銀行の闇|4児シンパパ大家20年が語る銀行員が売る商品の正体と賢い付き合い方

投資・資産運用

📚 闇シリーズ全12記事の完全ガイドはこちら|業界をまたぐ共通構造と「正解側」記事への動線を一望できます。

  1. はじめに|「銀行=安心」という思い込みは、資産形成では足かせになります
  2. 結論|銀行と賢く付き合うための5原則
  3. 銀行のビジネスモデル|本当の商品は「お金」
  4. 低金利時代、銀行は手数料ビジネスへシフトしました
  5. 銀行員のノルマと商品ラインナップの仕組み
  6. 窓販投信の問題点|信託報酬1.5〜2%の世界
  7. 外貨建て一時払い保険の闇|「利率3%」の正体
  8. 毎月分配型投信の正体|「自分のお金が戻ってきているだけ」のケース
  9. 変額保険の問題点|「保険」と「運用」を混ぜると割高になります
  10. 住宅ローンと事業ローン|ここは銀行を「使い倒す」場面です
  11. 住宅ローンの真相|「総返済額」と「機会損失」で考えます
  12. 銀行は便利な「決済インフラ」、ネット側は強力な「資産形成インフラ」
  13. 4児シンパパならではの追加視点|「時間」「死後」「教育費」
    1. 視点1|銀行窓口に行く「時間コスト」は、シングル家庭では特に大きい
    2. 視点2|万一の「死後事務」を意識して口座を整理する
    3. 視点3|子どもの教育費こそ、低コスト運用と銀行預金の組み合わせで
  14. 銀行で「買わない」リスト|シンパパ大家版
  15. 個人事業主・大家業の視点|銀行融資との上手な付き合い方
  16. よくある質問
    1. Q1.銀行員さんは悪い人なのですか?
    2. Q2.それでも銀行窓口で投資信託を買う意味はありますか?
    3. Q3.生活防衛資金は何ヶ月分くらい銀行に置くべきですか?
    4. Q4.取引銀行は1行に絞るべきですか、それとも複数持つべきですか?
    5. Q5.退職金が入ったときに、銀行から運用提案を受けたらどうすればよいですか?
  17. まとめ|銀行は「契約相手」として、長く賢く付き合う
  18. 関連記事
  19. 免責事項

はじめに|「銀行=安心」という思い込みは、資産形成では足かせになります

私は4児のシングルファーザーで、妻を病気で亡くしてから一人で子どもたちを育てています。本業は個人事業主歴20年、副業として大家業を20年、株式投資も20年続けてきました。仕事柄、銀行とは事業ローン・住宅ローン・アパートローンと、長年にわたって「借りる側」として深く付き合ってきた立場です。

そんな私が銀行に対して持っているスタンスは、ひとつだけはっきりしています。

銀行は敵ではない。しかし味方でもない。あくまでも契約相手であり、営業相手である。

多くの方は銀行に対して、どこか「お役所」に近い印象を持っているのではないでしょうか。給料振込口座は当たり前のように銀行にあり、公共料金の引き落としも銀行を通じて行われ、住宅ローンも銀行から借ります。子どもの口座を作るのも銀行、年金の受け取りも銀行、相続が起きたときに駆け込むのも銀行です。これだけ生活インフラ化していると、つい「銀行は国の延長線上にある安心な存在」と感じてしまいます。

しかし銀行は、株式会社です。慈善事業ではありません。株主に対して利益責任を負っており、行員には営業ノルマがあります。窓口に座っている担当者は親切な公務員ではなく、ノルマを抱えた営業マンです。ここを冷静に理解した上で付き合えるかどうかで、長期の資産形成の成果は驚くほど変わってきます。

本記事では、20年大家業と20年投資を続け、銀行員が売ってくる商品をことごとくお断りしてきた4児シンパパの目線で、銀行という相手の本当の姿と、賢い付き合い方を整理していきます。実名や具体的な企業名は出しません。あくまでも仕組みの話として読んでください。

