セルフメディケーション税制、医療費控除と併用できない理由と使い分け方

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確定申告の時期になると、毎年悩むのが医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらを使うべきかという判断です。個人事業主として20年近く確定申告を続けてきましたが、この2つの制度は「併用できない」というルールがあるため、毎年どちらか一方を選ばなければなりません。4人の子を育てる中で、市販薬を買う機会も、病院にかかる機会も一定数あり、どちらの制度を使うのが世帯にとって有利なのか、毎年レシートと向き合いながら試算するのが年度末の恒例作業になっています。この記事では、個人事業主として実際に両制度を使い分けてきた経験から、それぞれの仕組みと選び方のポイントを整理してお伝えします。

セルフメディケーション税制とは何か

セルフメディケーション税制は、健康の維持増進および疾病の予防への取り組みとして一定の取り組みを行っている人が、対象となる医薬品(スイッチOTC医薬品と呼ばれる、医療用から市販薬に転用された医薬品など)を購入した場合に、その購入費用のうち一定額を超える部分について所得控除を受けられる制度です。

具体的には、年間の対象医薬品の購入費用が12,000円を超えた場合、その超えた部分について、88,000円を上限として所得控除を受けることができます。対象となる医薬品には、パッケージに識別マークが表示されているものが多く、ドラッグストアなどでレシートを見ると対象品目かどうかがわかるようになっています。

この制度を利用するためには、健康診断や予防接種、がん検診など、一定の「健康の保持増進及び疾病の予防への取組」を行っていることが要件になっています。私は毎年の事業主健診(人間ドックや定期健康診断)を受けているため、この要件は自然と満たしている状態が続いています。ただし、この取組を証明する書類(健診の結果通知書など)は確定申告の際に必要になるため、毎年きちんと保管しておくようにしています。

個人事業主は会社員と違い、健康診断を受けるかどうかも自分次第です。会社員時代であれば会社が定期健診の機会を用意してくれますが、個人事業主になると、自分で人間ドックや健診を予約し、費用も自己負担で受けることになります。私は事業を始めた当初、健診を受ける習慣がおろそかになりがちでしたが、この制度の存在を知ってからは「健診を受けていないとセルフメディケーション税制の要件を満たせない」という意識も後押しになり、毎年欠かさず健診を受けるようになりました。健康管理と節税の両方を意識できるという意味で、この制度は個人事業主にとって一定の意義があると感じています。

対象となる医薬品の範囲は年によって見直されることがあり、厚生労働省が公表しているリストや、購入時のレシートに記載される識別マークで確認するのが確実です。私はドラッグストアで買い物をする際、レシートに識別マークが印字されているかを毎回チェックする癖がついています。最初のうちは煩わしく感じましたが、慣れてしまえば数秒で確認できる作業です。

医療費控除とは何か——より広い範囲をカバーする制度

一方の医療費控除は、より古くからある制度で、1年間に支払った医療費が一定額(原則として10万円、総所得金額等が200万円未満の場合はその5%)を超えた場合に、その超えた部分について所得控除を受けられる仕組みです。控除の対象となる範囲はセルフメディケーション税制よりもはるかに広く、病院での診察費、治療費、入院費、通院のための交通費、処方薬の購入費用などが含まれます。

控除の上限額も、セルフメディケーション税制が88,000円であるのに対し、医療費控除は200万円まで控除できるため、大きな手術や入院があった年、あるいは家族全員の医療費を合算した結果が大きくなる年は、医療費控除のほうが有利になるケースがほとんどです。

私の場合、事業主として国民健康保険に加入しているため、病院にかかった際の窓口負担も、会社員として社会保険に加入している場合と比べて意識する場面が多くあります。子どもたちの通院や、私自身の定期的な検診費用など、家族全体の医療費を1年分集計してみると、思った以上の金額になっていることに毎年驚かされます。

医療費控除の対象範囲は思っている以上に広く、歯科治療(保険適用外の治療でも一定の条件を満たせば対象になることがあります)、眼鏡やコンタクトレンズの購入費用(治療を目的とした場合に限る)、あん摩マッサージ指圧師などによる施術費用なども含まれることがあります。私は毎年、確定申告の準備をする中で「これも対象になるのか」と新しい発見をすることがあり、対象範囲の広さを実感しています。逆に、美容目的の施術や、予防目的のサプリメントの購入費用などは対象外となるため、その線引きを毎年確認する必要があります。

併用できない理由——制度趣旨の違いと「二重の恩恵」を避けるため

セルフメディケーション税制と医療費控除が併用できない最大の理由は、どちらも「医療費に関する自己負担を軽減するための所得控除」という同じ目的の制度であり、同じ支出に対して二重に控除を受けることを防ぐためだと理解しています。セルフメディケーション税制は、もともと「軽度な症状であれば病院に行かず、市販薬で自分自身の健康管理をする人を後押しする」という政策目的で作られた制度です。医療費控除を補完する位置づけというより、医療費控除の代替として選択できる制度という設計になっています。

