賃貸経営を20年近く続けていると、必ずぶつかるのが「この修繕、自分でやるべきか、業者に頼むべきか」という判断です。私は複数の物件を保有する大家として、また4人の子を育てるシングルファーザーとして、この判断を数えきれないほど繰り返してきました。
正直に言うと、若い頃の私は「自分でやれば経費が浮く」という発想でとにかくDIYに手を出していました。壁紙の補修も、水回りのちょっとした不調も、まずは自分で何とかしようとする。それが結果的に大きな出費や入居者トラブルにつながった経験も一度や二度ではありません。逆に、最初から業者に任せていれば防げたはずのトラブルもありました。
今回は、賃貸経営における修繕を「DIYでできるもの」と「プロに任せるべきもの」に分けて、その線引きの基準を整理します。単なる一般論ではなく、実際に物件を運用してきた実体験を交えながら、これから賃貸経営を始める方、すでに複数戸を保有していて修繕コストに悩んでいる方の判断材料になるようにまとめました。
賃貸経営でDIYとプロ依頼の線引きが必要な理由
まず前提として、賃貸経営における修繕は「自宅のDIY」とは性質がまったく異なります。自宅であれば、多少の仕上がりの粗さは自己責任で済みますし、失敗しても住むのは自分たちだけです。しかし賃貸物件の場合、修繕の相手は「入居者」という第三者であり、そこには契約関係と法的責任が発生します。
具体的には、次のような違いがあります。
まず、賃貸物件のオーナーには「使用貸借上の修繕義務」があります。民法上、賃貸人は賃借人が物件を使用収益するために必要な修繕を行う義務を負っています。これは大家の趣味の範囲で片付けられる話ではなく、法的な義務の履行だという意識が必要です。
次に、修繕の質が入居者満足度や退去率に直結します。DIYでの応急処置が原因で同じ不具合が再発すれば、入居者からのクレームが増え、最悪の場合は退去や更新拒否につながります。私が過去に運用してきた物件でも、修繕対応の質がそのまま入居者からの信頼度、ひいては空室期間の長さに跳ね返ってくることを何度も実感してきました。
さらに、修繕には「原状回復」というもう一つの論点が絡みます。退去時の原状回復トラブルは、国土交通省のガイドラインでも整理されているとおり、経年劣化・通常損耗は貸主負担、故意・過失による損耗は借主負担という切り分けが基本です。ここでDIYの仕上がりが雑だと、退去時の敷金精算や原状回復の範囲を巡って入居者との認識齟齬が生まれやすくなります。
つまり、DIYかプロ依頼かという判断は「作業ができるかどうか」だけでなく、「法的な責任」「入居者との信頼関係」「将来のトラブルリスク」まで含めて考えるべきテーマなのです。以前書いた「不動産投資の出口戦略|売却タイミングの判断基準」でも触れましたが、物件の資産価値を維持するという視点でも、修繕の質は軽視できません。
DIYで十分に対応できる修繕の具体例
とはいえ、すべてを業者任せにすると当然コストが膨らみます。私自身、修繕費用は賃貸経営における経費の中でもかなりの割合を占める項目だと実感していますので、DIYで対応できる範囲はしっかり見極めて自分で手を動かすようにしています。実際に私が自分で対応してきた修繕の代表例を挙げます。
一つ目は壁紙(クロス)の部分補修です。画鋲の穴、家具の擦れ跡、小さな汚れやカビの点補修であれば、ホームセンターで購入できる補修キットや同色クロスの端材で十分対応できます。全面張替えとなると別ですが、部分補修であれば1件あたり数千円程度の材料費で済み、業者に依頼するより大幅にコストを抑えられます。
二つ目は網戸の張替えです。網戸は経年で破れやたるみが出やすい箇所ですが、張替え自体は工具さえあれば1枚30分程度の作業です。網とゴムひもの材料費は1枚あたり数百円から千円程度で、これを業者に依頼すると出張費込みで数千円になることを考えると、複数戸を保有しているオーナーほどDIY化の恩恵が大きい部分です。
