個人事業主として20年近く働きながら、4人の子どもをワンオペで育てていると、「仕事時間をどう確保するか」は永遠のテーマです。会社員であれば就業時間という枠が用意されていますが、個人事業主にはそれがありません。自分で時間を区切り、自分で守らなければ、仕事はいくらでも子育てに侵食されますし、逆に子育ての時間が仕事に侵食されることもあります。
この記事では、実際に4人の子育てと個人事業主としての仕事を両立させる中で確立してきたスケジュールの組み立て方について、具体的にお伝えします。
個人事業主特有の「時間の境界線のなさ」という課題
会社員であれば、出社・退社という物理的な区切りがあり、その間は仕事、それ以外はプライベートという境界線が比較的明確です。しかし個人事業主、特に自宅やそれに近い環境で働く場合、この境界線が曖昧になりがちです。
子どもが家にいる時間帯でも、パソコンが目の前にあれば「少しだけ」と仕事に手をつけてしまい、逆に仕事の時間中でも子どものことが気になって集中できない、という状態に陥りやすいのが個人事業主の落とし穴です。
私自身、この境界線の曖昧さに長年悩まされてきました。そこでたどり着いたのが、「時間帯によって役割を明確に切り替える」という考え方です。中途半端に両方を同時にこなそうとするのではなく、「この時間は仕事」「この時間は育児」と、自分の中でモードを完全に切り替えることを意識するようになってから、双方の生産性が大きく向上しました。
一日のスケジュールを「ブロック」で管理する
4人の子育てをしながら個人事業主として働く上で効果があったのが、一日を大きな「ブロック」に分けて管理する方法です。細かく分単位でスケジュールを組んでも、子どもの予定外の出来事で簡単に崩れてしまうため、あえて大きな単位で捉えるようにしています。
具体的には、朝の家事・登校準備の時間帯、子どもたちが学校や園に行っている間の集中仕事時間帯、下校後から夕食までの育児優先時間帯、子どもたちが寝静まってからの夜の仕事時間帯、という大きく4つのブロックに分けています。
このブロックごとに「その時間帯は何を最優先するか」をあらかじめ決めておくことで、その都度何をすべきか迷う時間を減らすことができます。特に集中仕事時間帯は、電話や来客対応などの割り込み業務をできる限り避け、重要度の高いクリエイティブな仕事や、集中力を要する作業をこの枠に集中させるようにしています。
子どもが在宅している時間帯の仕事はどう扱うか
学校や園が休みの日、あるいは体調不良で子どもが家にいる日は、通常の集中仕事時間帯が丸ごと使えなくなります。こうした日にどう対応するかも、個人事業主として長年試行錯誤してきたポイントです。
まず前提として、「子どもが家にいる日は仕事の生産性が下がる」ということをあらかじめ織り込んでおくことが重要です。この前提を持たずに通常と同じ仕事量をこなそうとすると、必ず無理が生じます。
我が家では、子どもが在宅する可能性が高い日(学校行事の振替休日や長期休暇など)は、あらかじめ重い仕事や締め切りの厳しい案件を入れないようにスケジュールを調整しています。逆に、比較的負荷の軽いルーティンワークや、細切れの時間でも進められるタスクをこうした日に割り振ることで、仕事を完全に止めずに済むようにしています。
長期休暇については、年間のスケジュールが見える段階で早めに把握し、繁忙期の案件と重ならないよう、事前にクライアントとのやり取りの中でスケジュール調整をお願いすることもあります。個人事業主だからこそ、自分の裁量で仕事量を調整できる柔軟性を活かすことが重要です。
「締め切り前倒し」で不測の事態に備えるバッファ管理
4人も子どもがいると、誰か一人が体調を崩す、学校からの呼び出しがある、といった予定外の出来事が発生する頻度は、子どもが一人の家庭に比べて単純計算でも高くなります。こうした不測の事態に振り回されないためには、スケジュールに常に「バッファ(余白)」を持たせておくことが欠かせません。