結論|銀行と賢く付き合うための5原則

本記事の結論を最初にまとめておきます。本文を読み飛ばしてここだけ持ち帰っていただいても、銀行との付き合い方は大きく改善するはずです。

  1. 銀行の本業は「安く集めて高く貸す」こと。預金者は仕入先であってお客様ではない
  2. 窓口で勧められる投資信託・保険は、銀行が儲かるから勧めているのであって、あなたが儲かるからではない
  3. 資産形成(NISA・iDeCo・低コスト投信)はネット証券、決済インフラは銀行、と役割を分ける
  4. 住宅ローン・事業ローン・不動産融資は、銀行を積極的に使って良い。むしろ最大の活用ポイント
  5. 銀行員の言葉ではなく、目論見書・約款・総返済額という「書面の数字」で判断する

この5原則を頭に入れた上で、なぜそうなのかを順番に見ていきます。

銀行のビジネスモデル|本当の商品は「お金」

多くの方が誤解しているのですが、銀行の商品は預金ではありません。銀行が販売しているのは「お金そのもの」です。安く調達して、高く貸す。この利ざやが本業の利益になります。

たとえば普通預金金利が0.001%、定期預金で0.1%の時代に、住宅ローンは1%前後、事業ローンは2〜3%、不動産投資ローンは1.5〜4%程度で貸し出されます。あなたが預けた100万円は、銀行にとっては「ほぼ無料で仕入れた商品」です。その商品を年1〜3%で貸し出すことで、銀行は利益を出しています。

つまり預金者は、銀行にとっての「お客様」というより、「仕入先」に近い存在です。仕入先として大事にされてはいますが、利益の源泉ではありません。利益の源泉は、お金を借りてくれる人、すなわち住宅ローン利用者・事業者・不動産投資家・大企業です。

この構造を理解しておくと、「なぜ銀行は預金者にだけは異常に低金利なのに、借りる側には高めの金利を提示してくるのか」がすっきり腑に落ちます。それが本業だからです。

低金利時代、銀行は手数料ビジネスへシフトしました

かつては預金金利2%、貸出金利6%という時代もありました。利ざや4%を、何十兆円という資金量で取れば、それだけで巨大な利益が出ました。ところが今は、預金0.1%・貸出1%という超低金利環境です。利ざやが極端に薄くなり、本業だけでは利益が出にくくなっています。

そこで近年の銀行が力を入れているのが、手数料ビジネスです。具体的には次のような商品群です。

  • 窓口販売の投資信託(販売手数料+信託報酬)
  • 外貨建て一時払い保険(為替手数料+保険関係費用)
  • 変額保険(運用関係費+保険関係費)
  • 毎月分配型投資信託(高めの信託報酬)
  • ATM時間外手数料・他行宛振込手数料
  • 相続関連手数料・遺言信託手数料

これらは、超低金利でも銀行がしっかり稼げる「コスト商品」です。預金者の口座残高に静かに眠っている100万円を、いかにこれらの商品に動かしてもらうか。それが現在の銀行の最大の営業テーマと言って良いと、私は20年間の付き合いを通じて感じてきました。

銀行員のノルマと商品ラインナップの仕組み

銀行員、特に窓口や個人渉外の担当者には、明確な営業ノルマがあります。新規口座開拓、投資信託の販売額、保険の販売件数、カードローンの実行件数、住宅ローンの実行額。月単位・四半期単位で数字に追われています。

ここで重要なのは、ノルマは「顧客が儲かったか」では評価されないという点です。評価されるのは、「いくら売ったか」「いくら手数料を稼いだか」です。これは銀行員個人の問題ではなく、企業として利益を上げる以上、必然的な評価体系です。

つまり窓口で出てくる「おすすめ商品」とは、銀行にとって今期売りたい商品のことです。あなたにとって最も有利な商品ではありません。低コスト商品が本当におすすめなら、わざわざ窓口担当者を介して売る必要はありません。コストが高い、すなわち銀行に手数料が落ちる商品だからこそ、人手をかけて販売しているのです。

