がん保険を完全に解約するに至った理由|先進医療特約も含めて手放した経緯

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個人事業主として20年、投資家として20年、そして大家として20年やってきた中で、保険というものへの考え方は何度も変わってきた。特に大きく変わったのが、がん保険の位置づけだ。今回は、長年入っていたがん保険の主契約を解約し、先進医療特約だけを残すという判断に至った経緯と、その後さらに見直しを重ねた結果について、実際の保険料の数字とともに整理しておきたい。同じように「なんとなく入り続けているがん保険」を見直したいと考えている読者の参考になれば嬉しい。保険は一度入ったら終わりではなく、資産状況やライフステージに応じて定期的に棚卸しするべきものだと、今回の見直しを通じて改めて実感した。4人の子を育てながら事業を続けていると、固定費の一つひとつを見直す時間を確保することすら難しい時期もあったが、だからこそ一度腰を据えて向き合う価値があったと感じている。

がん保険を見直そうと思ったきっかけ

きっかけは、毎年秋に届く保険の更新案内を眺めていて、ふと「この保険、そもそも何のために入っているんだっけ」と自問したことだった。個人事業主は会社員と違って傷病手当金がない。だからこそ「働けなくなったときの備え」は人一倍意識してきたつもりだったが、がん保険については加入した当時のまま、内容をほとんど見直していなかった。

加入していたのは、診断一時金・入院給付金・通院給付金・先進医療特約がセットになったタイプの終身がん保険で、月払い保険料はおよそ6,800円。年間にすると8万円強を、かれこれ十数年払い続けてきた計算になる。子どもが4人いる家庭にとって、この金額は決して小さくない。単純計算でも、あと20年同じ保険料を払い続ければ160万円を超える出費になる。まずは「何にいくら払っているのか」を棚卸しすることから始めた。

保険証券だけでなく、過去の確定申告の資料や家計簿アプリの支払い履歴も遡り、実際にこの十数年でいくら保険料を払ってきたのかをざっと計算してみた結果、想像していた以上の金額になっていたことも見直しの背中を押した要因のひとつだ。事業主として日々のキャッシュフローには敏感でいるつもりでも、固定費として自動引き落としされているものは意外と見落としがちだと痛感した。同じような固定費の見落としは、通信費やサブスクリプションでも経験があり、家計というのは意識的に棚卸ししない限り、知らないうちに支出が積み重なっていくものだと改めて思い知らされた。

主契約と特約、何にいくら払っていたか

保険証券を引っ張り出して内訳を確認すると、月額6,800円の内訳はおおよそ次のようになっていた。診断一時金(がんと診断されたら一時金が出るタイプ)部分が月額約2,500円、入院給付金部分が約1,800円、通院給付金部分が約1,200円、そして先進医療特約が月額数百円程度という構成だった。残りは契約時の付加保険料や事務手数料に相当する部分だと保険会社の担当者からは説明を受けた。

ここで改めて考えたのは、入院給付金と通院給付金の必要性だ。現在の公的医療保険には高額療養費制度があり、大家業の家賃収入や事業所得を合算しても、月々の医療費の自己負担には上限がある(所得区分によって上限額は異なるが、一般的な区分であれば月8万円台が目安とされている)。つまり、通常の入院・通院にかかる医療費そのものは、貯蓄や事業のキャッシュフローでカバーできる範囲だと判断した。

一方で、先進医療にかかる技術料は健康保険の対象外で、全額自己負担になる。治療内容によっては数百万円規模になるケースもあると聞き、当初はここだけは自己資金では心もとないと感じた。この「公的保険でカバーできる部分」と「カバーできない部分」を切り分けて考えたことが、見直しの軸になった。保険会社のコールセンターに何度か問い合わせ、主契約と特約を切り分けて解約できるかどうかも事前に確認してから手続きを進めた。担当者によって説明のニュアンスが微妙に違うこともあったため、重要な確認事項は必ず書面やメールで残してもらうようにした。

先進医療特約だけを残すと決めた理由

結論として、まず診断一時金・入院給付金・通院給付金がセットになった主契約は解約し、先進医療特約だけを単体で残す(あるいは新たに医療保険の特約として付け直す)という形にした。理由は大きく3つあった。

