はじめに:ニュースの裏側を知れば、お金の流れが見えてくる
ガソリンスタンドの表示価格、毎月の検針票、スーパーで静かに減っていくお菓子の内容量。妻を病気で亡くしてから4人の子どもをワンオペで育てている私にとって、これらの値上げは「ボディブローのように効いてくる」生活実感だ。最初は「原油が上がってるからかな」と適当に答えていたが、長男が中学の社会で「地政学」という言葉に出会ったのをきっかけに、私自身がもう一度ちゃんと学び直すことにした。学んでみて分かったのは、ガソリン価格・円安・物価のすべては、地球儀の上で起きている「人とモノとエネルギーの取り合い」の結果として動いている、ということだった。
本シリーズ「地政学で学ぶ資産形成」は全15話を通じて、私なりに噛み砕いた「ニュースの裏側」を追いかけていく。海から世界を見る勢力(シーパワー)と、陸から世界を見る勢力(ランドパワー)が500年以上ぶつかり続けている――この一つの構図を頭に入れるだけで、世界のニュースが驚くほど立体的に見えてくる。そして、これは個人の見解だが、地政学を学べば学ぶほど、最後は「特定の国や企業に賭けるのではなく、世界全体に分散しておく」という、いちばんシンプルな結論に行き着くのだ。
このページは、その全15話への入口となる総合ハブだ。シリーズの狙い、各話の目次、そして他のシリーズとの関係を一覧できるようにまとめた。お金の流れの「源流」をたどりたい方の、地図がわりになれば嬉しい。
このシリーズで学べること
「地政学」と聞くと難しそうに身構えてしまうが、このシリーズで扱うのは、結局すべて私たちの家計と資産につながる話だ。具体的には、次のようなことを一緒に学んでいく。
- シーパワーとランドパワーという、500年続く世界の基本構図
- ホルムズ海峡・マラッカ海峡などの「チョークポイント」がなぜ家計に直結するのか
- 中東情勢・宗教対立・資源争奪が、ガソリン代や物価にどう波及するのか
- 円安はなぜ起きるのか――地政学・エネルギー・金利差の連鎖
- 市場が「未来」を買う仕組みと、予測ではなく「備え」が大切な理由
- なぜ最終的にオルカン・S&P500のような世界分散が合理的に見えてくるのか
- インフレ時に現金を持ち続けるリスクと、複利の正しい味方のつけ方
これは個人の見解だが、地政学を学ぶ目的は「儲けるため」というより「振り回されないため」だと思っている。株価の急落でも、ガソリン高でも、円安でも、世界の構造を理解していれば必要以上に怯えずに済む。子育て中のシングルファーザーである私が、地球儀を眺めながらたどり着いた「お金の流れの読み方」を、できるだけ平易に共有していきたい。
全15話 目次
「地政学で学ぶ資産形成」シリーズは全15話を予定している。各話のテーマは以下の通り。
- 第1話:なぜガソリン価格は上がるのか(地政学と資産形成の入口)
- 第2話:なぜ中東は争い続けるのか(スンニ派 vs シーア派の500年)(順次公開予定)
- 第3話:マラッカ海峡と日本のシーレーン(順次公開予定)
- 第4話:ロシアのエネルギー戦略とパイプライン政治(順次公開予定)
- 第5話:中国の一帯一路とランドパワー復活戦略(順次公開予定)
- 第6話:台湾有事が世界の半導体に与える影響(順次公開予定)
- 第7話:北極海航路と温暖化が変える地政学(順次公開予定)
- 第8話:アフリカ大陸争奪戦と資源外交(順次公開予定)
- 第9話:基軸通貨ドルとペトロダラー体制の現在地(順次公開予定)
- 第10話:金(ゴールド)と中央銀行の購入動向(順次公開予定)
- 第11話:食料安全保障とウクライナ・小麦の話(順次公開予定)
- 第12話:レアアース・レアメタルと中国依存(順次公開予定)
- 第13話:宇宙・サイバー空間という新しい戦場(順次公開予定)
- 第14話:日本の安全保障と防衛関連株(順次公開予定)
- 第15話:地政学を踏まえた、シンパパ流ポートフォリオ最終解(順次公開予定)
第1話以外は順次公開していく予定だ。公開のたびにこのハブの目次も更新していくので、ブックマークしておいてもらえると追いかけやすいと思う。
他シリーズと合わせて読むと、見えてくるもの
