シングルファーザーとして4人の子どもを育てながら個人事業主として仕事をしていると、毎年4月に頭を抱える瞬間があります。それが「学校行事のスケジュール確認」です。運動会、授業参観、個人面談、発表会、卒業式や入学式——子どもの人数が増えれば増えるほど、行事の数は単純に4倍になるわけではなく、時期が重なったりずれたりしながら、想像以上に複雑なパズルになっていきます。しかも学校・園はそれぞれ独立して予定を組んでいるため、こちらの家庭の都合など一切考慮してくれません。むしろ「なぜよりによってこの日に4件も重なるのか」と思うことすらあります。
会社員であれば有給休暇の調整で済む話かもしれませんが、個人事業主の場合は「休む」という選択肢自体が売上や納期に直結します。誰かに代わりに仕事をしてもらえるわけではないので、行事の日に仕事を休むということは、その分の仕事を別の日に前倒しするか、後ろにずらすかしかありません。取引先との打ち合わせが行事と重なれば、日程変更のお願いをしなければなりませんし、それが何度も続けば信頼関係にも影響しかねません。だからこそ私は、投資家として資産の分散や時間軸を意識してきた20年の経験と、大家として複数の物件を同時に管理してきた経験を掛け合わせながら、自分なりの年間スケジュール管理の仕組みを、試行錯誤を重ねながら作ってきました。最初から完璧な仕組みがあったわけではなく、失敗を重ねるたびに一つずつルールを追加していった結果、今のような形に落ち着いています。今回はその具体的な方法を、実際に使っているツールや過去の失敗談も含めて、できるだけ具体的に共有したいと思います。
年度初めにまず「行事カレンダー」を一枚にまとめる
4月に入って各学校・園から年間行事予定表が配布されたら、私が最初にやることは「全員分の行事予定を1枚の共有カレンダーに統合する」作業です。子どもが1人であれば紙のプリントを冷蔵庫に貼っておくだけで十分かもしれませんが、4人分となると、それぞれのプリントを個別に見ていては絶対に把握しきれません。実際、この作業を始める前の数年間は、プリントをそれぞれ別の場所に保管してしまい、直前になって「あれ、今週って参観日じゃなかったか」と慌てることが何度もありました。一度など、ある子の運動会の日に別の子の遠足の準備を優先してしまい、朝になってから気づいて青ざめたこともあります。
具体的には、スマートフォンのカレンダーアプリに子ども別の色分けをして、運動会・参観日・個人面談・発表会・保護者会・PTA活動といった項目をすべて入力します。入力するのは行事名と日時だけでなく、持ち物や集合時間、服装の指定まで細かくメモ欄に残すようにしています。この作業だけで毎年1〜2時間かかりますが、ここで手を抜くと後々「気づいたら行事が重なっていた」という事態を招くので、年度初めの投資だと割り切っています。
さらに、行事予定表が配布されるタイミングは学校や園によってバラバラなので、4月中旬までに全員分がそろわないこともあります。その場合は、届いた分から順にカレンダーへ反映し、未確定の行事については「仮」として入力しておき、後日確定した時点で更新するようにしています。個人事業主として仕事の納期やクライアントとの打ち合わせを管理してきた経験が、意外にもここで役立っています。案件の納期管理と行事管理は、本質的には同じ「複数のタスクを俯瞰して優先順位をつける」作業だからです。
行事が重なったときの優先順位の決め方
4人も子どもがいると、運動会と学芸会が同じ週末に重なる、あるいは複数の面談の時間帯が近い日に集中する、といったことが頻繁に起こります。すべてに完璧に対応することは物理的に不可能なので、私は自分なりの優先順位ルールを持つようにしています。
一つ目は「その子にとって一度きりの節目かどうか」です。卒業式や入学式のように人生で一度しかない行事は最優先にします。二つ目は「その子が主役級の役割を担っているかどうか」で、たとえば発表会で大きな役をもらっている場合や、運動会でリレーの選手に選ばれているような場合は、他の行事より優先度を上げます。三つ目は「直近で寂しい思いをした子がいないか」という視点です。きょうだいが多いとどうしても行事の取り合いになりがちなので、直前の行事で親が来られなかった子がいれば、次は必ずその子を優先するようにしています。四つ目は「祖父母など他の大人に来てもらえる可能性があるか」です。私一人で全部をカバーするのではなく、頼れる人がいる行事はお願いすることで、私自身は別の子の行事に集中できます。