私はこの構造を理解してから、銀行員からの提案は基本的にすべて持ち帰り、自宅でネット証券の同種商品と数字で比較するようにしてきました。比較してみると、ほぼ例外なくネット側のほうが安いという結論になります。

窓販投信の問題点|信託報酬1.5〜2%の世界

銀行窓口で勧められる投資信託の典型は、信託報酬1.5〜2%台のアクティブファンドです。中には販売手数料3%という商品も今なお存在します。一方、ネット証券で買える代表的な全世界株式インデックスは、信託報酬0.06%前後、販売手数料0%です。

数字を並べてみます。元本100万円を年5%で20年運用したと仮定して、コスト差がどれだけ最終資産を削るかを概算で見てみましょう。

  • 信託報酬0.1%の場合、20年後の評価額:約260万円
  • 信託報酬2.0%の場合、20年後の評価額:約180万円

同じ運用期間・同じ元本でも、手数料差だけで80万円前後の差が出ます。20年積み立てた場合の差はもっと開きます。これが「手数料は確定損失」と私が呼ぶ理由です。相場が上がるかは誰にも分かりませんが、手数料が引かれることだけは確実だからです。

銀行員は「人気商品です」「分配金が魅力です」「プロが運用します」と言います。しかし投資判断で重要なのは、人気でも分配金でもプロかどうかでもありません。期待リターン、リスク、そしてコストです。とりわけコストは、投資家にとってコントロールできる数少ない要素ですから、徹底的に低くするべきです。

外貨建て一時払い保険の闇|「利率3%」の正体

退職金が入った世代に、銀行窓口で必ずと言っていいほど勧められるのが、外貨建て一時払い保険です。「年利3%保証」「ドル建てで増えます」「死亡保障もついてお得です」というセールストークが定番です。

しかし、ここには複数の「見えにくいコスト」が潜んでいます。

  • 為替手数料(往復で1ドルあたり1〜2円程度かかる商品もあります)
  • 契約初期費用(数%が初期に控除される設計のものがあります)
  • 毎年の保険関係費用(運用残高に対して年1〜2%)
  • 解約控除(早期解約すると元本割れする設計が多いです)

「年利3%」というのは、これらのコストを差し引く前の数字であることがほとんどです。実質的な手取り利回りは、円換算で見ると1%前後、ときにはマイナスになることもあります。さらに為替が円高方向に振れた場合、運用がプラスでも円ベースでは元本割れする可能性があります。

私は保険は「もしものときに家族を守るための最低限」と割り切り、運用は運用、保障は保障で分けて考えるようにしてきました。4児を抱えるシンパパとしては、保障は掛け捨ての収入保障保険で必要額だけ確保し、運用部分は低コストインデックスで別途行う、というシンプルな形に落ち着いています。詳しい考え方は5つの力④守る力で家計をリスクから守る方法でもまとめています。

毎月分配型投信の正体|「自分のお金が戻ってきているだけ」のケース

毎月分配型投資信託は、いまだに根強い人気があります。毎月決まった金額が口座に振り込まれるため、年金代わりのように感じられるのが理由でしょう。

しかし分配金には2種類あります。

  • 普通分配金:運用益から支払われる分配金。本来の意味での「利益の還元」
  • 特別分配金(元本払戻金):運用益が足りないときに、自分が払った元本の一部を取り崩して返しているだけのお金

後者は税金がかからないため一見お得に見えますが、実態は「自分の貯金から自分にお小遣いを払っているだけ」です。それなのに毎月支払うための事務コスト・運用コストがかさみ、信託報酬は高めに設定されています。基準価額がじわじわと下がっていく商品の典型例です。

毎月のキャッシュフローが欲しいなら、毎月分配型投信ではなく、配当株や高配当ETFを自分で組み合わせるほうが、コストも透明性もはるかに高くなります。考え方は配当再投資の力で複利を最大化する方法にまとめてあります。