そのため、確定申告書には「医療費控除の明細書」と「セルフメディケーション税制の明細書」のどちらか一方を選んで添付する形になっており、両方を同時に適用することはできません。私が最初にこの制度を知ったとき、「市販薬の購入額と病院の医療費、両方を積み上げれば控除額がもっと大きくなるのでは」と考えたことがありましたが、制度上そもそもそういう仕組みにはなっていないと知り、少し拍子抜けした記憶があります。

なお、どちらの制度を選ぶかは年ごとに切り替えることが可能です。今年は医療費控除、来年はセルフメディケーション税制、というように、その年の支出状況に応じて有利なほうを選択できます。この柔軟性がある一方で、毎年両方の金額を試算しなければ、どちらが有利かを正確に判断できないという手間も生じます。

制度設計の背景には、国全体の医療費抑制という政策的な狙いもあると理解しています。軽度な症状であれば市販薬で対応し、病院への通院を減らすことができれば、医療保険財政全体の負担軽減にもつながるという考え方です。個人事業主として国民健康保険料を負担している立場からすると、こうした制度趣旨を理解した上で、自分の健康管理のスタイルに合わせてどちらの制度を活用するかを選ぶ、という視点を持つようにしています。単に「控除額が大きいほうを選ぶ」だけでなく、日頃の健康管理のあり方そのものを見直すきっかけにもなっていると感じています。

私の使い分けの判断基準

長年この2つの制度を使い分けてきた経験から、私なりの判断基準をご紹介します。まず、年間の医療費(病院での診療費、処方薬代、通院交通費など)を合計し、その金額が10万円(または総所得金額等の5%)を大きく超えている年は、迷わず医療費控除を選択します。控除の上限が200万円と大きく、実際の支出額に近い金額を控除できるためです。

一方、大きな病院にかかることがなく、市販薬の購入だけで健康管理をしていた年は、セルフメディケーション税制を試算します。ただし、この制度は控除の上限が88,000円と低く、また「12,000円を超えた部分」しか控除対象にならないため、市販薬の年間購入額がよほど多くない限り、控除額自体はそれほど大きくならないというのが実感です。

私の家庭では、4人の子を育てている関係で、風邪薬や解熱剤、絆創膏や消毒液といった市販薬・衛生用品を購入する機会が比較的多くあります。それでも、年間の対象医薬品購入額が数万円程度にとどまることが多く、セルフメディケーション税制を使った場合の控除額は、医療費控除を使った場合と比べて小さくなる年がほとんどでした。結果として、私自身はこれまでの申告のほとんどで医療費控除を選択してきています。

判断の目安として、私は次のような簡易的な基準を持っています。まず、年間の医療費合計(家族全員分)が15万円を超えているようであれば、ほぼ確実に医療費控除のほうが有利です。次に、医療費が10万円前後で、かつ市販薬の購入額もそれなりにある年は、両方をきちんと試算して比較します。そして、病院にかかることがほとんどなく、市販薬の購入も年間数千円〜1万円台にとどまる年は、そもそもどちらの制度も控除対象額に届かないことが多く、控除自体をあきらめることもあります。この目安を持っておくだけで、確定申告直前になって慌てて両方を細かく計算する手間をある程度省けるようになりました。

レシートの管理——年間を通じた地道な積み重ね

どちらの制度を使うにしても、レシートや領収書の管理が欠かせません。私は事業用の経費とは別に、家族の医療費・市販薬購入分のレシートをまとめる専用の封筒を用意し、購入のたびにそこへ入れる習慣をつけています。ドラッグストアのレシートには、セルフメディケーション税制の対象品目に識別マークが印字されていることが多いため、レシートを見返すだけでどちらの制度に該当する支出かをある程度判別できます。

確定申告が近づく1月から2月にかけて、1年分のレシートをまとめて集計し、医療費控除とセルフメディケーション税制、それぞれの控除額を試算します。国税庁の確定申告書等作成コーナーなどを使うと、金額を入力するだけで両方の控除額を自動計算してくれる機能もあるため、私は毎年この機能を使って、実際にどちらが有利かを数字で確認するようにしています。

なお、通院のための交通費(公共交通機関を利用した場合の実費など)も医療費控除の対象になりますが、こちらは領収書が出ないことも多いため、私は通院した日付・目的地・交通費の金額を家計簿アプリに記録し、確定申告の際にまとめて集計できるようにしています。地味な作業ですが、この積み重ねが年度末の申告作業をスムーズにしてくれています。