五つ目として、「行事の一部だけでも顔を出せないか」という発想も大事にしています。全時間出席するのが難しくても、開始の30分だけ、あるいは終了間際の10分だけでも顔を出せれば、子どもにとっての意味は大きく変わります。実際、途中入場・途中退席が可能な行事かどうかを事前に確認しておき、可能であれば複数の行事を「はしご」することもあります。この視点は、以前書いた「きょうだいの序列、上の子に頼りすぎていないか見直した日」という記事でも触れた、平等性への意識と深くつながっています。
個人事業主だからこそできる時間の作り方と限界
会社員と違って個人事業主は、理屈の上では自分でスケジュールを決められます。しかし実際には、クライアントとの打ち合わせや納期が絡むと、簡単には動かせない予定も多くあります。私が意識しているのは「行事が集中する月は、事前に仕事のボリュームを調整しておく」ということです。
具体的には、年間カレンダーを作った時点で、行事が特に多い月(運動会シーズンの秋、卒業・進級シーズンの春など)を洗い出し、その月は新規の大きな案件を極力入れないようにスケジュールを組みます。逆に行事の少ない月は仕事を前倒しして詰め込み、繁忙期と行事シーズンが重ならないように調整します。これは投資家として20年やってきた中で身についた「先を見て資金繰りを整える」感覚に近いものがあります。株式投資でも、決算発表が集中する時期には無理に新規のポジションを増やさず様子を見る、といった判断をしますが、それと同じ発想を家庭のスケジュール管理にも応用している感覚です。
大家業についても、入居者対応や修繕といった突発的な業務が発生することがありますが、管理会社との連携をあらかじめ整えておくことで、行事の日に緊急対応で身動きが取れなくなるリスクを減らしています。管理を委託していない部分については、行事シーズンの前に点検や更新手続きを前倒しで済ませておくようにしています。もちろんこれは自営業だからこそ取れる戦略であり、会社員の方には難しい面もあると思いますが、フリーランスや自営業で子育てをしている方には参考になる部分があるかもしれません。
「全部行けない」を前提にした子どもへの伝え方
正直に言うと、4人分の行事すべてに毎回顔を出すのは不可能です。同じ日に別々の会場で行事が重なることもありますし、体は一つしかありません。以前は「行けなかったらどう思われるだろう」と気に病んでいましたが、今は考え方を変えました。
大切なのは「今回は行けないけれど、次は必ず優先するよ」と事前に子どもに伝えることです。当日いきなり不在に気づかせるのと、事前に理由を伝えて心の準備をしてもらうのとでは、子どもの受け止め方が大きく違います。特に、感情の理解が進んでいる年齢の子には、なぜ行けないのか、次はどう埋め合わせるのかを具体的に説明するようにしています。逆に幼児期の子には、難しい説明よりも「代わりに帰ってきたらいっぱい話を聞くね」というシンプルな約束の方が伝わりやすいと感じています。
行けなかった行事については、後日必ず「どうだった?」と詳しく聞く時間を作り、写真やビデオがあれば一緒に見返すようにしています。この「後からでも関心を示す」という行動が、子どもにとっては「行事に行けなかった=関心がない」ではないと伝える上で、意外と大きな意味を持つと感じています。また、行けなかった行事の代わりに、その週末に二人だけで出かける時間を作るようにもしています。行事そのものには参加できなくても、子どもと向き合う時間を別の形で確保することで、埋め合わせができていると感じています。
デジタルツールとアナログの併用で見落としを防ぐ
私はスマートフォンのカレンダーアプリをメインに使っていますが、それだけに頼ると意外な落とし穴があります。それは「通知を見逃す」というシンプルな失敗です。仕事中に通知が来ても、案件対応に追われていると開かないまま流してしまうことがあります。
