毎朝5時起き、4人分の弁当箱と格闘した日々
私は個人事業主として20年、投資家として20年、兼業大家として20年、それぞれの顔を持ちながら4人の子どもを育てているシングルファーザーです。4人それぞれに学校生活があり、当然ながら毎朝それぞれの弁当が必要になります。妻を亡くしてから、この「4人分のお弁当」という毎朝のタスクがどれほど重いものかを痛感しました。
正直に言うと、最初の数ヶ月は本当にきつかったです。5時に起きて、4種類のおかずを考え、4つの弁当箱に彩りよく詰め、それぞれの好き嫌いに配慮し、なおかつ栄養バランスも整える。仕事の準備や不動産管理の連絡確認もある中で、この作業に毎朝1時間半近くかかっていた時期もありました。1時間半というと大した時間ではないように聞こえるかもしれませんが、これが365日続くとなると話は別です。年間で単純計算しても500時間を超えます。これは決して無視できる数字ではありません。
この記事では、私が実際に試行錯誤しながら組み立てた「4人分の弁当作りを仕組み化する方法」を、具体的な手順とともに紹介します。個人事業主として時間の価値をシビアに考えてきた立場から、そして家事を一人で回さざるを得ない現実的な制約の中から生まれた工夫です。同じように毎朝の弁当作りに疲弊している方の参考になれば嬉しく思います。
なぜ弁当作りは「時間」だけでなく「思考コスト」も奪うのか
弁当作りの負担を語るとき、多くの人は調理時間だけに注目しがちです。しかし実際に4人分を毎朝作ってみて痛感したのは、時間そのものよりも「何を作るか考える」という思考コストのほうがはるかに重いということでした。
個人事業主として仕事をしていると、日中はクライアントとのやり取りや納期管理、投資判断、賃貸物件の入居者対応など、判断すべきことが山のようにあります。人間の意思決定力には限りがあるという話はよく聞きますが、私自身、朝の段階で「今日のおかずは何にしよう」と悩むこと自体が、その日の思考力を無駄に消耗させていると感じるようになりました。
特に子どもが4人もいると、それぞれの好みが違います。子どもAは肉料理を好み、子どもBは野菜多めを好む。子どもCはとにかく量が欲しい、子どもDは彩りにうるさい。こうした個別対応を毎朝ゼロベースで考えていては、脳のリソースがいくらあっても足りません。私が最終的にたどり着いた結論は「毎朝考えることをゼロに近づける」という発想でした。これが、後述する仕組み化の出発点になっています。
仕組み化の第一歩は「メニューのローテーション化」
最初に手をつけたのは、献立を毎日ゼロから考えるのをやめることでした。具体的には、2週間分のメニューをあらかじめ固定し、それを淡々と繰り返す方式に変えました。
「毎日同じでは子どもが飽きるのでは」と心配される方も多いと思いますが、実際に4人の子どもたちに聞いてみると、大人が思うほど気にしていないケースが多いことに気づきました。むしろ「今日は何が入っているんだろう」という不確実性よりも、「今日は唐揚げの日だ」という予測可能性のほうを子どもたちは安心材料にしていた節もあります。
私が実際に採用している2週間ローテーションの骨格は次のような形です。
- 月曜:主菜は鶏肉系(唐揚げ・照り焼きなど週替わり)
- 火曜:主菜は豚肉系(生姜焼き・豚しゃぶなど)
- 水曜:主菜は魚系(鮭・さばなど)
- 木曜:主菜はひき肉系(ハンバーグ・そぼろなど)
- 金曜:主菜は前日の作り置きアレンジ、または麺類
副菜については冷凍野菜のストックと常備菜のローテーションで対応し、彩り用の卵焼きとミニトマトはほぼ固定枠にしています。この「固定枠」を作ることで、毎朝考える項目を実質的に1〜2品にまで絞り込むことができました。
週末の仕込みで平日の朝を「作業」に変える
次に重要だったのが、週末にまとめて仕込みをする習慣です。個人事業主として長年フリーランス的な働き方をしてきた経験から、私は「バッチ処理」という考え方を家事にも応用するようになりました。仕事でも、似たタスクをまとめて処理したほうが段取り替えのロスが減り、全体の生産性が上がることは経験上わかっていたからです。
具体的には、日曜の午後に2〜3時間かけて、平日5日分の主菜のベースをまとめて作ります。唐揚げの下味をつけて冷凍、ハンバーグのタネを成形して冷凍、鮭に軽く塩を振って冷凍、といった具合です。これにより平日の朝は「新しく作る」のではなく「解凍して仕上げる」という作業に変わります。この違いは非常に大きく、平日朝の調理時間は以前の半分以下、体感では30〜40分程度にまで圧縮できました。