変額保険の問題点|「保険」と「運用」を混ぜると割高になります

もうひとつ、銀行窓口や提携代理店経由で勧められやすいのが、変額保険・ユニットリンクと呼ばれる商品群です。保険でありながら、保険料の一部を投資信託のような特別勘定で運用するタイプのものです。

「保障と運用が一度にできて効率的」と説明されますが、実際には次のような特徴があります。

  • 保険関係費用(数%/年)+運用関係費用(1〜2%/年)の二重コスト
  • 早期解約時の控除が大きく、10年程度は元本割れリスクが高い
  • 運用先のラインナップが限定的で、低コストインデックスがほぼ含まれていない
  • 「保障」のために、純粋な投資信託より明らかにリターンが削られる

本来、保障と運用は別々の商品で組むほうが、コストも自由度も透明性も高くなります。保障は掛け捨ての生命保険、運用は低コストインデックスファンド、というシンプルな分業が、20年投資をしてきた私の結論です。

住宅ローンと事業ローン|ここは銀行を「使い倒す」場面です

ここまで銀行員が売る商品について厳しい話を続けてきましたが、銀行を否定したいわけではありません。むしろ私は、住宅ローン・事業ローン・不動産投資ローンに関しては、銀行を最大限活用してきました。20年大家業を続けてこられたのも、銀行融資という仕組みがあったからです。

低金利の住宅ローンや事業ローンは、現代日本における数少ない「個人が使える強力なレバレッジ」です。年1%前後で数千万円を借りられる国は、世界的に見ても多くありません。これを使わない手はないと私は考えています。

銀行融資について、私が20年の経験から感じてきた本音を3つだけお伝えします。

  1. 銀行は晴れの日に傘を貸し、雨の日に取り上げる:お金に困っていない人ほど借りやすく、本当に困っている人には貸しにくいのが現実です
  2. 取引履歴は最大の信用です:給料振込・公共料金引落・定期積金など、コツコツとした取引履歴が、いざ融資を申し込んだときの判断材料になります
  3. 金利は交渉できる場面があります:他行の提示条件を持参して交渉すると、住宅ローンの優遇金利は実際に下がることがあります

つまり融資に関しては、銀行は本気で「お客様」として扱ってくれます。投資信託や保険は基本的に断り、その代わりにローンや融資の面で銀行と長く付き合う。これが私の使い分けです。

住宅ローンの真相|「総返済額」と「機会損失」で考えます

住宅ローンを組むときに見落とされがちなのが、月々の返済額ではなく総返済額です。3,500万円を1%・35年で借りた場合の総返済額は約4,150万円、利息だけで650万円ほどになります。これは決して小さい数字ではありません。

一方で、頭金を1,000万円入れて借入を減らした場合と、頭金を抑えてその1,000万円を低コストインデックスで20〜30年運用した場合では、どちらが家計に有利かは状況によって変わります。住宅ローン金利が1%、期待運用リターンが4〜5%であれば、機会損失の観点では「借入を厚めにして余剰を投資に回す」ほうが合理的になることもあります。

賃貸と持ち家のどちらが有利か、という議論も同じ枠組みで考えられます。詳しくは賃貸vs持ち家、シンパパの結論を参照してください。

銀行は便利な「決済インフラ」、ネット側は強力な「資産形成インフラ」

では、資産形成という観点ではどこを使うべきか。私の答えはシンプルです。

  • 決済・給料受取・公共料金・事業口座:従来の銀行(メガバンクや地方銀行)
  • 定期預金・普通預金(生活防衛資金):金利の高いネット銀行
  • NISA口座・iDeCo口座・特定口座:手数料の低いネット証券
  • 住宅ローン・事業ローン・不動産融資:取引のある銀行+ネット銀行を比較

具体的な金融機関名は出しませんが、店舗を持たないネット系の事業者は、人件費や店舗コストがかからないぶん、預金金利を高くし、投資信託の手数料を低くし、住宅ローンの金利を安くしやすい構造になっています。