そこで併用しているのが、リビングに置いた大きめのホワイトボード型カレンダーです。月初めに主要な行事をここに書き写しておくことで、子どもたち自身も「今月はいつ行事があるか」を目で見て把握できます。子どもが「これいつだっけ」と自分で確認できる仕組みを作ることで、親への確認の手間も減りますし、子どもの主体性を育てることにもつながっていると感じています。
さらに、毎週日曜日の夜に翌週の予定を家族全員で確認する「週次ミーティング」のような時間も設けています。5分程度の短いものですが、全員が今週何があるかを共有できることで、当日の「聞いていない」というすれ違いがかなり減りました。この場では行事の予定だけでなく、習い事や友人関係の予定も含めて確認するようにしています。デジタルとアナログ、そして家族での共有時間、この3つを組み合わせることが、見落とし防止のポイントだと考えています。
行事の準備物・提出物管理は「前日ルール」で回す
行事そのものだけでなく、それに付随する提出物や準備物の管理も、4人分となると膨大になります。体操服、上履き、参加費の封筒、写真撮影の申込書、アンケート用紙……。これらを個別に管理しようとすると必ずどこかで漏れが出ます。
私が実践しているのは「前日の夜にまとめて確認する」というシンプルなルールです。毎晩、翌日と翌々日の予定を確認する時間を5分だけ設けて、必要な持ち物や提出物がないかをチェックします。この習慣を続けるようになってから、提出物の忘れが大幅に減りました。加えて、提出期限のある書類は受け取った当日にカレンダーへ期限を登録し、期限の2日前にリマインダーが鳴るように設定しています。この二重のチェック体制のおかげで、期限を過ぎてから慌てて先生に連絡する、という事態はほぼなくなりました。
以前は、期限当日になって「今日までだった」と気づき、急いで学校に連絡を入れるということが年に何度もありました。相手の先生方にも余計な手間をかけてしまいますし、何より子ども自身が「うちは提出物がいつも遅れる」と気にするようになってしまうのは避けたいと考えていました。仕組みを整えてからは、期限に追われることがなくなり、子どもたちも自分から「これ今週出す書類だよね」と確認してくれるようになったのは、地味ですが嬉しい変化でした。
参加費などの現金が必要な場合も、封筒に子どもの名前と金額をあらかじめ書いておき、専用の引き出しにまとめて保管するようにしています。当日の朝にバタバタと小銭をかき集めるようなことがないよう、前日までに準備を終わらせておくのが鉄則です。忘れ物対策については別の記事「4人分の忘れ物対策、玄関に導入した仕組み」でも詳しく書いていますが、行事の準備物もこの仕組みの延長線上で管理しています。
仕事の繁忙期と行事シーズンが重なったときの対処法
個人事業主をしていると、案件が集中する繁忙期と学校行事のシーズンが運悪く重なることがあります。こういうときは、無理に全部を完璧にこなそうとせず、外部リソースを頼ることも大切だと考えています。
たとえば、行事の付き添いを親族や信頼できる知人にお願いできる場合は積極的に頼みますし、仕事の一部を外注できる案件であれば、その時期だけ協力してもらうこともあります。大家業についても、管理会社に任せられる部分は任せることで、自分が直接動く時間を削減しています。すべてを自分一人で抱え込まないという判断も、20年間事業を続けてきた中で学んだ大事な教訓の一つです。
また、繁忙期がある程度予測できる業種であれば、あらかじめクライアントに「この時期は子どもの行事が重なるので、対応が遅くなる可能性がある」と伝えておくことも有効だと感じています。事前に伝えておくことで、当日になって慌てて調整するよりも、はるかにスムーズに乗り切れることが多いです。長年付き合いのある取引先ほど、こうした事情を理解してくれることが多く、信頼関係の積み重ねの大切さを実感する場面でもあります。
一方で、新規のクライアントに対しては、こうした事情を最初から伝えるのは難しいこともあります。その場合は、行事シーズンの前後に納期を設定しないよう自分でスケジュールを調整することで対応しています。案件を受ける段階で「この期間は行事が集中するから避けよう」と判断できるようになったのも、何年もこの働き方を続けてきたからこそ身についた感覚だと思います。個人事業主として20年近くやってきた中で、こうした「先読みしてリスクを避ける」判断力は、仕事にも子育てにも共通して役立つ財産になっていると感じています。
