こんにちは、シンパパ資産設計士です。
貯金・資産形成の始め方シリーズ第2回です。前回は、資産形成が支出管理・貯金・投資という3つの歯車で成り立っていることをお伝えしました。今回は、その一つである「貯金」について、具体的にいくら必要なのかを、目的別に逆算する方法を解説します。
- 「とりあえず貯金」から卒業する
- そもそも「必要な貯金額」を意識せずに生きられなかった理由
- 貯金を3つの目的に分けて考える
- 生活防衛資金の必要額を逆算する
- 特別費積立の必要額を逆算する
- 近い将来使う資金の必要額を逆算する
- 3つを合計した「貯金の目標額」を持つ
- 次回への橋渡し
- 貯金の目標額は、家庭ごとに異なって当然
- 貯金の必要額は、安心の「見える化」でもある
- 第2回の締めくくりに
- 貯金額の目標が、日々の判断を支える
- 貯金の逆算作業を、家族の年間行事にする
- 貯金額の逆算は「今の自分」を映す鏡
- 貯金の必要額を「一枚の表」にまとめる
- 貯金額の逆算に、家計簿アプリを活用する
- 生活防衛資金の置き場所についての考え方
- 特別費積立の見積もりを毎年更新する重要性
- 貯金の必要額を「厳密」に計算しすぎない
- 貯金額を計算する際、見落としやすい支出
- 子どもの人数が多いほど、目標額の見積もりが重要になる理由
- 複数の子どもがいる場合の特別費見積もりの精度
- 貯金の必要額を家族で共有する意義
- 目標額の見積もりは「多め」を意識する
- 目標額は「一度決めたら終わり」ではない
- まとめ
- よくある質問(FAQ)
- 関連記事
「とりあえず貯金」から卒業する
多くの人が「とりあえず貯金しておこう」という感覚で、明確な金額の根拠を持たないまま貯金を続けています。この感覚自体は悪いものではありませんが、目的も金額も定まっていない貯金は、いくら貯めれば十分なのかが分からず、いつまでも漠然とした不安が残り続けます。
貯金を「目的別」に分けて考えることで、この漠然とした不安を、具体的な数字と目標に変えることができます。前回、資産形成が支出管理・貯金・投資の3つの歯車で成り立っているとお伝えしましたが、その最初の歯車である貯金について、今回はじっくり掘り下げていきます。
そもそも「必要な貯金額」を意識せずに生きられなかった理由
個人事業主として20年活動してきた中で、貯金の必要額を意識せざるを得なかった大きな理由が、収入の不安定さでした。会社員であれば、毎月ほぼ一定額の給与が保証されていますが、事業収入は良い月と悪い月の差が大きく、貯金という「バッファー」がなければ、悪い月にすぐ生活が立ち行かなくなるリスクを常に抱えていました。この経験があったからこそ、貯金額を感覚ではなく数字で管理する重要性を、身をもって学んできました。
貯金を3つの目的に分けて考える
| 目的 | 役割 | 目安 |
|---|---|---|
| 生活防衛資金 | 収入減・急な出費への備え | 生活費の6か月〜1年分 |
| 特別費積立 | 車検・固定資産税等、予測可能な支出への備え | 年間見積もり額を月割り |
| 近い将来使う資金 | 数年以内に使う予定が決まっている資金 | 使う時期・金額から逆算 |
この3つを混同して「なんとなくの貯金額」として一括りにしてしまうと、いくら貯まれば十分なのかが見えなくなります。それぞれを別々に見積もることが、目的別に貯金額を決める第一歩です。
生活防衛資金の必要額を逆算する
生活防衛資金は、家計管理シリーズで作成した年間生活費表をもとに、月々の生活費を算出し、それに必要月数(会社員なら3〜6か月、個人事業主なら6か月〜1年)を掛け合わせることで逆算できます。
例えば月の生活費が30万円で、個人事業主として1年分を目安にする場合、必要な生活防衛資金は360万円という計算になります。この金額を、いきなり用意する必要はありません。まずは目標額を明確にし、そこに向けて段階的に積み立てていく、という進め方で十分です。
特別費積立の必要額を逆算する
特別費積立の必要額は、家計管理シリーズ第6回で紹介した通り、1年間に発生する特別費(車検・固定資産税・家電の買い替え等)の合計を見積もり、12か月で割ることで算出します。この金額を毎月コツコツ積み立てておくことで、特別費が発生する月にも家計が圧迫されずに済みます。
近い将来使う資金の必要額を逆算する
住宅購入の頭金、車の買い替え費用、子どもの進学費用など、数年以内に使う予定が決まっている資金は、「いつ・いくら必要か」から逆算して、毎月の積立額を決めます。この資金は、値動きのリスクがある投資ではなく、確実に元本が確保できる貯金で準備することが基本です。
ライフプランの作り方シリーズで紹介したライフイベント表を活用すると、こうした「近い将来使う資金」のタイミングと金額を、正確に把握しやすくなります。