三つ目は水栓のパッキン交換です。蛇口からのポタポタとした水漏れは、多くの場合パッキンの劣化が原因です。止水栓を閉めて既存の蛇口を分解し、規格に合ったパッキンに交換するだけで直るケースがほとんどで、部品代も数百円程度です。ただし、この作業はあくまで「蛇口内部の消耗部品交換」に限った話で、配管そのものに手を入れる話ではない点は後述します。
四つ目はドアノブや丁番の調整です。建具の建て付けが悪くなる、ドアノブがガタつくといった症状は、ネジの緩みや丁番の調整で解決することが多く、ドライバー一本で対応できます。
五つ目は照明器具の交換です。既存の照明器具を取り外して新しい器具に付け替える作業自体は、配線工事を伴わない「差込プラグ型」や「引っ掛けシーリング型」の器具であればDIYで対応可能です。ここは重要なポイントで、電源コンセントやシーリングにただ差し込む・引っ掛けるだけの照明交換は資格不要ですが、配線そのものをいじる作業は次の章で説明する通り資格が必要になります。
六つ目は簡易な原状回復クリーニングです。退去後のハウスクリーニングを全面業者委託にするのではなく、水回りの水垢除去や換気扇のフィルター清掃といった軽微な部分は自分やパートナー業者と分担することで、清掃費用を圧縮できます。
これらに共通するのは、「失敗しても被害が限定的」「やり直しがきく」「法令上の資格が不要」という3条件を満たしている点です。逆に言えば、この3条件のどれか一つでも欠けるものは、次の章で説明する「プロに任せるべき修繕」に分類されます。
複数戸を保有していると、こうした軽微な修繕を自分でこなすことによる年間の節約額は決して小さくありません。私の場合、壁紙補修・網戸張替え・パッキン交換・簡易クリーニングを合わせると、物件1戸あたり年間で数千円から1万円程度の修繕費を圧縮できている感覚があります。これが数戸、十数戸とまとまれば、年間で見た場合の差額は決して無視できる金額にはなりません。ただし、これはあくまで「安全にできる範囲」を守った上での話であり、次の章で説明する領域にまで踏み込んでしまうと、この程度の節約額は一瞬で吹き飛んでしまうことも合わせて強調しておきたいと思います。
プロに任せるべき修繕と法令上のリスク
ここからが今回の記事で一番伝えたい部分です。賃貸経営において「これだけは絶対に自分でやってはいけない」という修繕があります。
最も分かりやすいのが電気工事です。電気工事士法により、一般用電気工作物の配線工事は電気工事士の資格を持つ者でなければ行うことができません。コンセントの増設、配線の延長、ブレーカー周りの作業などがこれに該当します。先ほど照明器具の話で「差込プラグ型なら交換可能」と書きましたが、配線を直接つなぎ直す作業や新規の配線工事は明確に無資格DIYが法令違反になります。漏電や火災につながるリスクもあり、絶対に手を出すべきではありません。
次に給排水管などの水回り配管工事です。パッキン交換のような消耗部品の交換は前述の通りDIY可能ですが、配管自体の交換、給水管・排水管の接続部の工事、トイレや浴室の配管の入れ替えといった作業は、水道法上の給水装置工事主任技術者などの資格が関わってくる領域や、専門知識がないと水漏れ事故に直結する領域です。水漏れは階下への被害を引き起こすと、賠償額が数十万円から百万円単位に膨らむこともあり、素人施工で対応できる範囲ではありません。
ガス工事も同様です。ガス事業法により、ガス工作物の設置や変更工事はガス事業者または登録工事事業者でなければ行うことができません。ガス機器の接続不良は一酸化炭素中毒やガス漏れ事故に直結するため、これは資格云々以前に人命に関わる領域だと認識すべきです。
屋根や外壁の防水工事も、プロに任せるべき典型例です。防水層の施工には専門知識と経験が必要で、施工不良があると雨漏りという形で数年後に問題が顕在化します。しかも雨漏りは発見が遅れやすく、発見時には野地板や躯体まで腐食が進んでいるケースもあり、被害額が大きくなりやすい領域です。
シロアリ被害や構造にかかわる工事も同様です。床下や基礎、柱・梁といった構造部材に手を入れる修繕は、建物の耐久性や耐震性に直結します。素人判断での補修は、見た目は直っても構造上の問題を見逃したまま放置してしまうリスクがあり、結果的に資産価値そのものを毀損しかねません。
