏らの推計)でよく引用される大まかな流れを、目安として時系列で並べると次のようになります。
| 時期 | 世界GDPに占めるシェア(推計・目安) | 当時の状況 |
|---|---|---|
| 唐〜宋代(7〜13世紀頃) | 高水準(具体的な数値は諸説あり) | 科挙による人材登用、貿易・技術で先進的な経済圏を形成 |
| 清代最盛期(18世紀後半〜19世紀初頭) | 約3割前後 | 人口・農業生産力で世界最大規模。ただし対外的には海禁・鎖国的な政策も |
| アヘン戦争後〜20世紀前半 | 数%程度まで縮小 | 列強による半植民地化、内戦、混乱期が続く |
| 改革開放直後(1980年前後) | 低水準(1桁台前半) | 計画経済からの転換初期。世界経済における存在感はまだ小さい |
| 2020年代 | 約2割弱 | 世界第2位の経済大国として復権。ただし人口減少・不動産市場の調整等の課題も抱える |
この表を眺めていて私が感じるのは、シェアの「山」と「谷」の両方とも、当時の人たちにとっては「これがずっと続く」と感じられていただろう、ということです。清代最盛期の人々は没落を、アヘン戦争後の人々は復権を、それぞれ想像できていなかったはずです。投資家として学ぶべきは、いまの延長線上の未来だけを前提にしないという姿勢だと思います。
簡易シミュレーション:オルカンの中国比率が仮に上がったら、資産にどれくらい影響するか
「中国比率が今後もっと上がったらどうなるのか」という疑問に、簡単な試算で答えてみます。あくまで思考実験としての単純化した数字であり、将来の予測ではない点にご留意ください。
仮に資産1,000万円をオルカン一本で保有しており、中国組入比率が現在の約3%だとします。この場合、資産のうち中国関連部分は30万円です。ここで仮に中国株式が(ショック的な出来事によって)50%下落したとすると、ポートフォリオ全体への影響は「30万円×50%=15万円の下落」、資産全体に対する割合では約1.5%の目減りにとどまります。
一方、同じ1,000万円のポートフォリオで、仮に中国比率が10%まで上昇していた場合はどうでしょうか。中国関連部分は100万円になり、同じく50%下落したとすると「100万円×50%=50万円の下落」、資産全体では約5%の目減りとなります。同じ「中国株が半値になる」というショックでも、比率が3%か10%かで、資産全体へのダメージは1.5%と5%、実に3倍以上の差になる計算です。
| 前提 | 中国関連部分の評価額 | 中国株が50%下落した場合の資産全体への影響 |
|---|---|---|
| 資産1,000万円・中国比率3% | 30万円 | 約▲1.5%(▲15万円) |
| 資産1,000万円・中国比率10% | 100万円 | 約▲5.0%(▲50万円) |
| 資産1,000万円・中国比率100%(中国単体保有) | 1,000万円 | 約▲50.0%(▲500万円) |
この試算が示しているのは、「中国リスクをゼロにする」ことよりも「中国リスクを何%まで許容するか」を自分の中で決めておくことのほうが現実的だ、ということです。オルカンをベースに据えている限り、この比率は市場の時価総額加重で自動的に数%程度に収まります。逆に、新興国ファンドや中国関連の個別ファンドを積極的に上乗せする場合は、自分がどこまでの下落を許容できるかを、この程度の単純計算で構わないので、事前に一度手を動かして確認しておくことをおすすめします。
中国リスクにまつわる、よくある疑問Q&A
Q1. 中国株は今から個別に買い増すべきですか?
これは個別の投資判断そのものなので、この場で「買うべき」「買うべきでない」とお答えすることはできません。一般論として言えるのは、個別国・個別テーマへの上乗せは、その分だけ集中リスクを取る行為だということです。上乗せするのであれば、それが自分の資産全体の何%に相当するのかを先に計算してから判断する、という順番をおすすめします。
Q2. オルカンだけで中国リスクは十分に分散できていますか?
「中国という一つの国に集中するリスク」という意味では、オルカンの約3%という比率は、時価総額加重に基づいた一つの合理的な分散のかたちだと言えます。ただし、「中国リスクが完全にゼロになる」わけではありません。台湾情勢など地政学的な出来事は、中国関連銘柄だけでなく、サプライチェーンを通じて日本株や米国株にも影響し得ます。オルカンは国別集中リスクを下げる仕組みではありますが、地政学リスクそのものをゼロにする魔法ではない、という理解が必要です。
Q3. 新興国株式ファンドと中国個別ファンド、何が違うのですか?
新興国株式ファンド(MSCIエマージング・マーケット等に連動するもの)は、中国・インド・台湾・韓国・ブラジルなど多数の新興国に分散されており、その中で中国が最大級の比率を占めています。一方、中国個別ファンドは文字通り中国一国に100%集中する商品です。「新興国に分散したい」のか「中国という国に賭けたい」のかによって、選ぶべき商品はまったく別物になります。
Q4. 台湾有事のようなことが起きたら、オルカンはどうなりますか?
