はじめに ─ 内覧で見落とすと地獄を見る
「この物件、安いし利回りも良い。買いだ!」
20年大家として、正直に言います。
内覧で見落とした物件で、リフォーム費用が予算の2倍・3倍になった経験が何度もあります。
特に築古戸建ては、外見だけでは分からないリスクが潜んでいます。
シロアリ、雨漏り、傾き、配管腐食……。
これらを内覧時に見抜けるかどうかが、利益が出る物件か、負債物件になるかの分岐点です。
この記事では、4児パパが20年の実体験から磨いた内覧チェックリスト22項目を公開します。
※ 本記事は個人の実体験に基づく見解です。投資判断は専門家への相談と自己責任で行ってください。
結論:内覧前に必ず持参するもの
【シンパパ的・内覧の鉄則3点】
1. 水平器(スマホアプリ可):傾きを数値で確認
2. 懐中電灯:床下・屋根裏・暗い場所を確認
3. メモ&カメラ:後で比較するため全箇所を記録
→ 素人でも「数字で把握」できる準備が先。
内覧チェックリスト22項目
① 傾きの確認
水平器を数カ所に置いて計測する。
| 計測場所 | 許容範囲 | 判断 |
|---|---|---|
| 1階床(複数箇所) | 3mm/1m以内 | 超えたら要注意 |
| 窓枠・ドア枠 | 歪みなし | 歪みがあれば基礎問題の可能性 |
→ 傾きがある場合:基礎に問題なければ床下補修を前提に値引き交渉。
② 基礎のひび割れ
外周をぐるりと歩いて基礎コンクリートを目視確認。
| ひび割れの状態 | 判断 |
|---|---|
| 亀裂が周辺コンクリートに連続して走っている | 購入断念 |
| 換気口(風穴)周辺に亀裂がある | 値引き交渉 |
| 表面の細かいヘアクラック程度 | 許容範囲 |
→ 連続ひび割れは構造的欠陥の可能性。手を出さない方が無難。
③ 床下・シロアリ・カビの確認
キッチンの床下収納のフタを外して確認する。
- 木材の色(黒ずみ=腐食・シロアリ被害の可能性)
- 白いツブツブ(シロアリの糞)がないか
- カビ臭がしないか
- 乾燥しているか(湿気過多は腐食リスク)
→ シロアリ被害が確認できた場合:値引き交渉または購入断念。
自分で処置できないリスクは買わない、が原則。
④ 屋根裏の確認
2階の押し入れ・クローゼットの上部から屋根裏を覗く。
- 雨漏り跡の染み・腐食はないか
- 断熱材の状態(ズレ・欠損)
- 木材の腐食・黒ずみ
→ 雨漏り跡がある場合:補修完了証明書を要求。証明書がなければ値引き交渉。
⑤ 天井のシミ
各部屋の天井を見上げて、シミがないか確認。
- 円形・楕円形のシミ = 過去の雨漏り跡
- シミが多いほど漏水リスク大
→ 補修済みの証拠確認 or 値引き交渉。
⑥ 畳の下の床(和室がある場合)
畳をどかして、床を踏み踏みする。
- フカフカする=下地が腐食している可能性
- 踏んで音がする=ネダが傷んでいる可能性
→ 和室が多い物件は、畳の下地状態を必ず確認。見えない腐食が大きなコストになる。
⑦ 排水口の臭い
キッチン・洗面所・浴室・トイレの排水口を確認。
- 排水トラップ(封水)が機能しているか
- 異臭がしないか(長期空室物件は封水が蒸発して臭うことがある)
→ 排水トラップ修繕が必要であれば値引き交渉。
⑧ 水道管の口径と水圧
蛇口を全開にして水の勢いを確認。
| 状態 | 判断 |
|---|---|
| 水圧が弱い | 配管の内部腐食の疑い。値引き交渉 |
| 配管径が13mm(古い物件に多い) | ファミリー向けには不十分。20mmへの変更を前提に値引き交渉 |
→ 水圧は必ず確認。「細い配管を交換する費用」を見積もりに入れる。
⑨ 外壁の防水状態
外壁を触ったり、水をかけてみる(仲介業者の許可を得て)。
- 水が染み込む・表面がボロボロ剥がれる = 防水切れ
- 目地のコーキングが切れていないか
→ 外壁塗装が必要な場合:費用を概算して値引き交渉材料に。
⑩ 室内洗濯機置き場の有無
洗濯機置き場が屋外・ベランダしかない物件は、入居者に嫌われる。
- 洗濯機置き場が室内にあるか
- なければ設置スペースがあるか(排水の確保が必要)
→ ないと入居付けが大幅に難しくなる。
⑪ 駐車スペースの確認
地方都市では駐車場の有無が死活問題。
- 1台以上の駐車スペースがあるか
- ガレージがある場合、天井高は現代の乗用車が入れる高さか(旧型ガレージは低すぎることがある)
- なければ、敷地内に駐車スペースを作れるか
→ 駐車場なし = ファミリー層に嫌われる = 入居付けが難しい。
⑫ 道路幅・接道状況の確認
法的に再建築できる条件かどうかを確認。
| チェック項目 | 基準 |
|---|---|
| 前面道路幅員 | 4m以上(4m未満はセットバック必要) |
| 接道幅 | 2m以上(2m未満は再建築不可の可能性) |
→ 再建築不可物件は、出口(売却時)に買い手が極端に限られる。
⑬ 境界杭の確認
物件の四隅・隣地境界を歩いて、境界杭(コンクリート杭・金属杭)があるか確認。