これらに共通するのは、「無資格施工が法令違反になる」「失敗時の被害が甚大」「発見が遅れやすく被害が拡大しやすい」という特徴です。以前「地方物件と都市部物件どちらに投資すべきか|20年大家の比較」という記事でも触れましたが、物件の立地に関わらず、こうした構造的な修繕リスクへの向き合い方は共通しています。
付け加えると、電気工事士法違反には罰則規定もあります。無資格で電気工事を行った場合、法律上は罰金等の対象になり得る行為であり、「バレなければ大丈夫」という話ではありません。大家仲間から、知人が自己流でエアコンの配線工事を行い、後日その部屋で漏電による小火(ぼや)を出してしまったという話を聞いたことがあります。幸い大事には至らなかったものの、火災保険の調査で施工不良が指摘され、結局は多くの補修費用を自己負担することになったそうです。この話を聞いて以来、私は「資格が必要な作業かどうか怪しいと感じた時点で、それはもうプロに任せるべきサインだ」と考えるようにしています。判断に迷うこと自体が、すでに答えが出ているというのが私の実感です。
線引きの判断基準──資格・損害・保険・時間コスト
ここまで具体例を挙げてきましたが、実際に個別の修繕案件に直面したとき、どう判断すればよいか。私は次の6つの基準で線引きをしています。
一つ目は資格・法令の要否です。電気工事士法、ガス事業法、水道法など、法令で有資格者による施工が定められている作業は、そもそも選択の余地がありません。これは大前提として最優先で確認すべき基準です。
二つ目は失敗時の損害の大きさです。壁紙の補修に失敗しても被害は数千円のやり直しで済みますが、水回りの配管工事に失敗すれば階下への漏水被害、電気工事の失敗は漏電・火災という取り返しのつかない事態につながります。「失敗したときに、どこまでの範囲に、どれくらいの金額の被害が及ぶか」を必ずイメージしてから着手するかどうかを決めています。
三つ目は入居者トラブル・原状回復トラブルにつながるリスクです。DIYでの仕上がりが雑だと、入居者から「ちゃんと直っていない」というクレームにつながったり、退去時の原状回復の範囲について認識のズレが生じたりします。入居者との信頼関係を損なうリスクがある修繕は、多少コストがかかってもプロに依頼したほうが結果的に得策だと考えています。
四つ目は火災保険・施設賠償責任保険の適用可否です。これは見落とされがちですが非常に重要な観点です。DIYでの施工不良が原因で発生した事故(例えば自分で行った配線工事が原因の火災、自分で行った配管工事が原因の水漏れ)については、保険会社の調査によって「施工不良が原因」と判断されると、火災保険や施設賠償責任保険の適用対象外になり得ます。つまり、DIYで浮かせたはずの数万円の工事費が、いざというときに数百万円の保険金を受け取れないリスクとして跳ね返ってくる可能性があるということです。この視点を持っているかどうかで、修繕の判断基準はかなり変わってきます。
五つ目は修繕にかけた時間のコスト、つまり機会費用です。私は個人事業主として本業を持ちながら大家業を営んでいますので、修繕作業に何時間もかけることは、その時間で得られたはずの本業の収入や、次の投資判断のための情報収集の時間を犠牲にすることを意味します。「業者に依頼すれば1万円で済むところを、自分で半日かけて対応する」ことが本当に経済合理的かどうかは、保有戸数が増えるほどシビアに考える必要があります。
六つ目は賃貸経営の規模拡大に伴うDIY卒業のタイミングです。保有物件が1〜2戸の段階では、DIYで対応できる範囲を自分でこなすことは十分に合理的です。しかし戸数が増えてくると、自分の時間そのものが最大の制約条件になります。この基準については次の章で詳しく触れます。
この6つの基準を、実際の修繕案件に当てはめて考えてみます。例えば「洗面台のパッキン交換で数百円」と「洗面台下の配管接続工事」は、見た目には似たような作業に見えても、資格の要否、失敗時の損害額、保険の適用可否のすべてで結論が正反対になります。前者は自分で対応して問題ありませんが、後者は先述の通り私自身が痛い目を見た領域であり、業者に依頼すれば数千円から1万円程度で済むところを、自己判断で手を出すと10万円規模の出費とトラブルに発展しかねません。「材料費が数百円で済むかどうか」ではなく、「失敗したときにどこまで被害が広がるか」で判断する。この視点の転換が、私が20年かけてようやく身につけた感覚です。