NISAで何を選ぶか、iDeCoで何を選ぶかは別記事で詳しく書いています。投資信託の選び方|手数料で9割決まる、そしてiDeCo銘柄の決め方もあわせてご覧ください。

4児シンパパならではの追加視点|「時間」「死後」「教育費」

4児を一人で育てる立場から、銀行との付き合い方について、もう少し踏み込んだ視点を3つ補足します。

視点1|銀行窓口に行く「時間コスト」は、シングル家庭では特に大きい

シングルファーザーにとって、平日の銀行窓口に並ぶ時間は、子どもとの時間や仕事の時間を直接削ります。ネット銀行・ネット証券・スマホアプリで完結できる手続きは、できる限りそちらに寄せてしまうべきです。手数料が安いだけでなく、時間まで節約できます。

視点2|万一の「死後事務」を意識して口座を整理する

私は妻を亡くしたとき、口座の整理に思った以上の時間と手間がかかった経験があります。子どもたちのために、自分にもしものことがあった場合に備えて、口座は「決済用1〜2行」「貯蓄用1行」「投資用1社」とシンプルに絞り、エンディングノートに記録するようにしています。銀行口座をあちこちに分散させているほど、残された家族の負担は重くなります。

視点3|子どもの教育費こそ、低コスト運用と銀行預金の組み合わせで

大学進学のタイミングで使うお金は、価格変動の影響を受けたくありません。私は教育費を「使う時期から逆算して」運用と預金に振り分けています。10年以上先に使うお金はインデックス投信、5年以内に使うお金は定期預金やネット銀行の高金利普通預金、という具合です。銀行員にすすめられた学資保険ではなく、自分でコントロールできる組み合わせを選んできました。

銀行で「買わない」リスト|シンパパ大家版

私が銀行窓口で勧められても、原則として買わないと決めている商品をまとめます。あくまで私個人の方針であり、絶対の正解ではありませんが、参考にしてください。

商品カテゴリ 主な理由 代替案
窓販アクティブ投信 信託報酬1〜2%台、販売手数料も高い ネット証券の低コスト全世界株インデックス
毎月分配型投信 元本払戻金の可能性、信託報酬が高め 高配当ETF+自分で取り崩し
外貨建一時払い保険 為替手数料+保険関係費+早期解約控除 運用は外貨建ETF、保障は掛け捨て生保
変額保険・ユニットリンク 保険と運用の二重コスト 掛け捨て保険+低コスト投信を別建てに
学資保険(窓口提案分) 実質利回りが低い、流動性が低い 低コスト投信+ネット銀行定期預金の併用
仕組預金・仕組債 条件分岐が複雑、損失パターンが見えにくい 普通預金+インデックス投信
カードローン(リボ含む) 金利が事業ローン・住宅ローンより桁違いに高い 使わない。短期つなぎは事業融資枠で

逆に銀行で「使う」ものは、決済口座・住宅ローン・事業ローン・不動産投資ローン・貸金庫・相続発生後の窓口対応、といった「人が介在する価値がある場面」に絞っています。商品ではなく機能を買う、というイメージです。

個人事業主・大家業の視点|銀行融資との上手な付き合い方

個人事業主20年・大家業20年として、銀行融資について最後に少し触れておきます。

個人事業主にとって銀行は、開業初期は冷たい相手です。実績がないからです。しかし数年間の確定申告書を積み重ね、預金・売上の動きを見せていくと、徐々に融資の話が現実的になります。融資が引けるようになると、設備投資・物件取得・運転資金の選択肢が一気に広がります。

大家業については、レバレッジが効くという点で他の投資と一線を画します。自己資金300万円で2,700万円借りて3,000万円の物件を買う、といった戦略が可能なのは、銀行融資があるからです。ただし、サブリース契約や「家賃保証」をうたう仕組みには注意が必要です。詳しくはサブリースの闇で別途解説しています。

事業の経費計上・節税の考え方は、個人事業主の経費の考え方もあわせて読んでみてください。

よくある質問

Q1.銀行員さんは悪い人なのですか?

