2020年の春先、保有していた投資信託の評価額が数か月でみるみる目減りしていったときのことを、今でもはっきり覚えている。当時、私は月々の積立額を上げたばかりで、口座を開くたびに含み損の数字が大きくなっていくのを見て、正直「積立を止めたほうがいいのではないか」と何度も考えた。証券口座のアプリを開いては閉じ、また開いてはため息をつく。そんな日々が数か月続いた。結論から言うと、あのとき積立を止めなかったことが、その後の資産形成において大きな分岐点になった。個人事業主として仕事を続けながら、不動産投資にも取り組み、家庭では一人で子どもたちの世話をしながら家計をやりくりしてきた身としては、下落相場のたびに「本当にドルコスト平均法は有効なのか」という問いに向き合わされてきた。この記事では、その問いに対して感覚論ではなく、実際の数字とシミュレーションで答えを出していきたい。
ドルコスト平均法の基本原理とメリット・デメリット
ドルコスト平均法とは、毎月一定額を同じ金融商品に投資し続ける手法のことを指す。価格が高いときには少ない口数を、価格が安いときには多い口数を自動的に買うことになるため、購入時期を分散させることで平均取得単価を平準化できるという仕組みだ。多くの投資初心者向けの解説では「時間分散でリスクを抑えられる」「高値づかみを避けられる」といったメリットが強調される。
一方で見落とされがちなのは、ドルコスト平均法が万能の必勝法ではないという点だ。あくまで「平均取得単価を平準化する」手法であって、「必ず利益が出る」手法ではない。相場が右肩上がりであれば、実は一括投資のほうが最終的なリターンは大きくなることが多い。逆に、相場が下落を続けたまま回復しないケースでは、積立を続けても含み損が拡大し続けることになる。つまりドルコスト平均法の真価は「相場の先行きが読めない中で、心理的な負担を抑えながら投資を継続できる」という点にこそある。この前提を理解しないまま「積立さえしていれば安心」と思い込んでしまうと、下落相場で想定外の含み損を目の当たりにしたときに、冷静な判断ができなくなる。
もう一つ付け加えておきたいのは、ドルコスト平均法という言葉が独り歩きして、あたかも特別な金融テクニックのように語られることがあるが、実態はきわめてシンプルな仕組みだという点だ。証券会社や銀行の自動積立設定を一度組んでしまえば、あとは毎月決まった日に決まった金額が引き落とされ、機械的に買い付けが実行される。特別な知識や相場観測は必要なく、むしろ「何もしないこと」が最大のコツになる。NISAのつみたて投資枠やiDeCoといった税制優遇制度を活用すれば、運用益への課税を抑えながら、この仕組みをより効率的に長期継続できる。私自身、制度が拡充されるたびに非課税枠を積極的に使うようにしてきたが、税金面での優遇があるからこそ、多少の含み損には動じずに継続する心理的な後押しにもなっている。
右肩上がり相場と横ばい相場での平均取得単価シミュレーション
まずは基本形として、価格が上昇を続けるケースと、上下動を繰り返しながら横ばいで推移するケースで、毎月3万円を12か月積み立てた場合の平均取得単価を比較してみる。
| 月 | 基準価額(円) | 購入口数 | 投資額(円) |
|---|---|---|---|
| 1月 | 10,000 | 3.00 | 30,000 |
| 2月 | 10,500 | 2.86 | 30,000 |
| 3月 | 11,000 | 2.73 | 30,000 |
| 4月 | 11,500 | 2.61 | 30,000 |
| 6月 | 12,500 | 2.40 | 30,000 |
| 9月 | 14,000 | 2.14 | 30,000 |
| 12月 | 16,000 | 1.88 | 30,000 |
このように右肩上がりの相場では、月を追うごとに購入できる口数が減っていく。12か月の合計投資額36万円に対して平均取得単価は約12,700円程度になり、最終的な評価額は一括投資に比べてやや見劣りする結果になりやすい。これは「上がり続けるとわかっているなら早く多く買ったほうが得」という単純な理屈のとおりだ。