1つ目は、前述の通り高額療養費制度で通常医療費のリスクはある程度カバーできると判断したこと。2つ目は、診断一時金のような「まとまったお金が出る保障」は、そもそも自分の金融資産(投資信託や不動産の家賃収入など)で代替できる規模になってきたこと。個人事業主・投資家として20年積み上げてきた資産があるからこそ、「保険で備える範囲」を狭められるようになったと感じている。3つ目は、当時の判断基準として、先進医療特約はごく少額の保険料で、青天井になりかねない技術料をカバーできるという点を重視したことだ。この時点では、月数百円という保険料で数百万円規模のリスクをヘッジできるのであれば、これだけは残しておく価値があると考えていた。

保険の営業担当者からは「診断一時金があると治療中の収入減にも備えられる」という説明も受けたが、個人事業主としての自分の場合、事業のキャッシュフローと生活防衛資金である程度カバーできる目処が立っていたため、最終的には主契約の解約を選んだ。この判断は家庭ごとの資産状況によって大きく変わるものだと思う。生活防衛資金の目安としては、生活費の6か月から1年分を現金や預金で確保しておくという考え方をよく耳にするが、自分の場合はそれに加えて、賃貸経営から得られる家賃収入という別のキャッシュフローがあったことも、判断の後押しになった。

解約した部分と、その資金をどう振り替えたか

主契約を解約したことで、月々の保険料は6,800円台から数百円台まで下がった。差額の年間およそ7万円強は、そのまま解約して終わりにするのではなく、つみたてNISAの積立額に上乗せする形で振り替えることにした。保険で備えていたリスクを、資産運用による自己資金の積み上げに置き換えるという発想だ。

具体的には、月々の積立額を6,000円ほど増やし、これまで投資信託中心だった積立に加えて、生活防衛資金用の預金口座への自動振替も少額ながら設定し直した。保険料として天引きされていたお金を、そのまま「見えない貯蓄・投資」の仕組みに乗せ替えたイメージだ。これまで意識せずに払っていた固定費を、意識的に資産形成へ振り向けたという意味では、家計全体の設計そのものを見直すきっかけにもなった。

もちろんこれは、ある程度の金融資産と、事業からの安定したキャッシュフローがあることが前提の判断であり、誰にでも当てはまる正解ではない。特にひとり親家庭で貯蓄がまだ十分でない時期には、診断一時金のような「まとまった保障」を残しておく意味は大きいと思う。実際、自分自身も子どもが幼少期だった時期はこうした保障を厚めにしていた経緯がある。資産状況やライフステージに応じて、保険と自己資金の配分は変えていくべきものだと実感している。

ひとり親家庭だからこそ考えたリスクの優先順位

シングルファーザーとして4人の子どもを育てる中で、常に意識してきたのは「自分が働けなくなったときに家計がどうなるか」というリスクだ。会社員であれば傷病手当金や場合によっては家族の収入でカバーできる部分も、個人事業主の場合は自分が動けなければ収入が止まってしまう。この構造的な弱さは、ひとり親であるかどうかにかかわらず個人事業主全般に共通するものだが、稼ぎ手が一人しかいない家庭では、そのリスクの重みがさらに増す。

だからこそ、保険を見直す際も「万が一のときに何が一番困るか」という優先順位を意識した。がんに罹患すること自体のショックはもちろん大きいが、家計への影響という観点で言えば、①先進医療のような高額な自己負担が発生するリスク、②長期間働けなくなることで事業収入が途絶えるリスク、この2つが最も重い。診断一時金や入院給付金は、この2つのリスクと比べると相対的に優先度が下がると判断した理由がここにある。

収入が途絶えるリスクについては、がん保険とは別に就業不能保険や所得補償保険といった保険商品も検討したことがあるが、保険料をかけ続けるよりも生活防衛資金と事業のキャッシュフローで備えるほうが合理的だと判断し、結局どちらにも加入しないという結論に至った。がん以外の病気やケガで働けなくなるリスクも同様に存在するため、がん保険単体で家計全体のリスクをカバーしようとするのではなく、貯蓄を中心に複数の備えを組み合わせて考える視点が重要だと感じている。関連記事として書いた「積立投資の暴落局面、金額を増やすか維持するかで悩んだ話」でも触れたが、リスクへの向き合い方は資産状況によって変わっていくものだと思う。また「不動産投資の火災保険、見直しで削れたコスト」でも同様に、保険は入りっぱなしにせず定期的に棚卸しすることの重要性を書いた。保険という支出は、家計の中でも見直しの効果が大きい割に着手のハードルが低い項目だと感じている。