- 境界が不明確 = 将来のトラブルリスク
- 境界未確定の場合は、売主に確定測量を求めるか、値引き交渉
→ 境界杭なし = ほぼ必ず問題になる。必ず確認。
⑭ 増築部分・違反建築の確認
建物が図面通りかどうかを確認。
- 増築した形跡はないか(継ぎ接ぎの外壁・屋根)
- 建蔽率・容積率オーバーの疑いがないか
→ 違反建築でも道路付けが良く、融資なしで買える物件なら許容できることも。ただし出口(売却)は難しくなる点を理解した上で。
⑮ 和室の数
和室が多い物件は、維持費が高い。
- 畳の表替え:6畳で1万円前後
- 襖・障子の張替え:コスト+手間大
→ 和室が多い物件は、費用を見越した上で値引き交渉。フローリング化も検討。
⑯ 高圧電線の確認
物件の真上・近く(50m以内程度)に高圧電線がないか確認。
→ 健康面への懸念から、入居者に嫌がられることがある。
⑰ 周辺の街並みを歩く
物件の外に出て、半径200mを歩いてみる。
チェックすること:
– ゴミ屋敷・不法投棄の形跡はないか
– 放置車両・荒れた空き地はないか
– 近隣住民の雰囲気(玄関・庭の整理状態)
– 車の抜け道になっていないか(騒音・危険)
→ 電柱・ブロック塀に水平器を当てて、全て同方向に傾いていたら地域全体の地盤沈下の可能性。
⑱ 主要設備の年式確認
| 設備 | 耐用年数目安 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 給湯器 | 10〜15年 | 製造年確認 |
| エアコン | 10〜15年 | 製造年確認 |
| 電気パネル(配電盤) | 30年目安 | ブレーカーの種類 |
| 浴室 | ユニットバスか在来工法か | 在来は目地汚れ要確認 |
→ 設備の交換時期が近い物件は、交換費用を購入価格から値引き交渉。
⑲ 浴室・トイレの状態
- 在来工法の浴室は目地のカビ・汚れが取れない場合、塗り替えが必要
- バランス釜(古いガス風呂)が残っていないか → 給湯器交換の費用が大きい
- トイレはウォシュレットに変えられるか(温水洗浄便座は入居付けに有効)
⑳ 洗面台・キッチンの状態
- 水栓の温度調整(サーモスタット)があるか
- 洗面台の排水・蛇口の劣化状態
- キッチンの換気扇・シンクの状態
→ 築古物件は洗面台やキッチンの交換費用がリフォーム予算の大半を占めることも。
㉑ モニター付きインターフォンの有無
セキュリティ面で入居者が重視するポイント。
→ 古い物件はインターフォンの交換費用を想定(材料費1〜2万円+工賃)。
㉒ 賃貸需要の最終チェック
内覧の前後に、仲介業者に必ず聞く。
「このエリアはどんなお客さんが多いですか?」
「このくらいの広さで、家賃はいくら設定できますか?」
「今、どんな物件に人気がありますか?」
→ 仲介業者の生の声が最も信頼できる賃貸需要データ。
値引き交渉に使えるチェック項目まとめ
内覧で発見した問題点は、値引き交渉の材料になります。
| 発見した問題 | 交渉の切り口 |
|---|---|
| 外壁防水切れ | 「外壁塗装代〇〇万円を考慮して値引きを」 |
| 給湯器・設備の老朽化 | 「交換費用〇〇万円分を値引きで」 |
| 傾き(軽微) | 「床下補修費用を見込んで」 |
| 雨漏り跡 | 「補修証明書なければ〇〇万値引きを」 |
| 境界未確定 | 「確定測量費用を売主負担で」 |
→ ひとつひとつの問題は小さくても、合算すると大きな交渉材料になります。
利回り計算の目安
内覧後に購入を検討する場合、以下の計算式で利回りを確認してください。
取得費 = 物件価格 + 諸費用(物件価格の約10%)+ リフォーム費用
年間家賃収入 = 月額家賃 × 12ヶ月 × 0.8(空室・維持費考慮)
表面利回り = 年間家賃収入 ÷ 取得費 × 100
目安:地方の築古戸建ては10%以上を目指す。
まとめ
内覧チェック22項目をまとめます。
| カテゴリ | チェック項目数 |
|---|---|
| 構造・基礎(傾き・ひび割れ) | 2項目 |
| 水まわり(床下・排水・水圧) | 3項目 |
| 雨漏り・屋根(屋根裏・天井) | 2項目 |
| 設備(給湯器・洗面・キッチン) | 4項目 |
| 法的チェック(道路・境界・違反建築) | 3項目 |
| 入居付け関連(駐車場・洗濯機・和室) | 3項目 |
| 周辺環境・賃貸需要 | 3項目 |
| その他(高圧電線・設備年式) | 2項目 |
「買ってから気づく」では遅い。
内覧でしっかり見切る力が、大家20年の一番の武器です。
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【免責事項】 本記事は個人の実体験に基づく情報提供です。物件購入・投資判断は専門家(不動産鑑定士・弁護士等)への相談と、ご自身の判断・責任で行ってください。



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