3つを合計した「貯金の目標額」を持つ
生活防衛資金・特別費積立・近い将来使う資金、この3つを合計した金額が、あなたにとっての「まず確保すべき貯金の目標額」になります。この目標額を明確にすることで、「貯金がいくらあれば、余剰資金を投資に回し始めていいのか」という判断基準ができあがります。
この判断基準こそが、次回・第3回で解説する「貯金と投資のバランス」を考える上での、重要な土台になります。
次回への橋渡し
今回算出した貯金の目標額を土台に、次回はその貯金をどう資産形成全体に位置づけていくかを解説していきます。まずは今回紹介した3つの目的別の必要額を、ぜひ実際に計算してみてください。
貯金の目標額は、家庭ごとに異なって当然
今回紹介した計算方法を実際に使ってみると、家庭によって導き出される金額が大きく異なることに気づくはずです。それは当然のことであり、他の家庭の数字と比較する必要はまったくありません。自分の家庭にとっての、正しい目標額を見つけることだけに集中してください。
貯金の必要額は、安心の「見える化」でもある
数字として明確な目標額を持てるようになると、それだけで漠然とした将来への不安が和らぎます。今回紹介した逆算の作業を、ぜひ実際に手を動かして行ってみてください。
第2回の締めくくりに
貯金の必要額を目的別に逆算する方法を紹介してきました。次回は、こうして確保した貯金を、資産形成全体の中でどう位置づけるか、守りと攻めという視点からさらに掘り下げていきます。
貯金額の目標が、日々の判断を支える
明確な目標額を持っていると、日々の小さな支出の判断にも良い影響が出ます。「この出費は、目標達成を先延ばしにする価値があるものか」という基準で考えられるようになり、衝動的な支出を自然と抑えられるようになります。
貯金の逆算作業を、家族の年間行事にする
この貯金額の逆算作業を、年に一度、家族の年間行事として位置づけてしまうのも一つの工夫です。確定申告の時期や、年度の変わり目など、すでに存在する節目のタイミングに合わせて実施することで、忘れずに継続できるようになります。
貯金額の逆算は「今の自分」を映す鏡
今回紹介した逆算の作業を実際にやってみると、自分の家計の弱点や、意外と見落としていた支出項目に気づくことがあります。貯金の必要額を計算する作業は、単なる数字合わせではなく、自分の家計を客観的に見つめ直す、貴重な機会でもあります。
貯金の必要額を「一枚の表」にまとめる
3つの目的別に算出した必要額は、バラバラにメモしておくのではなく、一枚の表にまとめておくことをおすすめします。「生活防衛資金:360万円」「特別費積立:年間65万円(月割り5.4万円)」「近い将来使う資金:住宅頭金300万円(5年後)」というように一覧化しておくと、全体の進捗を一目で把握できるようになります。
貯金額の逆算に、家計簿アプリを活用する
マネーフォワードME活用シリーズで紹介した通り、家計簿アプリを使えば、過去の支出データから月々の生活費を自動的に集計できます。この実績データをもとに、今回紹介した逆算の計算を行うことで、感覚に頼らない、精度の高い貯金の必要額を算出できます。まだアプリを導入していない方は、このタイミングで連携を始めてみることをおすすめします。
生活防衛資金の置き場所についての考え方
生活防衛資金は、いつでも引き出せる流動性の高い形で保有しておく必要があります。定期預金のように解約に手間がかかる商品や、値動きのある投資商品に置いてしまうと、本当に必要なタイミングで、すぐに使えない可能性があります。普通預金、あるいは即日〜数日で引き出せるネット銀行の口座に置いておくのが基本です。
特別費積立の見積もりを毎年更新する重要性
特別費の内容は、年数が経つにつれて変化していきます。車を買い替えれば車検のタイミングも変わりますし、家電の寿命が近づけば、新たな特別費として計上する必要が出てきます。家計管理シリーズで紹介した通り、年に一度、特別費の見積もりを最新の状態に更新することで、貯金の必要額そのものの精度も、年々高まっていきます。
貯金の必要額を「厳密」に計算しすぎない
目的別に貯金額を逆算する作業を紹介してきましたが、最初から完璧な精度を求める必要はありません。多少のズレがあっても、大まかな目標額さえ持てていれば、日々の貯蓄行動への迷いはかなり減ります。細部の数字にこだわりすぎて計算作業そのものが億劫になり、結局着手できないという事態のほうが、よほど避けるべきリスクです。まずはざっくりとした概算で構わないので、一度数字を出してみることを優先してください。
貯金額を計算する際、見落としやすい支出