次に横ばい相場のケースを見てみよう。基準価額が10,000円を中心に上下1,500円程度のレンジで推移し、1年後にほぼ同じ水準に戻ってきたと仮定する。
| 月 | 基準価額(円) | 購入口数 | 投資額(円) |
|---|---|---|---|
| 1月 | 10,000 | 3.00 | 30,000 |
| 3月 | 8,700 | 3.45 | 30,000 |
| 5月 | 11,200 | 2.68 | 30,000 |
| 7月 | 9,000 | 3.33 | 30,000 |
| 9月 | 10,800 | 2.78 | 30,000 |
| 11月 | 9,300 | 3.23 | 30,000 |
| 12月 | 10,100 | 2.97 | 30,000 |
横ばい相場では、価格が基準価額そのものと大きく変わらなくても、安いタイミングで多く買えている分だけ平均取得単価は基準価額の平均よりも低くなる。これがドルコスト平均法特有の「平均取得単価の引き下げ効果」であり、価格が一切上昇しなくても、変動があるだけで含み益を作れる可能性があるという、意外と知られていない強みだ。
下落が続く相場での検証
ここからが本題だ。多くの人が本当に知りたいのは「下落が続いたらどうなるのか」という点だろう。基準価額が10,000円から始まり、12か月かけて6,000円まで下落し続けた、いわゆる一方向の下げ相場を想定してシミュレーションしてみる。
| 月 | 基準価額(円) | 購入口数 | 累計投資額(円) | 累計口数 | 評価額(円) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1月 | 10,000 | 3.00 | 30,000 | 3.00 | 30,000 |
| 3月 | 9,000 | 3.33 | 90,000 | 9.61 | 86,490 |
| 6月 | 8,000 | 3.75 | 180,000 | 21.10 | 168,800 |
| 9月 | 7,000 | 4.29 | 270,000 | 34.51 | 241,570 |
| 12月 | 6,000 | 5.00 | 360,000 | 50.44 | 302,640 |
この時点だけを見ると、投資額36万円に対して評価額は約30万円まで目減りしており、含み損は6万円ほどになる。ここで積立をやめてしまえば、確かに損失を確定させることになる。しかし重要なのはこの先だ。仮に13か月目以降、相場が下落前の水準である10,000円まで緩やかに回復したとするとどうなるか。下落局面で安く多くの口数を買い集めていたため、基準価額が下落前の水準に戻るだけで、評価額は投資額を大きく上回る計算になる。50.44口を保有した状態で基準価額が10,000円に戻れば、評価額は約50万4,400円となり、投資額36万円に対して14万円以上の含み益が生まれる。基準価額そのものは元の水準に戻っただけなのに、下落局面で買い増した分がレバレッジのように効いてくるわけだ。これがドルコスト平均法の下落相場における最大の強みであり、「下落が続いても、その後に一定水準まで戻れば積立継続者が報われる」という構造を数字で確認できる。
もちろん、これは基準価額がいずれ回復することが前提になっている。回復しないまま長期低迷が続いたり、投資対象そのものが実質的に無価値化するようなケース(個別株の破綻など)では、この理屈は成立しない。だからこそ、ドルコスト平均法を実践する対象は、長期的な成長が見込める分散されたインデックスファンドなど、回復力のある商品を選ぶことが前提条件になる。
さらに条件を変えて、下落が12か月で終わらず、24か月にわたって続いたケースも確認しておきたい。基準価額が10,000円から24か月かけて4,000円まで下落し続けたと仮定すると、累計投資額は72万円、累計口数は約119.7口、24か月時点での評価額は約47万8,800円となり、含み損は24万円を超える計算になる。ここまで下落が長引くと、さすがに心理的な耐久力が試されることになる。しかし仮にその後、基準価額が半年かけて8,000円まで戻ったとすれば、評価額は約95万7,600円となり、投資額72万円を大きく上回る。下落幅が大きいほど、その分だけ多くの口数を安値で買い集められているため、回復時のリターンも大きくなるという構造は変わらない。下落が長引くほど不安は増すが、数字の上では「買い集めた口数」という資産が着実に積み上がっていることを忘れてはならない。