20年の大家業で経験したDIYの成功と失敗
ここからは私自身の実体験です。20年近く複数物件を運用してきた中で、DIYが功を奏したケースと、失敗して痛い目を見たケースの両方があります。
成功例としては、退去が続いた時期に、壁紙の部分補修と網戸の張替え、水栓のパッキン交換をまとめて自分で対応したことがあります。当時は子どもたちがまだ手のかかる時期で、大家業に割ける時間は限られていましたが、それでも土日の数時間を使って複数戸をまとめて回ることで、業者に依頼していたら数万円かかっていたはずの費用を大きく圧縮できました。空室期間中の限られた時間を有効に使えたという意味でも、良い判断だったと思っています。
一方で、失敗例もはっきり覚えています。ある物件で洗面台下の給水管接続部から軽微な水漏れがあり、「パッキンの延長線上だろう」と自己判断で分解・再接続を試みたことがありました。結果的に接続部の締め付けが不十分で、数日後に本格的な水漏れを起こし、床材の張り替えまで必要になってしまいました。最初から水道業者に依頼していれば数千円から1万円程度で済んだ話が、床材交換や乾燥対応まで含めると10万円近い出費になり、加えて入居者への謝罪と一時的な家賃調整まで発生しました。この経験から、「パッキン交換」と「配管の接続工事」は似て非なるものであり、境界線を厳密に引かなければならないと痛感しました。
もう一つの教訓は、電気関連です。照明器具の交換自体はDIYで問題ないと分かっていながら、あるとき「ついでにコンセントの位置も動かしてしまおう」と軽い気持ちで配線に手を出しかけたことがあります。幸い作業前に電気工事士法の規定を再確認し、思いとどまって業者に依頼しましたが、もし当時の知識のまま作業していたら法令違反はもちろん、火災リスクを抱えたまま入居者に貸し出すことになっていたと思うとぞっとします。「ここまでは自分でできる」という思い込みほど危険なものはないと、この一件で強く学びました。
こうした失敗を経て、私は「迷ったらプロに聞く」を徹底するようになりました。以前「消費税の簡易課税制度の事業区分|個人事業主が間違えやすい判定」という記事でも書きましたが、専門領域の判断を自己流で済ませようとすると、後になって想定外のコストを払うことになるという構図は、税務も修繕も本質的に同じだと感じています。
もう一つ紹介したいのは、退去後のリフォームで床下点検を行った際、シロアリの被害らしき痕跡を見つけたときの話です。以前の私であれば「範囲が小さいから自分で防蟻剤を塗って様子を見よう」と考えていたかもしれません。しかし、その頃にはすでに何度かの失敗を経験していたため、迷わずシロアリ駆除の専門業者に調査を依頼しました。結果的に被害は床下の一部に留まっており、早期発見・専門業者による適切な処置のおかげで大きな工事にならずに済みました。もし自己判断で放置したり中途半端な処置で済ませていたら、数年後には土台の交換が必要になるレベルまで被害が進んでいた可能性があると、専門業者からも指摘されました。この経験は、「疑わしきは専門家に相談する」という姿勢がいかに資産価値を守るかを実感させてくれた出来事でした。
信頼できる業者ネットワークの築き方と規模拡大後のDIY卒業
保有物件が増えてくると、DIYで対応できる範囲そのものよりも「信頼できる業者をどれだけ確保できているか」のほうが賃貸経営の生産性を左右するようになります。私が20年かけて実践してきた業者ネットワークの築き方を共有します。
まず基本方針として、水回り・電気・大工仕事の3分野で、それぞれ最低2社ずつ付き合いのある業者を持つようにしています。1社しか付き合いがないと、繁忙期に対応してもらえなかったり、見積もりの妥当性を比較できなかったりするためです。複数社との関係を維持することで、緊急時の対応スピードと費用の適正さの両方を確保できます。