地政学的な緊張が高まった場合、株式市場全体が短期的に大きく変動する可能性は当然あります。ただし、オルカンは特定の国・地域に集中していないため、特定国が受けるダメージの影響度は、その国の組入比率に応じて限定される設計になっています。とはいえ、サプライチェーンや世界経済全体への波及を通じて、間接的な影響がまったくないとは言い切れません。この点は、地政学から学ぶ資産形成シリーズでも改めて扱う予定です。
Q5. 中国経済の先行きが不安なので、比率をもっと下げたほうがよいのでは?
「不安だから減らす」という判断基準そのものが、実はリスクだと私は考えています。不安なニュースが流れるたびに比率を調整していると、結局は値動きに振り回される投資行動になりがちです。中国に限らず、どの国についても「いま不安に感じるかどうか」ではなく、「世界の時価総額に対してどれくらいの規模の経済圏か」を基準に淡々と持ち続けるほうが、長期的には再現性のある方針になりやすいと感じています。
Q6. 子どもの教育費など、使う時期が決まっているお金でも同じ考え方でよいですか?
使う時期が決まっているお金(数年以内に取り崩す予定がある資金)は、そもそも値動きのある株式で運用すること自体を再検討したほうがよい場合があります。国別分散の話は「長期で置いておける資金をどう育てるか」という前提のうえに成り立つ話です。用途と時間軸によって置き場所を変えるという基本を、国別比率の話より先に整理しておくことをおすすめします。
投資家がやりがちな失敗パターン3つ
中国史を学び直す中で、私は「国家の盛衰」と「個人投資家の失敗パターン」には、驚くほど共通点があると感じました。歴史書に出てくる為政者たちの失敗と、個人投資家が陥りがちな失敗は、規模は違えど構造が似ています。ここでは、よくある3つの失敗パターンを整理します。
失敗パターン1:直近の好調・不調に引っ張られる「近視眼バイアス」
直近数年で成績の良かった国・資産クラスを「これからも強い」と思い込み、そこに資金を集中させてしまう失敗です。清代の繁栄期に「この繁栄が永遠に続く」と考えた為政者たちと同じ構造だと言えます。逆に、直近で不調だった国を「もう終わった」と切り捨ててしまうのも、同じバイアスの裏返しです。
失敗パターン2:自国(あるいは馴染みのある国)への過度な集中「ホームバイアス」
日本に住んでいると、日本株や日本の不動産に安心感を覚え、無意識のうちに資産が偏ってしまうことがあります。同様に、ニュースでよく見る国(近年であれば米国)にも過度に資金が集中しがちです。歴史を振り返ると、どの大国も「自分たちが中心である」という感覚が強い時期ほど、外部環境の変化への対応が遅れる傾向があったように見えます。個人の資産形成でも、慣れ親しんだ対象への集中には、意識的にブレーキをかける必要があります。
失敗パターン3:見出しレベルのニュースだけで売買判断をしてしまう
「中国不動産大手が経営危機」「台湾情勢が緊迫」といった見出しを見て、反射的にポートフォリオを組み替えてしまう失敗です。歴史上の王朝崩壊も、実際には数十年、時には百年単位の複合的な要因の積み重ねで起きています。一つのニュースだけで大局が決まることは稀です。見出しに反応する前に、「これは構造的な変化なのか、一時的な出来事なのか」を一呼吸置いて考える習慣が、長期投資では効いてくると感じています。
各話の公開を待つ間にできることチェックリスト
現時点(このハブページ更新時点)では第1話のみが公開されており、第2話以降は順次公開予定です。公開をただ待つだけでなく、この期間を使って読者ご自身でできることをチェックリストにまとめました。
- □ 自分が保有している投資信託・ETFの月次レポートを一つ開いてみる
- □ 「組入上位国・地域」の欄を見つけて、上位5か国をメモしてみる
- □ 複数のファンドを保有している場合は、中国比率を保有比率で加重平均してみる
- □ 自分の資産全体に対して、中国関連部分が何円・何%に相当するか計算してみる
- □ 「その比率が半分になったら、自分は平常心でいられるか」を一度自問してみる
- □ 第1話を読み、中国4000年史のダイジェストを頭に入れておく
特に最後の「平常心でいられるか」という問いは、数字上のリスク許容度と、実際に含み損を目にしたときの心理的な耐性がずれていないかを確認するために重要です。このズレが大きい人ほど、下落局面で慌てて売ってしまい、結果的に長期投資の恩恵を受けられなくなる傾向があると感じています。
まずは第1話から
このシリーズの土台となる考え方は、すべて第1話に詰め込みました。中国主要王朝の通史、日本との比較、投資家が学ぶべき3つの教訓、そして私自身の中国株とのスタンスまで、一気通貫でまとめています。「中国を、好きか嫌いか・すごいか終わっているか、という二択で語らない」 ― その出発点として、ぜひ第1話からお読みいただければと思います。
第1話:オルカンの「中国 約3%」から始める ― 4000年の盛衰史を投資家として読み直す
子どもたちが大人になった時、「中国とどう付き合うか」は、私の世代以上に重要なテーマになっているはずです。その時に、感情論ではなく歴史と数字をベースに考えられる大人であってほしい。そう願いながら、このシリーズを書いています。それでは、各話でお会いしましょう。