一括投資との比較で見えてくること
「まとまった資金があるなら一括投資したほうが得なのではないか」という疑問もよく聞かれる。実際、統計的には過去の相場データを使った検証で、一括投資のほうが積立投資よりも平均的なリターンで上回るケースが多いとされる。これは市場が長期的には右肩上がりで推移してきた歴史があるためで、投資期間が長ければ長いほど「早く多く投資したほうが有利」という理屈が働きやすい。
| 投資手法 | 投資タイミング | 上昇相場での期待値 | 下落相場での特徴 | 心理的負担 |
|---|---|---|---|---|
| 一括投資 | 初月にまとめて投資 | 最大化しやすい | 含み損が即座に最大化 | 大きい |
| ドルコスト平均法 | 毎月分散して投資 | 一括投資よりやや劣後 | 平均取得単価が下がる | 比較的小さい |
ただし、この比較には見落としてはならない前提がある。それは「一括投資できるだけのまとまった資金を、下落局面でも売らずに持ち続けられる胆力があるかどうか」という点だ。私自身、まとまった資金を一括で投資に回した経験もあるが、直後に相場が下落したときの精神的な負担は、積立投資の比ではなかった。数字の上では一括投資が有利でも、実際には多くの人が下落局面で耐えきれずに売却してしまい、理論上のリターンを享受できないまま終わる。ドルコスト平均法は、統計上のリターンでは一括投資に劣ることがあっても、「継続できる確率」を高めるという意味で、多くの個人投資家にとって現実的な選択肢になり得る。
また、両者は必ずしも二者択一で選ぶものではないという点も強調しておきたい。実際に私が行ってきたのは、退職金や事業の売却益、相続などでまとまった資金が入ったタイミングでは、その全額を一度に投じるのではなく、数か月から1年程度かけて複数回に分けて投資する「時間分散を効かせた準一括投資」という折衷的なやり方だった。全額を一括で投じるほどの胆力は持ち合わせていなかったが、かといって何年もかけて少しずつというのでは資金を寝かせすぎてしまう。まとまった資金がある場合でも、数回に分けることで下落直後の精神的な打撃を和らげつつ、長期で資金を眠らせすぎないバランスを取ることができる。
下落局面での心理的メリットと、積立を止めてしまうリスク
下落相場のさなかにいるとき、人は驚くほど冷静な判断力を失う。評価額が目減りしていく画面を見続けることは、想像以上に精神を消耗させる。私自身、2020年の下落局面や、その後の物価上昇と金利上昇が重なった局面で、何度も「今すぐ売って現金化したほうがいいのではないか」という誘惑に駆られた。
ここでドルコスト平均法が持つ心理的なメリットが効いてくる。毎月一定額を機械的に投資する仕組みにしておけば、「下落しているから今月は買うのをやめよう」「もっと下がってから買おう」といった、往々にして裏目に出る判断を挟む余地がなくなる。相場のタイミングを読もうとする行為(マーケットタイミング)は、プロの機関投資家でさえ継続的に成功させるのが難しいとされており、個人投資家が感覚で「今が底だ」「まだ下がる」と判断することにはほとんど根拠がない。
一方で最大のリスクは、下落が続いたときに積立そのものを止めてしまうことだ。先ほどのシミュレーションで示したとおり、下落局面で口数を買い集めることこそが、その後の回復局面で大きなリターンを生む源泉になる。ところが実際には、含み損が拡大するのを見て積立額を減らしたり、積立を停止したり、最悪の場合は下落の底値付近で売却してしまう人が少なくない。これは行動経済学でいう「損失回避バイアス」が働くためで、人は利益を得る喜びよりも損失を被る痛みのほうを強く感じる性質を持っている。積立を止めることは、下落局面での「安く買うチャンス」を自ら放棄することにほかならず、長期的なリターンを大きく損なう選択になりやすい。
