投資を20年続けてきた中で、インデックス投資とアクティブ投資という2つのアプローチを、どちらか一方に偏るのではなく、それぞれの役割を意識しながら使い分けてきました。今日はその使い分けの考え方について、個人事業主・投資家・大家として20年の経験を積んできた立場から書いてみたいと思います。
- 投資を始めた頃はアクティブファンド中心だった
- インデックス投資へと軸足を移した理由
- それでもアクティブ投資を完全にはやめなかった理由
- コア・サテライト戦略という考え方
- 個人事業主・大家という立場から見た使い分けの意味
- 20年間で変わった投資スタイルへの向き合い方
- これから投資を始める方へ伝えたいこと
- アクティブファンドを完全に手放さなかった一例
- 個別株投資で得た「経営者目線」という副産物
- 使い分けの比率を見直したタイミング
- 新NISA制度の登場でさらに強まったインデックス偏重
- 子どもたちの口座ではインデックス一本に絞っている理由
- インデックスとアクティブ、それぞれから学んだ心構えの違い
- アクティブファンドを保有し続けて学んだ「見極め」の難しさ
- 事業のポートフォリオ理論への応用
- まとめ
- 免責事項
投資を始めた頃はアクティブファンド中心だった
投資を始めたばかりの20年前、私が最初に選んだのは、いわゆるアクティブファンドでした。当時はインデックス投資という考え方自体、今ほど一般的ではなく、「プロが銘柄を選んで運用してくれるファンドのほうが安心だ」という素朴な感覚があったのを覚えています。
実際、いくつかのアクティブファンドを保有し、数年単位で運用成績を見比べていく中で気づいたことがあります。それは、市場平均を上回るリターンを継続的に出し続けるアクティブファンドは、決して多くないということです。ある年は市場平均を上回っても、翌年は下回る。長期で見ると、信託報酬という高めのコストを差し引いた後のリターンでは、多くのアクティブファンドが市場平均に劣後しているという実態を、自分の保有経験を通じて実感するようになりました。
インデックス投資へと軸足を移した理由
こうした経験を経て、私は徐々にポートフォリオの中心をインデックスファンドへと移していきました。インデックス投資は、日経平均株価やTOPIX、あるいは全世界株式指数といった市場平均に連動する運用を目指すもので、個別銘柄の選定にかかる手間やコストを大幅に抑えられるのが特徴です。
「投資信託の信託報酬、コスト比較で乗り換えた基準」という記事でも詳しく書きましたが、信託報酬の差は長期的に見ると資産額に大きな影響を与えます。インデックスファンドは一般的にアクティブファンドと比べて信託報酬が低く設定されていることが多く、コストという「確実にマイナスに働く要素」を抑えられるという点で、長期の資産形成において合理的な選択肢だと考えるようになりました。
現在では、私のポートフォリオの大部分は、全世界株式や米国株式に連動するインデックスファンドの積立で構成されています。特に新NISA制度が始まってからは、非課税枠を活用した長期の積立投資の中心を、コストの低いインデックスファンドに据えています。
それでもアクティブ投資を完全にはやめなかった理由
一方で、私は個別株への投資、いわゆるアクティブな運用を完全にやめたわけではありません。ポートフォリオ全体の中では小さな割合ではありますが、自分自身が事業や不動産を通じて土地勘のある業界の個別株や、配当利回りに着目した高配当株への投資は、今も続けています。
その理由の一つは、単純に「投資そのものを楽しむ」という側面があるからです。インデックス投資は「淡々と積み立てる」ことが正解であり、それ自体は資産形成の王道だと思っています。しかし、企業の決算資料を読み込んだり、業界の動向を追ったりする中で得られる学びや面白さは、インデックス投資だけでは得られない部分です。この楽しみを完全に手放してしまうと、投資そのものへの関心が薄れてしまうのではないかという懸念もありました。
もう一つの理由は、「配当金の再投資、複利効果を実感した瞬間」という記事でも触れた、配当というインカムゲインを重視する運用スタイルへの関心です。インデックスファンドの多くは分配金を出さず、値上がり益がそのまま基準価額に反映される再投資型のものを選んでいますが、個別株投資では配当という形で定期的にキャッシュフローを得られる楽しさがあります。この配当を再投資に回すことで、複利の効果を体感しやすいという側面もあり、これはこれで資産形成の一つのモチベーションになっています。
コア・サテライト戦略という考え方
私が実践してきた使い分けは、いわゆる「コア・サテライト戦略」と呼ばれる考え方に近いものです。ポートフォリオの大部分、いわば「コア」の部分は、コストが低く分散が効いたインデックスファンドで固めます。そして、ポートフォリオの一部、「サテライト」の部分で、個別株やアクティブファンドといった、よりリスクを取った運用を行うという考え方です。
この戦略の良いところは、コアの部分がしっかりしていれば、サテライトの部分で多少の失敗をしても、資産全体への影響を限定的に抑えられることです。実際、個別株投資では損失を出した経験も何度かありますが、ポートフォリオ全体で見れば、コアのインデックス投資が安定的に資産を育ててくれていたおかげで、大きなダメージにはなりませんでした。