副菜についても同様で、にんじんのきんぴら、ほうれん草のおひたし、ひじきの煮物といった作り置きを3〜4品まとめて用意し、平日はそこから取り分けるだけにしています。冷蔵で日持ちする副菜と、冷凍向きの主菜を組み合わせることで、1週間を通して食材のロスもほとんど出なくなりました。
朝のルーティンを「順番」まで固定化する
献立と仕込みの仕組み化に加えて、実際に手を動かす朝の動線そのものを固定化したことも大きな効果がありました。人間は選択肢が多いほど迷いが生じ、迷いは時間のロスに直結します。そこで私は、弁当作りの作業手順を毎朝まったく同じ順番で行うように決めました。
私が実践している朝のルーティンの流れは以下の通りです。
| 時刻の目安 | 作業内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 5:00 | 起床、ご飯を炊飯器から4つの弁当箱に盛る | 米は前夜に予約炊飯を設定済み |
| 5:05 | 冷凍しておいた主菜を電子レンジで解凍・加熱 | 4人分をまとめて一気に加熱 |
| 5:15 | 卵焼きを焼く(唯一その場で調理する工程) | フライパン1つで4人分を連続調理 |
| 5:25 | 冷蔵の作り置き副菜を盛り付け | 取り分けるだけの状態にしてある |
| 5:35 | 彩り(ミニトマト・冷凍ブロッコリーなど)を追加、蓋をする | 子どもごとの好みで微調整 |
| 5:45 | 片付け・洗い物 | ここまでで一連の作業が完結 |
この表を見てわかる通り、毎朝「その場で考えながら調理する」工程は卵焼き1つだけに絞り込んであります。それ以外はすべて解凍・盛り付け・取り分けという単純作業です。作業を単純化すればするほど、朝の頭がまだ回っていない時間帯でもミスなく進められるようになります。
子どもの成長に合わせて「本人参加」を仕組みに組み込む
4人も子どもがいると、成長段階もそれぞれ異なります。ある程度大きくなった子には、弁当作りの一部を任せることも仕組み化の一環として取り入れています。これは単に自分の負担を減らすためだけでなく、子どもの自立を促す意味でも良い効果があると感じています。
例えば、自分の弁当箱に盛り付けられた食材を自分でカバンに入れる、あるいは前夜のうちに水筒に飲み物を用意しておく、といった小さな役割を年齢に応じて割り振っています。「自分のことは自分でやる」という感覚が育つと、朝の準備全体がスムーズになりますし、私自身の作業も分散されます。
ここで気をつけているのは、兄弟間で役割や負担に差をつけすぎないことです。上の子に手伝いを集中させると不公平感が出やすいため、それぞれの発達段階に合わせて、できることを少しずつ担ってもらうようにしています。この点は家庭ごとに事情が異なると思いますので、あくまで一例として参考にしていただければと思います。
投資家・大家としての視点で「時間の価値」を考える
私は投資家として20年、兼業大家として20年活動してきました。この経験から、時間というリソースをどう配分するかについては人一倍シビアに考えるようになっています。弁当作りという毎日発生するタスクも、私の中では「投資対象」として捉えている部分があります。
仮に弁当作りの仕組み化によって朝の作業時間が1時間短縮できたとすると、年間では約365時間、営業日ベースでもおよそ240時間前後の可処分時間が生まれる計算になります。この時間を、賃貸物件の管理業務や投資判断のための情報収集、あるいは単純に子どもたちとの時間に充てることができるようになりました。仕組み化への投資は、初期段階でこそ献立表の作成や作り置き用の保存容器の購入といった手間とコストがかかりますが、中長期で見れば明確にプラスのリターンを生むものだと実感しています。
また、大家業をしていると「仕組み化して回る物件」と「毎回オーナーが個別対応しないと回らない物件」の差を痛感する場面が多くあります。管理会社との連携ルールを固定化しておいた物件は、多少のトラブルがあっても対応がスムーズです。逆にルールが曖昧な物件は、毎回一から判断が必要になり、精神的な負担も時間的な負担も大きくなります。家事もまったく同じ構造だと感じています。弁当作りというタスクも、ルールとフローを固定化しておけば、多少イレギュラーなことが起きても最低限は回るようになるのです。
それでも崩れる日はある、崩れたときのリカバリー策