実際に見直してから1年で見えてきたこと

主契約を解約してから約1年が経過した。この間、幸いにしてがんの診断を受けることはなかったが、振り替えた資金をつみたてNISAで運用した結果は、相場環境にも助けられてプラスで推移している。もちろん投資である以上、元本割れのリスクがあることは前提として理解しておく必要がある。保険料の削減分を投資に回すという判断は、あくまで長期的な資産形成の一部として捉えており、短期的な値動きに一喜一憂しないよう心がけている。

一方で、保険料を見直したことで浮いた現金を毎月確実に投資に回すという「強制力」が生まれたのは、想定していなかった副産物だった。保険料として銀行口座から天引きされていたお金を、そのまま証券口座への積立設定に置き換えただけなのだが、心理的なハードルがほとんどなく移行できたのは良かった点だ。

数字で振り返ると、見直し前は保険料として年間約8万2千円を支出していたのに対し、この時点では先進医療特約の保険料が年間約6千円程度に収まっていた。差額の約7万6千円のうち、6万円強をつみたてNISAの積立増額に、残りを生活防衛資金の積み増しに回した。1年間の運用結果を見ると、相場の追い風もあって評価額は投じた金額を上回って推移していたが、これは結果論であり、下落局面では逆に評価額が投じた金額を下回ることも十分ありうる。あくまで長期・積立・分散という基本を守りながら、一喜一憂せずに継続することを心がけている。

また、先進医療特約だけを残したことで、証券や保険の書類整理もシンプルになった。複数の保険会社・複数の特約を管理する煩雑さが減り、家計簿アプリでの保険料の把握もしやすくなった。ひとり親家庭は家計管理に割ける時間が限られているため、こうした「管理のしやすさ」も地味に効いてくるポイントだと感じている。子どもたちの学用品費や塾代など、他の支出項目に目を配る余裕が生まれたことも、想定していなかった良い変化だった。

見直しの際に確認しておきたいポイント

がん保険や医療保険を見直す際、自分の経験から確認しておくべきだと感じたポイントをいくつか挙げておく。

まず、既往症の有無だ。持病がある場合、新たに保険に入り直すと条件が悪くなったり、加入自体ができなかったりするケースがある。主契約を解約する前に、告知事項や健康状態を確認し、必要であれば「先進医療特約だけ残せるか」を保険会社に直接確認することが欠かせない。契約によっては主契約を解約すると自動的に特約もすべて消滅する場合があるため、この点は特に注意が必要だ。

次に、高額療養費制度の自己負担上限額を、自分の所得区分で実際に計算してみることをおすすめする。国税庁や協会けんぽ、あるいは各自治体のウェブサイトに目安となる早見表が公開されているので、自分がどの区分に該当するかを確認しておくと、必要な保障額のイメージがつかみやすくなる。

さらに、解約のタイミングにも注意したい。契約から一定期間内の解約は解約返戻金がほとんどない場合が多く、また新たな保険に入り直す際には健康状態の告知や年齢による保険料の上昇も考慮する必要がある。焦って解約するのではなく、複数の保険会社に見積もりを取り、比較検討する時間を確保することをすすめたい。乗り換えを検討する場合は、必ず新しい保険の保障が開始されてから古い保険を解約する「重複期間」を設けることも、リスク管理の基本として意識しておきたい。

最後に、保険はあくまで「今のライフステージにおける家計の防衛策」であって、一度入ったら見直さなくていいものではないということだ。子どもの成長や資産状況の変化に応じて、数年に一度は保障内容を棚卸しする習慣を持つことをすすめたい。

加えて、自分ひとりで判断がつかない場合は、公的機関が公開している情報(高額療養費制度の自己負担上限や、先進医療にかかる技術料の実例など)を確認したり、書籍や専門家の解説記事を複数読み比べたりすることをすすめたい。保険代理店やファイナンシャルプランナーに相談すること自体を否定はしないが、担当者は特定の保険会社の商品を勧める立場にあることが多く、話を聞くほど「やはり保険はあった方がいい」という結論に誘導されやすい面もある。最終的な判断は、営業トークに流されず、自分自身の資産状況と照らし合わせて、感情を排して行うことを心がけたい。個人事業主の場合は、事業の決算資料や確定申告書を手元に用意しておくと、収入の変動幅も含めて冷静に判断しやすいと感じている。