この心理的な波に飲まれないために、私が実践してきた工夫がいくつかある。一つは、評価額を毎日確認する習慣をやめ、月に一度、決まったタイミングでしか口座を開かないようにしたことだ。値動きを頻繁に見れば見るほど、短期的な上下に感情を揺さぶられやすくなる。もう一つは、積立の設定を証券会社の自動引き落としに完全に委ね、自分の意思で毎回「買うかどうか」を判断する余地をなくしたことだ。判断の機会を減らすことは、一見すると消極的に思えるかもしれないが、感情に左右されやすい局面ほど、あらかじめ仕組みで縛っておくことが結果的に合理的な行動につながる。さらに、下落局面のニュースをことさら不安を煽るような形で取り上げるメディアやSNSとは距離を置き、長期の経済成長トレンドに関する落ち着いた情報源だけを参照するようにしたことも、精神的な安定に大きく寄与した。
教育費の取り崩し時期と積立継続のバランス
資産形成を長期で続けていくうえで避けて通れないのが、教育費というまとまった支出との向き合い方だ。私は一人で複数の子どもを育てながら家計を管理してきたため、この論点については人一倍向き合わざるを得なかった。子どもの人数が多ければ、入学金や授業料、塾代などの支出が重なる時期があり、資産の取り崩しと積立の継続を同時に考える必要が出てくる。
| 子どもの年齢目安 | 想定される主な支出 | 積立との向き合い方 |
|---|---|---|
| 0〜6歳 | 保育料、乳幼児関連費用 | 積立を最優先し種銭を作る時期 |
| 7〜15歳 | 学用品、習い事、塾代 | 積立額を維持しつつ教育費用口座を別立てで確保 |
| 16〜18歳 | 受験費用、入学金準備 | 取り崩しが近い分は先に現金化しておく |
| 18〜22歳 | 大学等の学費、一人暮らし費用 | 必要額を段階的に取り崩し、残りは積立継続 |
ここで大切なのは、「近い将来に使うことが決まっているお金」と「長期で運用を続けるお金」を明確に分けて管理することだ。入学金のように支出時期が数年単位で見えているお金を投資信託などの値動きのある商品で持ち続けると、いざ必要なタイミングで相場が下落していた場合、損失を確定させて取り崩さざるを得なくなる。私は教育費として近い将来に使う予定の資金は、早めに元本保証性の高い預金や短期の商品に移しておき、値動きのある資産での積立は「当面使う予定のない、老後や長期の資産形成のための部分」に限定するという線引きを徹底してきた。
この線引きができていると、教育費の支出が重なる時期でも、長期の積立投資そのものは止めずに継続できる。実際、子どもの進学が重なった年でも、生活防衛資金と教育費用の預貯金を先に確保できていたおかげで、長期の積立を減額することなく乗り切ることができた。逆に、この線引きが曖昧だと、まとまった支出が必要になったタイミングでたまたま相場が下落していた場合に、積立資産を取り崩さざるを得なくなり、複利の効果を十分に得られないまま資産形成が中断してしまう。
加えて、複数の子どもを育てる家庭では、教育費の支出が一時期に集中しやすいという特有の事情もある。年子や年齢が近いきょうだいが同時期に受験や進学を迎えると、通常であれば数年に分散されるはずの支出が、特定の1〜2年に重なって襲いかかってくる。この「支出の山」をあらかじめ資金計画に織り込んでおくかどうかで、長期投資を継続できるかどうかが大きく変わる。私の場合、子どもの生まれ年から逆算して「何年後にどれくらいの支出が重なるか」を一覧化し、その山が来る2〜3年前から該当分の資金を計画的に安全資産へ移し替えるようにしてきた。こうすることで、支出の山が来たときに慌てて投資資産を取り崩す必要がなくなり、結果として長期の積立を中断せずに済んでいる。家計全体を俯瞰し、教育費という「予見可能な支出」と、相場という「予見不可能な変動」を切り分けて管理する視点は、一人で家計全体を見なければならない立場だからこそ、より強く意識するようになった部分でもある。
20年の実体験から見えた検証結果
個人事業主としての仕事を続けながら投資に取り組んできた期間を振り返ると、相場の局面は本当にさまざまだった。リーマンショック級の急落、じわじわと長期化する調整局面、物価上昇と金利上昇が重なった複合的な下落局面など、その都度「今回はこれまでと違うのではないか」という不安がよぎった。だが振り返って言えるのは、下落局面のたびに積立を継続していた部分こそが、その後の資産の伸びに大きく貢献しているという事実だ。