地政学は、一つの国だけを見ていても全体像はつかめない。シーパワーとランドパワーがぶつかり合う構図のなかで、それぞれの大国がどんな地理的条件と事情を抱えているかを横断的に知ると、ニュースの解像度が一気に上がる。本シリーズと合わせて、以下の国別・テーマ別シリーズも読んでみてほしい。どの国が善でどの国が悪という話ではなく、あくまで経済への影響を考えるための整理として書いている。
- アメリカから学ぶ資産形成シリーズ ― シーパワーの覇権国。基軸通貨ドルと金融・軍事の中心として、世界経済の主導権を握り続けてきた国の構造を読み解く。
- 中国から学ぶ資産形成シリーズ ― 台湾海峡・一帯一路を軸に、海への出口を求めるランドパワーの拡張戦略を整理する。
- ロシアから学ぶ資産形成シリーズ ― 資源・不凍港・広大な内陸地帯という、ランドパワーの典型的条件を抱えた国のエネルギー戦略を学ぶ。
- 年金から学ぶ資産形成シリーズ ― 地政学リスクと物価上昇が、私たちの老後の生活設計にどう影響するのかを考える。
- 資産形成 統合ハブ(全シリーズまとめ) ― すべてのシリーズへの入口。お金の流れを体系的に学びたい方はここから。
これは個人の見解だが、複数のシリーズを行き来しながら読むと、「結局どの国も地理的な制約のなかで合理的に動いているだけ」という見方ができるようになる。特定の国や宗教への好き嫌いではなく、構造として世界を眺める。その視点こそ、感情に振り回されない資産形成の土台になると感じている。
このシリーズの結論
全15話を通して私が伝えたい結論は、実はとてもシンプルだ。地政学リスクは、誰にも正確には予測できない。ホルムズ海峡の封鎖も、台湾海峡の緊張も、資源価格の急騰も、その時期や規模を当てられる人はいない。だとすれば、私たち個人にできるのは「未来予測」ではなく「未来への備え」だけだ。
予測できないことが必ず起きると腹の底から理解したとき、自然と行き着くのが「分散」という発想だ。特定の企業や特定の国に賭けるのではなく、世界全体に幅広く投資しておく。これは個人の見解だが、それを最も低コストで実現してくれるのが、オルカン(全世界株式)やS&P500の積立投信だと私は考えている。シーパワー陣営の主要企業をまるごと保有でき、基軸通貨ドル建ての資産を自然と持つことになり、世界のチョークポイントの安全保障を担う国々の経済成長に乗ることができる。難しい地図をたどった末に、結局いちばんシンプルな答えに戻ってくる――これが、地政学を学んだ私の正直な実感だ。
もう一つ、インフレ時に現金を持ち続けるリスクにも触れておきたい。地政学リスクが高まるとエネルギー価格が上がり、それが川下に波及してあらゆるモノの値段が上がる。このとき現金だけで資産を持っていると、購買力は静かに削られていく。私は借金には基本反対派だが、株式投資における複利は100%味方だと考えている。借り手側で複利を敵に回さず、株主側で複利を味方につける。この鉄則は、地政学的リスクが高まる時代こそ、より重要になると感じている。
まずは第1話から
世界の構造を一気に理解するのは難しい。でも、入口はとても身近なところにある。「なぜガソリン価格は上がるのか」という、給油のたびに私がため息をつくシンプルな問いから、世界の喉元であるホルムズ海峡、シーパワーとランドパワーの対立、そして円安と物価高の連鎖までを一本の線でつないでいく。それが本シリーズの第1話だ。
まずはここから読み始めてほしい。第1話:なぜガソリン価格は上がるのか(地政学と資産形成の入口)。セルフスタンドの175円という表示の中に、ホルムズ海峡の波の音と、産油国の判断と、米国の金融政策と、円相場のすべてが詰まっている――その読み解き方を、4児パパの目線で一緒にたどっていこう。
※本記事は4児シングルファーザーで個人事業主・大家・個人投資家でもある私の見解です。投資・税務・法律に関する最終的な判断はご自身の責任で行ってください。特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。また、特定の国・宗教・立場を評価する意図はなく、あくまで経済への影響を考えるための整理として書いています。