生活防衛資金や特別費の必要額を計算する際、見落とされやすいのが、普段は意識していない小さな固定費の積み重ねです。サブスクリプションサービスや、年払いの会費など、月々の家計簿には表れにくい支出も、年間で見ると意外な金額になっていることがあります。家計管理シリーズ第4回で紹介した固定費の洗い出し作業を、貯金額の計算前にもう一度行っておくと、より精度の高い見積もりができます。
子どもの人数が多いほど、目標額の見積もりが重要になる理由
4人の子どもを育てていると、進級・進学・部活動の遠征といったイベントが、他の家庭より頻繁に発生します。この頻度の高さゆえに、特別費の見積もりを甘くしてしまうと、想定外の出費に何度も直面することになります。ライフプランの作り方シリーズで紹介したライフイベント表を活用し、子ども別にイベントと概算費用を一覧化しておくことで、より現実的な貯金の目標額を設定できます。
複数の子どもがいる場合の特別費見積もりの精度
4人の子どもがいると、それぞれの進学・部活動・習い事のタイミングが異なるため、特別費の見積もりも一人分ずつ丁寧に積み上げる必要があります。子ども別にイベントと概算費用を一覧化しておく方法は、ライフプランの作り方シリーズ第3回で紹介したライフイベント表と組み合わせることで、より高い精度を実現できます。
貯金の必要額を家族で共有する意義
貯金の必要額を算出できたら、可能であれば家族とも共有しておくことをおすすめします。金額の詳細まで開示する必要はありませんが、「これくらいの金額を目標に貯めている」という大きな方向性を共有しておくだけでも、家計全体としての一体感が生まれます。子どもが成長してからは、家庭の金銭感覚を伝える教材としても活用できます。
目標額の見積もりは「多め」を意識する
貯金の目標額を計算する際、ぎりぎりの金額で見積もると、想定外の事態が起きたときに対応しきれなくなります。生活防衛資金であれば、算出した金額に対して1〜2割程度の余裕を持たせておくと、より安心して運用できます。完璧な精度を求めるより、多少の余裕を持たせた「実用的な見積もり」を目指すことをおすすめします。
目標額は「一度決めたら終わり」ではない
今回紹介した3つの目的別の必要額は、家族構成や収入、ライフステージの変化に応じて、その都度見直す必要があります。子どもが増えれば生活防衛資金の目安も変わりますし、住宅を購入すれば特別費の内容も変わります。年に一度、家計管理シリーズで紹介した年間振り返りのタイミングで、この貯金の目標額もあわせて見直す習慣をつけておくことをおすすめします。
まとめ
- 貯金は「生活防衛資金」「特別費積立」「近い将来使う資金」の3つの目的に分けて考える
- 生活防衛資金は月の生活費×必要月数(会社員3〜6か月・個人事業主6か月〜1年)で逆算する
- 特別費積立は年間見積もり額を12か月で割って算出する
- 近い将来使う資金は、使う時期・金額から逆算し、貯金で確実に準備する
次回は、こうして確保した貯金を土台に、資産形成における「守り」の貯金と「攻め」の投資のバランスをどう考えるかを解説します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 生活防衛資金と特別費積立は、同じ口座で管理してもいいですか?
できれば分けて管理することをおすすめします。同じ口座だと、特別費に使うつもりだったお金を生活防衛資金として誤って計上してしまうなど、混同が起きやすくなります。
Q2. 目標額に届くまで、投資を始めてはいけませんか?
必ずしもそうではありません。目標額の半分程度が確保できた段階で、少額から投資を並行して始めるという進め方も可能です。焦らず、自分の状況に合わせて判断してください。
Q3. 収入が不安定な場合、生活防衛資金は多めに持つべきですか?
はい。個人事業主やフリーランスのように収入の変動が大きい場合は、会社員より手厚く、生活費の6か月〜1年分を目安に確保しておくことをおすすめします。
Q4. 貯金の目標額を計算するのが難しく感じます。どうすればいいですか?
まずは家計管理シリーズで紹介した年間生活費表を作成することから始めてください。この表があれば、今回紹介した3つの目的別の必要額も、比較的スムーズに算出できます。
Q5. 目標額に届いた後は、何をすればいいですか?
目標額に届いた後の余剰資金は、投資に回すことを検討してください。この判断基準については、次回・第3回で詳しく解説します。
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シンパパ資産設計士
4児を育てるシングルファーザー/個人事業主20年/投資家20年/兼業大家20年
📝 noteでも毎日発信中
投資20年の失敗談・シングルファーザーのリアルな日常・お金の本音——ブログでは書きにくいことをnoteに書いています。