具体的には、実際の締め切りよりも自分の中での目標締め切りを数日早めに設定し、その間にできた余裕を、不測の事態への対応に充てられるようにしています。ギリギリのスケジュールで仕事を組んでしまうと、子どもの急な発熱一つで仕事が破綻してしまいますが、あらかじめバッファを持たせておけば、多少のイレギュラーは吸収できます。
このバッファ管理は、慣れないうちは「余裕を持ちすぎて仕事が進まないのでは」と感じるかもしれませんが、実際にはバッファがあることで精神的な余裕が生まれ、結果として仕事の質もスピードも上がるという実感があります。
「今日やること」を朝のうちに3つだけ決める
子育てと仕事を同時にこなしていると、やるべきことが次々と頭に浮かび、結局どれも中途半端になってしまうことがあります。これを防ぐために、我が家で実践しているのが、朝のうちに「今日絶対にやること」を仕事面で3つだけ決める、というシンプルな方法です。
欲張って多くのタスクを詰め込むと、達成できなかったときの精神的な負担が大きくなります。逆に3つ程度に絞ることで、たとえ育児で予定外の時間を取られても、この3つだけは死守するという意識を持ちやすくなります。
この3つのタスクは、前日の夜、あるいは当日の朝、子どもが起きる前の静かな時間に決めるようにしています。この静かな時間そのものが、一日の見通しを立てるための貴重な思考時間にもなっています。
デジタルツールとアナログの使い分け
スケジュール管理には、デジタルツール(カレンダーアプリやタスク管理アプリ)とアナログ(紙の手帳やホワイトボード)を使い分けています。仕事関連の細かいタスクやクライアントとのやり取りはデジタルで一元管理する一方、家族全体で共有すべき予定(学校行事、習い事の送迎当番など)は、リビングに置いたホワイトボードでアナログに管理しています。
これは、子どもたちも含めて家族全員が一目で予定を確認できるようにするためです。デジタルツールは便利ですが、子どもがまだ小さいうちはスマートフォンやタブレットの画面を見せるより、紙やホワイトボードのほうが直感的に理解しやすいという実感があります。
家族の予定と自分の仕事の予定を完全に分けて管理することで、それぞれの予定を確認する際に情報が混ざって混乱することも防げます。
「仕事を減らす」という選択肢も持っておく
個人事業主として長く働いていると、つい「もっと仕事を取らなければ」という発想になりがちですが、4人の子育てをしながら無理に仕事量を増やし続けると、いずれどこかで破綻します。
我が家では、繁忙期には仕事を積極的に受ける一方で、子どもの学校行事が集中する時期や、体調を崩しやすい季節の変わり目などは、あえて仕事量を絞る選択をすることもあります。個人事業主の強みは、この「増やす・減らす」を自分の裁量でコントロールできる点にあります。この柔軟性を活かさない手はありません。
収入の波を許容できるだけの生活防衛資金をあらかじめ確保しておくことも、こうした柔軟なスケジュール調整を可能にする土台になっています。仕事量を減らす判断をするためには、金銭的な備えが心理的な余裕を生むという側面も見逃せません。
まとめ
4人の子育てと個人事業主としての仕事を両立させるためには、一日を大きなブロックで管理し、子どもが在宅する日はあらかじめ生産性の低下を織り込み、締め切りにはバッファを持たせ、朝のうちにその日の最優先タスクを絞り込むといった工夫が有効です。デジタルとアナログを使い分けて家族全体のスケジュールを可視化し、必要に応じて仕事量そのものを調整する柔軟性を持つことも欠かせません。
完璧なスケジュール管理を目指すのではなく、崩れることを前提に、崩れても大きく破綻しない仕組みを作っておくことが、長期的な両立の鍵になると感じています。
免責事項
本記事は筆者個人の経験に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の働き方や時間管理法を万人に推奨するものではありません。仕事と育児の両立方法は、業種や家庭状況によって最適解が異なりますので、ご自身の状況に合わせて取り入れてください。