次に、小さな修繕から発注して「見極める」ことを意識しています。いきなり大きな工事を任せるのではなく、まずは網戸の張替えや小さな水回り修理といった軽微な案件を発注し、対応の丁寧さ、見積もりの明瞭さ、連絡のレスポンスの速さを確認してから、徐々に任せる範囲を広げていくやり方です。
また、地域の管理会社や不動産会社からの紹介も有効な手段です。長く地域で営業している管理会社は、腕の良い職人や工務店とのつながりを持っていることが多く、こちらから直接飛び込みで探すよりも質の高い業者に出会いやすいと感じています。
さらに、業者との関係を継続する中で意識しているのが「発注履歴を一覧で管理すること」です。どの業者にいつ、どんな修繕を、いくらで依頼したかを簡単な表にまとめておくことで、次に似たような修繕が発生したときの見積もり相場が把握できますし、複数戸をまとめて依頼することで、単発では得られない割引や優先対応をお願いしやすくなります。保有戸数が増えるほど、こうした「まとめ発注」の交渉力は無視できないメリットになってきます。子育てと大家業を両立する中で、電話一本でまとめて依頼できる業者を複数持っているという安心感は、時間的な余裕という意味でも精神的な余裕という意味でも、非常に大きな支えになっています。
そして規模拡大に伴うDIY卒業のタイミングについてです。保有戸数が少ないうちは自分の時間を投入するDIYが合理的でも、戸数が増えてくると、修繕対応そのものよりも「業者への発注・進捗管理・入居者対応の調整」に自分の時間を使ったほうが、全体の収益性が上がる局面が必ず訪れます。私の場合は、保有戸数が一定数を超えたあたりから、軽微な修繕であっても自分で手を動かすのではなく、あらかじめ発注先を決めておいて依頼する形にシフトしました。子育てとの両立という観点でも、修繕作業に割ける時間そのものが限られている以上、「自分の時間をどこに配分するか」を意識的に設計する必要があったからです。
この判断は、単に楽をしたいという話ではありません。本業や家庭に割く時間を確保しながら賃貸経営を長期的に続けていくためには、「自分でやるべきこと」と「任せるべきこと」を明確に線引きし、後者については信頼できるパートナーに任せる仕組みを作ることが、結果的に経営の安定性を高めることにつながると実感しています。
まとめ
賃貸経営におけるDIYとプロ依頼の線引きは、単純に「できるかどうか」ではなく、資格・法令の要否、失敗時の損害の大きさ、入居者トラブルのリスク、火災保険・施設賠償責任保険の適用可否、時間という機会費用、そして経営規模の拡大に応じた優先順位の変化という複数の観点から総合的に判断する必要があります。
壁紙の部分補修や網戸の張替え、水栓パッキンの交換、照明器具の交換(配線工事を伴わないもの)といった軽微な修繕はDIYで十分対応可能ですが、電気工事、給排水管の配管工事、ガス工事、屋根・外壁の防水工事、構造にかかわる工事は、法令上の制約と事故リスクの両面から必ずプロに任せるべき領域です。
私自身、DIYで浮かせられたコストがある一方で、自己判断が裏目に出て想定外の出費や入居者トラブルを招いた経験もあります。20年近く物件を運用してきた今の結論は、「迷ったらプロに任せる」「浮く費用より守るべきリスクを優先する」という姿勢が、長期的には賃貸経営の安定運用につながるということです。信頼できる業者ネットワークを築きながら、自分の時間と経費を最適に配分していく視点を、ぜひ皆さんの賃貸経営にも取り入れてみてください。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・投資・法律判断は専門家にご相談ください。修繕にかかる資格要件や法令の解釈、保険の適用可否については、物件の所在地域や契約内容、保険商品の約款によって異なる場合があります。実際の修繕対応や業者選定にあたっては、必ず各分野の専門家(電気工事士、ガス事業者、水道工事業者、建築士、保険会社等)にご確認のうえ、ご自身の判断と責任において実施してください。