私の場合、コアとサテライトの比率はおおよそ8対2、あるいは9対1程度を目安にしています。この比率は、投資を始めた当初と比べて、インデックスファンドの割合をかなり高めてきた結果です。20年前はむしろ逆の比率に近かったことを考えると、経験を積むにつれて「守り」を重視する方向にシフトしてきたと言えるかもしれません。
個人事業主・大家という立場から見た使い分けの意味
個人事業主として20年、大家として20年続けてきた立場から言うと、事業収入や家賃収入という、すでに「自分自身の判断力や労力を投じて得ている収入源」を持っていることも、投資スタイルの選択に影響しています。
事業や不動産経営そのものが、ある意味では「自分自身がアクティブに関与して収益を上げる」という活動です。だからこそ、投資の中心部分については、あえて自分の判断力に頼りすぎない、市場平均に淡々と乗るインデックス投資を選ぶことで、リスクの取り方全体のバランスを取っているという感覚があります。もし事業も投資もすべて自分の判断力に依存する形にしてしまうと、リスクが特定の要因に集中しすぎてしまうと考えているからです。
20年間で変わった投資スタイルへの向き合い方
20年前の私は、正直なところ「どのファンドが一番儲かるか」を追い求める気持ちが強かったように思います。しかし年月を重ねる中で、資産形成において本当に重要なのは、短期的なリターンの最大化ではなく、長期にわたって淡々と続けられる仕組みを作ることだと考えるようになりました。
インデックス投資は、まさにこの「淡々と続けられる仕組み」を体現していると感じています。市場全体の成長に賭けるという考え方はシンプルですが、シンプルであるがゆえに継続しやすく、20年、30年という長期投資においては、このシンプルさこそが最大の武器になると実感しています。一方でアクティブ投資、個別株投資は、投資への関心を保ち続けるための「趣味」に近い位置づけへと、私の中で徐々に変化してきました。
これから投資を始める方へ伝えたいこと
もしこれから投資を始めようとしている方がいれば、まずはインデックスファンドの積立から始めることをおすすめしたいと思います。特に新NISA制度を活用すれば、非課税で長期の積立投資を続けられる環境が整っています。「資産形成のロードマップ、20年前に立てた計画との答え合わせ」という記事でも書きましたが、投資の成果は一朝一夕には出ません。まずはコアとなる部分をしっかり固め、その上で余裕があれば、興味のある個別株やアクティブファンドに、無理のない範囲で挑戦してみるという順序が、長く投資を続ける上で理にかなっていると、20年の経験を通じて感じています。
アクティブファンドを完全に手放さなかった一例
すべてのアクティブファンドを手放したわけではなく、今でも一部保有を続けているファンドがあります。それは、特定の地域やテーマに特化した、インデックスファンドでは代替しにくい投資対象を持つファンドです。
たとえば、新興国市場の一部や、特定の技術分野に集中投資するようなファンドは、汎用的なインデックスファンドではカバーしきれない領域です。こうした分野に少額でも触れておくことは、世界経済の変化を学ぶ上での「窓」としての役割も果たしてくれると感じています。信託報酬はインデックスファンドと比べて高めですが、コアの部分がしっかりインデックスファンドで固められているからこそ、こうした一部のアクティブファンドを保有する余裕が生まれているとも言えます。
個別株投資で得た「経営者目線」という副産物
個別株投資を続けてきたことで得られた、想定外の副産物もあります。それは、企業の決算資料や事業戦略を読み解く力が、個人事業主としての自分自身の経営判断にも活きているという実感です。
上場企業がどのように収益構造を分析し、どのような戦略でリスクに対応しているかを学ぶことは、規模はまったく異なるとはいえ、自分の事業運営を客観的に見つめ直すきっかけになっています。インデックス投資だけをしていたら、こうした「企業経営を学ぶ」という視点は得られなかったはずです。この点は、アクティブ投資、特に個別株投資を続けている、数少ない実利的なメリットの一つだと感じています。
使い分けの比率を見直したタイミング
コアとサテライトの比率は、20年間ずっと固定していたわけではありません。子どもの教育費がかさむ時期には、値動きの大きい個別株投資の比率を意図的に下げ、より安定的なインデックスファンドの比率を高めるという調整を行ったこともあります。
逆に、事業が安定し、生活防衛資金や教育資金の目処が立った時期には、多少リスクを取ってでも個別株投資の比率を高めることもありました。「積立投資の増額タイミング、収入が増えた年の判断」の記事でも書いたように、資産形成における判断は、その時々のライフステージや収入状況に応じて柔軟に見直すべきものだと考えています。インデックスとアクティブの使い分けについても、一度決めたら固定するのではなく、定期的に見直す姿勢を大切にしています。
新NISA制度の登場でさらに強まったインデックス偏重
新NISA制度が始まってからは、私のポートフォリオにおけるインデックスファンドの比重が、さらに高まりました。非課税で長期の積立を続けられる枠組みが用意されたことで、コストの低いインデックスファンドを非課税枠の中心に据えるという判断が、以前にも増して合理的だと感じるようになったためです。