個人として悪い方ではありません。多くの方は真面目で、礼儀正しく、勉強もしています。問題は個人ではなく、組織として「手数料の高い商品を売らないと評価されない」評価体系にあります。だから個人を責めるのではなく、組織の仕組みを理解した上で、断るときは静かにきっぱり断る、という付き合い方が現実的です。

Q2.それでも銀行窓口で投資信託を買う意味はありますか?

本気で時間がない、ネット手続きが難しい、対面でじっくり相談したい、というニーズがある方には、銀行窓口にも価値があります。ただしそのコストとして、年率1〜2%の手数料を払い続けることになる、という事実は理解した上で選んでください。「対面の安心」を年1〜2%で買っている、と認識すれば、それでも納得感のある方は買えば良いと思います。

Q3.生活防衛資金は何ヶ月分くらい銀行に置くべきですか?

私は会社員の方なら生活費の6ヶ月分、個人事業主や大家業の方なら12ヶ月分を目安にしています。子どもがいる家庭はさらに余裕を持たせて良いと思います。私自身は4児を抱えているため、12〜18ヶ月分は預金で確保するようにしています。残りは低コストインデックスと不動産に振り分けています。

Q4.取引銀行は1行に絞るべきですか、それとも複数持つべきですか?

個人の家計用としては、決済1〜2行+ネット銀行1行+ネット証券1社で十分です。事業者や大家としては、メインバンクのほかに、サブの取引銀行を持っておくと融資条件の比較やリスク分散に役立ちます。

Q5.退職金が入ったときに、銀行から運用提案を受けたらどうすればよいですか?

その場で契約しないことが何より大切です。「家族と相談します」と必ず持ち帰り、最低でも1週間は寝かせます。その間にネット証券・ネット銀行で同等のリスク・リターン商品のコストを比較し、商品の目論見書・約款を一行ずつ読みます。それでも納得できれば契約する、納得できなければ断る。退職金は人生で最も狙われやすいタイミングです。守りを固めてください。

まとめ|銀行は「契約相手」として、長く賢く付き合う

銀行は敵ではありません。しかし無条件の味方でもありません。利益を追求する企業であり、行員にはノルマがあり、ノルマは顧客のリターンではなく販売金額で評価されます。この当たり前の事実を腹落ちさせるかどうかで、長期の資産形成の成果は大きく変わります。

私は20年間、銀行とは事業ローン・住宅ローン・不動産融資の場面で深く付き合い、その代わりに投資信託・保険・仕組預金のたぐいは基本的にすべてお断りしてきました。資産形成はネット証券で低コストインデックス、生活防衛資金はネット銀行の高金利普通預金、決済は従来銀行、という役割分担です。地味ですが、20年積み上げると数百万円〜数千万円単位で効いてきます。

知識のない人は、銀行員に勧められた商品を買います。知識のある人は、銀行という相手の利益構造を理解した上で、自分にとって有利な部分だけを利用します。4児シンパパとしては、後者でいてくれる読者の方が一人でも増えてほしいと願っています。

銀行員に「人気商品です」と言われたら、「総コストはいくらですか」と聞き返してください。それだけで、買わなくて良いものを買わずに済む確率がぐっと高くなります。

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免責事項

本記事は、4児シングルファーザーで個人事業主・大家・投資家として活動する筆者(シンパパ資産設計士)の個人的な経験と見解に基づく情報提供です。特定の金融機関・金融商品・保険商品の購入や売却を推奨するものではありません。投資・融資・保険・税務に関する最終的な判断は、ご自身の責任において、必要に応じて金融機関・保険会社・税理士・ファイナンシャルプランナー等の専門家に相談のうえ行ってください。記載内容は執筆時点の情報であり、制度・税制・金利・商品内容は今後変更される可能性があります。

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