単体の先進医療特約を選ぶ際に比較したこと

主契約を解約したあと、先進医療特約をどこで確保するかについても、いくつかの選択肢を比較検討した。大きく分けると、①既存の医療保険に先進医療特約を追加で付ける、②新たに医療保険に加入し直してそこに先進医療特約を付ける、③掛け捨て型の先進医療特約単体の保険に加入する、という3つのパターンがあった。当時は、これまで加入していた医療保険に先進医療特約を追加する形を選んだ。すでに健康状態の告知が済んでいる契約に特約だけを追加する方が、新規加入し直すよりも手続きが簡単で、告知内容によって加入を断られるリスクも避けられると考えたためだ。

ただ、その後改めて資産状況とキャッシュフローの棚卸しを行う中で、先進医療特約についても本当に保険という形で持ち続ける必要があるのか、という視点で見直すことになった。先進医療の技術料は数百万円規模になるケースがあると聞き、当初は「月数百円でこれだけの金額をヘッジできるなら残す価値がある」と判断していた。しかし実際に先進医療を受ける患者の割合や、対象となる治療の実施件数といったデータを調べてみると、先進医療を受ける可能性自体がかなり低い確率にとどまることが分かった。加えて、資産形成が進み、生活防衛資金に加えて、いざというときにまとまった金額をすぐに動かせる金融資産の厚みができてきたことで、月々数百円とはいえ、何十年にもわたって保険会社に保険料を払い続けるよりも、その分を自分の資産として積み上げておき、必要になったときに自分の資産から支出するほうが、長期的には合理的だという考えに至った。

保険は本来、自分の貯蓄では到底対応できないような大きな損失に備えるための仕組みだと理解している。先進医療特約の保険料自体は小さいが、裏を返せば保険会社にとっても利益の出やすい商品であり、長期間払い続ければ払い続けるほど、保険会社に支払う総額は積み上がっていく。数百万円規模の技術料であっても、十分な金融資産があれば自己資金で対応できる範囲になってきたと判断し、最終的には先進医療特約も解約し、その分の保険料も含めてすべて貯蓄・資産運用に回す方針に切り替えた。

まとめ

今回は、長年入り続けていたがん保険の主契約を解約し、その後さらに先進医療特約についても見直しを重ね、最終的にはがん保険そのものを解約するに至った経緯と考え方を紹介した。高額療養費制度でカバーできる範囲を確認したこと、そして先進医療のような「確率は低いが高額になりうるリスク」についても、十分な貯蓄と資産があれば保険という形にこだわらず自己資金で対応できると判断したこと、浮いた保険料をすべて資産運用と貯蓄に振り替えたことが、今回の見直しの核になっている。

ただし、これはあくまで一定の金融資産と安定した事業キャッシュフローがある状態での判断であり、すべての家庭にそのまま当てはまるものではない。貯蓄がまだ十分でない時期には、いきなり保険をすべて手放すのではなく、まずは生活防衛資金を優先的に積み上げることを意識しつつ、段階的に保険への依存を減らしていくのが現実的だと思う。大切なのは「なんとなく入り続ける」のではなく、自分の資産状況とリスクに照らして定期的に見直す姿勢だと考えている。保険という支出は、一度契約すると見直すきっかけを失いがちだからこそ、意識的に立ち止まる機会を作ることが家計改善への近道になると感じている。

事業も資産運用も、時間の経過とともに状況は変わっていく。子どもたちの成長段階が変われば必要な保障も変わるし、資産が積み上がれば自己資金でカバーできる範囲も広がっていく。今回のがん保険の見直しは、その変化を家計にきちんと反映させる作業だったと今では思う。がん保険を完全に手放した今も、資産状況や健康状態に大きな変化があれば、そのときはまた保険という選択肢も含めてゼロから考え直すつもりでいるが、少なくとも現時点では、貯蓄と資産運用による自己資金での備えで十分だと判断している。

保険は「入っていれば安心」というものではなく、「今の自分に必要な形になっているか」を定期的に問い直すべき契約だと思う。特に個人事業主やひとり親家庭は、会社員のような手厚い公的保障がない分、自分自身で家計全体のリスクマネジメントを設計する必要がある。がん保険の見直しはその第一歩に過ぎないが、固定費の中でも見直し効果が大きい項目の一つとして、ぜひ一度棚卸しをおすすめしたい。

免責事項

本記事は筆者個人の経験と一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の保険商品や金融商品の加入・解約を推奨するものではありません。保険の見直しには個々の健康状態、家族構成、資産状況などが大きく影響します。実際の保険の解約・変更や資産運用の判断にあたっては、必ずご自身の契約内容を保険会社に確認のうえ、ファイナンシャルプランナーや税理士などの専門家にご相談ください。

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