ここまで仕組み化の話をしてきましたが、正直に言うと、どれだけ仕組みを整えても毎日完璧に回るわけではありません。子どもの体調不良、仕事の締め切り、想定外の来客など、朝のルーティンが崩れる要因は日常的に発生します。仕組み化とは「絶対に崩れない体制を作る」ことではなく、「崩れたときにすぐ立て直せる状態を作っておく」ことだと私は考えています。
私が用意しているリカバリー策としては、次のようなものがあります。
- 冷凍庫に「非常用」の弁当おかずセット(冷凍食品含む)を常時数日分ストックしておく
- 作り置きが尽きそうな週は、木曜あたりで在庫を確認し前倒しで買い足す
- どうしても時間がない朝は、卵焼きすら省略して市販の冷凍食品で構成する日を許容する
- 子ども自身にも「今日は簡単メニューの日」と伝え、完璧さを求めすぎない
「毎日手作りの完璧な弁当を用意しなければならない」という思い込み自体が、実は自分を追い詰める一番の要因だったと今では思います。仕組み化のゴールは美しい弁当を作ることではなく、無理なく継続できる体制を作ることです。この視点の転換ができてから、私自身の朝のストレスは大幅に減りました。
周囲の家庭の工夫からも学ぶこと
私自身の工夫だけでなく、知人からもさまざまなヒントをもらってきました。例えば、共働きで複数の子育てをしている知人家庭では、夫婦で曜日ごとに弁当担当を分けることで負担を分散していると聞きました。また別の知人からは、ひとり親家庭向けの支援制度を利用しながら家事代行サービスを一部取り入れているという話も聞いたことがあります。世帯の状況によっては、児童扶養手当をはじめとした公的な支援策が家計の助けになっているケースもあるようで、行政の窓口や自治体の子育て支援課で相談してみると、思わぬ制度に出会えることもあるそうです。
私自身は幸い、こうした制度に頼らずとも仕組み化と外部サービスの部分利用でなんとか回せていますが、家庭の状況は人それぞれです。無理に一人で抱え込まず、使える制度やサービスは積極的に情報収集することをおすすめします。
弁当作り仕組み化の効果測定と今後の改善
仕組み化を始めてから半年ほど経った時点で、改めて朝の作業時間を計測してみました。以前は平均で1時間30分ほどかかっていた弁当作りが、現在は準備から片付けまで含めても40〜50分程度に収まっています。時間にして概ね半分近くの削減です。もちろん子どもの成長や好みの変化によって献立ローテーションも定期的に見直す必要がありますが、一度仕組みの骨格を作ってしまえば、その微調整にかかる労力はごくわずかです。
今後の課題としては、成長期の子どもたちの食事量の増加に合わせて弁当箱のサイズや品数を見直すこと、また季節ごとの食材の入れ替え(夏場は傷みにくいおかず中心にするなど)をさらにルール化していくことを考えています。仕組み化は一度作って終わりではなく、継続的に微修正を加えていくプロセスだと捉えています。
よくある質問
Q1. 弁当作りの仕組み化は初期費用がかかりますか。
保存容器や小分け冷凍用のジップ袋、作り置き用のタッパーなど、多少の道具は必要になりますが、いずれも数千円程度の範囲で揃えられるものがほとんどです。特別な調理器具や高額な家電を必ずしも必要とするわけではなく、既存の冷凍庫と電子レンジがあれば十分に始められます。
Q2. 子どもが4人もいると好き嫌いへの対応が大変ではないですか。
確かに個別対応は必要ですが、主菜のベースは共通化しつつ、盛り付け段階で量や副菜を微調整するという方法で対応しています。全員分をゼロから別メニューで作るのではなく、共通の土台に個別の味付けや盛り付けで差をつけるという発想に切り替えると、負担は大きく減ります。
Q3. 仕事が忙しい個人事業主でも週末の仕込み時間を確保できますか。
私自身、週末も仕事が入ることは珍しくありませんが、2〜3時間のまとまった時間さえ確保できれば十分に平日5日分の下ごしらえは可能です。仕事のスケジュールに合わせて、土曜の午前中や日曜の夕方など、自分にとって確保しやすい時間帯を固定枠として決めてしまうのがコツだと感じています。
Q4. 仕組み化しても続かない場合はどうすればいいですか。
完璧を目指さないことが一番大切です。市販の冷凍食品や惣菜を取り入れる日があってもよいと割り切ることで、継続のハードルは大きく下がります。仕組み化は「毎日完璧にこなす」ためのものではなく、「無理なく続けられる状態」を作るための手段だと考えると、気持ちが楽になるはずです。
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