以前「白色申告のまま損をし続けた期間、青色申告に切り替えるべきだったタイミング」という記事でも触れましたが、確定申告に関する制度は、知っているかどうかで手元に残るお金が大きく変わってきます。医療費控除やセルフメディケーション税制も同様で、レシートをきちんと保管し、毎年両方の控除額を試算する手間を惜しまないことが、結果的に無駄のない申告につながると実感しています。逆に、この手間を面倒に感じて毎年同じ制度を惰性で選び続けてしまうと、本来受けられたはずの控除を取りこぼしてしまう可能性もあるため、私は年に一度、この作業だけは丁寧に行うようにしています。

家族分をまとめて申告できる点の活用

医療費控除もセルフメディケーション税制も、申告する本人だけでなく、生計を一にする家族全員分の支出を合算して申告できるという特徴があります。私は事業主として世帯の家計を管理する立場でもあるため、子どもたちの通院費や薬代もすべて合算して、自分の確定申告の中で控除を受けています。

家族の人数が多いと、それぞれの通院や薬の購入が積み重なり、年間の医療費合計が想像以上に大きくなることがあります。特に、季節の変わり目に体調を崩しやすい時期や、学校で流行する感染症にかかった際の受診など、まとまった医療費が発生するタイミングは把握しておくと、確定申告時の集計がスムーズになります。私は家族の通院履歴をカレンダーアプリにメモしておき、年末にレシートと突き合わせて漏れがないかを確認するようにしています。

生計を一にする家族の範囲についても、正確に理解しておく必要があります。同居していなくても、仕送りなどで生活費を負担している親族であれば「生計を一にする」と認められる場合があり、逆に同居していても互いに独立した生計を営んでいる場合は対象外となることもあります。私は毎年この点についても、確定申告のたびに要件を確認し、対象となる範囲を正確に把握するよう心がけています。家族構成が変化するライフイベントがあった年は、特に注意深く確認するようにしています。

医療費控除の明細書を作成する際は、医療機関ごと、受診者ごとに支払った金額を整理する必要があります。私は年に一度、家族分のレシートをすべて医療機関別・受診者別に仕分けし、エクセルの表にまとめてから確定申告書等作成コーナーに入力する、という手順を踏んでいます。最初は手間に感じましたが、毎年同じフォーマットを使い回すことで、年々作業時間は短縮されてきています。

保険金や給付金がある場合の扱い

もう一つ、見落としやすいポイントとして、生命保険や医療保険から入院給付金や手術給付金を受け取った場合、その金額は支払った医療費から差し引く必要があるという点があります。医療費控除は、あくまで「実質的に自己負担した医療費」を対象とする制度であるため、保険金でカバーされた部分については控除の対象にはなりません。

私自身は現在、民間の医療保険には加入していませんが、以前加入していた時期に入院や手術があった年は、支払った医療費と受け取った保険金の両方を記録し、差し引き計算を行うようにしていました。ここで注意しなければならないのは、保険金を差し引く対象はあくまで「その給付金の支給対象となった医療費」に限られるという点です。たとえば入院給付金を通院費から差し引く必要はなく、あくまで入院にかかった費用から差し引くという対応関係を意識する必要があります。この計算を誤ると、控除額を過大に、あるいは過小に申告してしまうことになるため、民間の医療保険に加入している方は毎年、保険会社から届く支払明細と医療機関の領収書を突き合わせながら、慎重に計算することをおすすめします。

まとめ

セルフメディケーション税制と医療費控除は、どちらも医療費に関する自己負担を軽減するための所得控除ですが、対象範囲や控除上限額が大きく異なり、併用はできず年ごとにどちらか一方を選択する仕組みになっています。私自身の経験では、大きな病院にかかることが少なく市販薬中心で健康管理をしている年でない限り、控除範囲が広く上限額も大きい医療費控除のほうが有利になるケースが多いという実感があります。事業を続けながら健康管理にも気を配り、制度を正しく理解した上で毎年賢く選択していくこと自体が、家計を守るための地道な工夫の一つだと考えています。どちらを選ぶべきかは家族構成や1年間の医療費の内容によって変わってくるため、レシートをこまめに管理し、確定申告の時期に両方の控除額を試算した上で判断することをおすすめします。地味で手間のかかる作業ではありますが、この一手間を毎年欠かさないことが、結果的に家計にとって無駄のない申告につながっていくのだと感じています。

免責事項

本記事は、個人の経験に基づく一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の税務処理を推奨するものではありません。セルフメディケーション税制や医療費控除の対象範囲、控除額の計算方法、要件などの制度内容は改正される可能性があります。実際の控除の適用や確定申告にあたっては、税理士など専門家、または国税庁の最新情報を必ずご確認いただくようお願いいたします。個々の家庭の状況によって最適な選択は異なりますので、本記事の内容はあくまで一つの考え方の参考としてご覧ください。

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