兼業で不動産投資にも取り組んできた経験から言えることだが、不動産と違い、投資信託や株式の積立投資は少額から機械的に継続できるという点で、忙しい個人事業主や、一人で家庭のことをすべて担いながら仕事をする立場の人間にとって、非常に相性が良い仕組みだと感じている。相場を毎日チェックして売買判断を下す時間的な余裕がなくても、自動積立の設定さえしておけば淡々と資産形成を進められる。
もちろん、20年という期間の中で積立額を一時的に減らさざるを得なかった時期もあった。事業の資金繰りが厳しかった時期や、子どもの教育費が重なった時期などがそれにあたる。それでも「完全にゼロにはしない」という方針だけは崩さなかった。少額でも積立を継続することで、相場の回復局面を取りこぼさずに済んだという実感がある。この経験から導き出せる結論は明確で、ドルコスト平均法は下落相場が続いても、その後に相場が一定水準まで回復するという前提が成り立つ限り、有効に機能するということだ。ただしその有効性は「下落局面でも積立を止めない」という行動が伴って初めて発揮されるものであり、仕組みだけを導入しても、途中で心が折れて手放してしまえば意味がなくなってしまう。
実際の資産推移を大まかな数字で振り返ると、積立を継続してきた期間中、評価額が投資元本を下回る「含み損の期間」は全体のおよそ3割から4割程度あったという実感を持っている。つまり、10年積み立てていれば3〜4年程度は評価額がマイナス圏にあったことになる。この数字を聞くと不安に感じる人もいるかもしれないが、裏を返せば残りの6〜7割の期間は含み益の状態にあったということでもある。相場が一時的にマイナスになる期間は誰にとっても避けられないものであり、その期間をどう乗り切るかで最終的な結果が大きく変わってくる。含み損の期間中に狼狽して積立をやめてしまった場合と、淡々と継続した場合とでは、20年という長いスパンで見たときの最終的な資産額に、数百万円単位の差が生まれていたであろうことは想像に難くない。
また、賃貸経営という形で不動産にも資産を分散してきた経験から言えるのは、値動きのある金融商品への積立投資と、比較的値動きが穏やかな実物資産とを組み合わせることで、家計全体としての値動きの振れ幅を抑えられるという点だ。相場が大きく下落している局面でも、家賃収入という安定したキャッシュフローが別に存在していれば、生活費や教育費のために投資資産を無理に取り崩す必要がなくなる。これもまた、下落局面で積立を止めずに済んだ理由の一つだったと考えている。資産形成の手段を一つに絞らず、複数の性質の異なる資産を組み合わせておくことが、結果的に一つひとつの積立投資を長く継続できる土台になっていた。
まとめ
ドルコスト平均法は、下落相場が続く局面でも、平均取得単価を引き下げながら口数を積み上げられるという点で、長期的な資産形成において有効に機能する手法だと言える。今回のシミュレーションで確認したとおり、下落が続いた後に相場が一定水準まで回復するだけで、含み損は含み益へと転じる。重要なのは、下落局面のさなかに恐怖に駆られて積立を止めてしまわないことであり、そのためには生活防衛資金の確保や、近い将来に使う教育費などの資金を長期投資と切り分けて管理しておくことが欠かせない。一括投資と比較した場合の期待リターンでは劣る場面があるとしても、継続しやすさという観点でドルコスト平均法には大きな価値がある。
なお、本記事は筆者個人の経験とシミュレーションに基づく情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品への投資を推奨したり、投資助言を行うものではありません。投資信託や株式などの金融商品には元本割れのリスクがあり、将来の運用成果を保証するものではありません。実際の投資判断にあたっては、ご自身の資産状況やリスク許容度を踏まえたうえで、必要に応じて専門家にご相談のうえ、自己責任で行っていただきますようお願いいたします。