個別株投資については、新NISA口座の成長投資枠を一部活用しつつも、特定口座での運用も引き続き併用しています。非課税のメリットを最大限に活かせるコアの部分と、多少の税負担があってもリスクを取りたいサテライトの部分とで、口座そのものを使い分けるという発想が、制度の変化にあわせて新たに加わった判断軸です。制度が変わるたびに、コア・サテライト戦略の実践方法そのものも、少しずつアップデートしてきたと感じています。
子どもたちの口座ではインデックス一本に絞っている理由
自分自身の資産についてはコア・サテライト戦略でアクティブ投資も一部取り入れている一方、4人の子ども名義の口座については、基本的にインデックスファンドのみで運用する方針を貫いています。子ども名義の口座は、あくまで子どもたちの将来のための資産であり、親である自分の「投資を楽しむ」という要素を持ち込むべきではないと考えているためです。
「子ども名義の証券口座、開設して分かったメリット」の記事でも触れましたが、子ども名義の口座は数十年単位の超長期保有を前提としています。この時間軸においては、個別株のような判断の手間やリスクをあえて取り入れる必要性は低く、市場平均に淡々と乗り続けるインデックス投資のシンプルさこそが、最も理にかなった選択だと考えています。自分自身の口座とは異なる方針を、明確に線引きして運用していることが、子ども名義の口座を長く安定して育てられている理由の一つだと感じています。
インデックスとアクティブ、それぞれから学んだ心構えの違い
インデックス投資とアクティブ投資を20年間並行して続けてきて、それぞれから学んだ心構えには明確な違いがあると感じています。インデックス投資から学んだのは、「何もしないことの価値」です。市場全体の成長を信じて、余計な判断を加えずに淡々と積み立て続けることが、結果的に最も高いパフォーマンスにつながるという逆説的な学びは、インデックス投資を長く続けてこそ実感できるものでした。
一方、アクティブ投資、特に個別株投資からは、「判断することの責任」を学びました。自分の判断で銘柄を選ぶ以上、その結果には自分自身で向き合わなければなりません。この責任感は、事業運営における意思決定の感覚とも重なる部分があり、投資を通じて経営者としての視点を鍛えられているという実感もあります。この二つの異なる心構えを、それぞれ適切な場面で使い分けてこられたことが、20年間投資を継続できた一因だと振り返って感じています。
アクティブファンドを保有し続けて学んだ「見極め」の難しさ
20年の間、いくつかのアクティブファンドを保有し続けてきましたが、その中で最も難しいと感じたのは、「このファンドを保有し続けるべきか、それとも見切りをつけるべきか」という見極めでした。短期的な成績の良し悪しだけで判断すると、たまたま調子の良かった時期に飛びつき、その後の不調な時期に手放してしまうという、後手に回った判断を繰り返しかねません。
私は、アクティブファンドの評価にあたって、単年の成績だけでなく、少なくとも5年程度の中期的な視点で、運用方針が一貫しているか、ベンチマークと比較して継続的に優位性を保てているかを確認するようにしています。この評価軸を持つようになってから、短期的な成績の変動に振り回されることが減り、アクティブファンドとの付き合い方がより落ち着いたものになったと感じています。
事業のポートフォリオ理論への応用
投資におけるコア・サテライト戦略の考え方は、個人事業主としての事業運営にも応用できると感じています。安定した収益を生む主力事業をコアとして位置づけ、新しい分野への挑戦や実験的な取り組みをサテライトとして少しずつ試すという構造は、投資のポートフォリオ理論とよく似ています。
事業のすべてを一つの分野に集中させてしまうと、その分野の環境が変化した際に大きな打撃を受けるリスクがあります。投資で学んだ分散の考え方を、事業運営における収益源の作り方にも意識的に取り入れてきたことが、20年間、事業を安定的に継続できた一因になっていると感じています。投資と事業、一見別々の活動に見えても、根底にある「リスクをどう配分するか」という思考の枠組みは、共通して活用できるものだと実感しています。
まとめ
インデックス投資とアクティブ投資、それぞれに異なる役割があると、20年の投資経験を通じて実感しています。私自身は、コストが低く長期の資産形成に適したインデックスファンドをポートフォリオの中心(コア)に据え、投資への関心を保ち続けるための個別株投資を一部(サテライト)で続けるという使い分けをしてきました。
どちらが優れているという単純な話ではなく、それぞれの特徴を理解した上で、自分の資産形成の目的やリスク許容度に応じて組み合わせることが、長く投資を続けるための鍵になると考えています。
免責事項
本記事は筆者個人の投資経験に基づく情報提供を目的としたものであり、特定の投資手法や金融商品を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクが伴い、過去の運用実績は将来の成果を保証するものではありません。実際の投資判断にあたっては、ファイナンシャルプランナーなど専門家にご相談ください。