行事の写真・記録を「あとから困らない」ように残す
4人分の行事となると、撮影した写真や動画もあっという間に膨大な量になります。以前はスマートフォンのカメラロールに撮りっぱなしで、後から「あの発表会の写真、どこにあったっけ」と探し回ることがよくありました。今は行事ごとにフォルダを分けて、子どもの名前と行事名、年度をファイル名に入れて保存するようにしています。地味な作業ですが、後で見返すときの手間がまったく違います。
また、行事の写真や動画は、その日のうちに家族で少しだけ見返す時間を作るようにしています。「今日の運動会、ここが良かったね」と一緒に振り返ることで、行事そのものの記憶が定着しやすくなりますし、行けなかったきょうだいがいる場合も、一緒に画面を見ることで「その場にいた」感覚を共有できます。写真の整理は後回しにしがちな作業ですが、これも年間スケジュール管理の一部だと捉えて、月に一度はまとめて整理する時間を確保しています。将来、子どもたちが大きくなったときに見返せる記録として残すことも、親としての役割の一つだと感じています。
行事シーズンの体調管理も込みでスケジュールを組む
見落としがちですが、行事が集中する時期は子どもだけでなく親も体調を崩しやすい時期でもあります。運動会や発表会の練習で子どもたちの生活リズムが変わったり、疲れがたまったりすることで、体調不良が重なることも少なくありません。私は行事シーズンに入る前に、できるだけ仕事の予定に余白を作り、急な発熱やケガなどのアクシデントにも対応できるようにしています。
特に季節の変わり目に行事が重なることが多いため、衣替えのタイミングや室温管理にも普段以上に気を配るようにしています。行事当日に体調を崩してしまっては元も子もないので、前日は早めに就寝させる、当日の朝食はしっかり食べさせるといった基本的なことも、意外と重要なスケジュール管理の一部だと考えています。仕事のスケジュールに余白を持たせておくことは、投資でいうところの手元資金の余裕、いわゆるキャッシュポジションを厚めに持っておく感覚に近いものがあります。何かあったときにすぐ動ける状態を保っておくことが、結果的に家族全体の安心につながっています。
年ごとに仕組みを見直す理由
こうして書き出すと、かなり作り込んだ仕組みのように見えるかもしれませんが、実際には毎年少しずつ調整を重ねてきた結果です。子どもたちの成長段階が変われば、行事の内容も、必要なサポートの度合いも変わっていきます。上の子が自分で予定を確認できるようになれば、その分だけ私が細かく管理する範囲は狭まりますし、逆に下の子が新しい行事に参加するようになれば、新しい確認項目が増えます。
そのため、年度末には必ず「今年うまくいったこと」「うまくいかなかったこと」を簡単に振り返る時間を作るようにしています。たとえば「面談の時間帯をもっと早めに確認しておけばよかった」「ホワイトボードの更新を子どもに任せてみたら効果的だった」といった気づきを、翌年度のカレンダー作りに反映させます。この振り返りの習慣は、投資のポートフォリオを定期的に見直すのと似ていて、一度作った仕組みを固定化せず、状況に応じて柔軟に更新し続けることが、長く続けるためのコツだと感じています。
まとめ
4人の子どもの学校行事を管理するというのは、単なるスケジュール調整以上に、優先順位の判断力や子どもへの伝え方、そして仕事とのバランス感覚が試される作業だと感じています。年度初めに全体像を1枚のカレンダーにまとめること、行事が重なったときの優先順位ルールを持つこと、そして「全部には行けない」ことを前提に子どもとコミュニケーションを取ることが、私なりに見つけた解決策です。個人事業主という働き方の自由度を生かしつつ、限界も認めながら、毎年少しずつ改善を重ねています。完璧を目指すのではなく、去年より少しでも良い仕組みにする、というくらいの気持ちで取り組むのがちょうどいいのかもしれません。同じように多子世帯やひとり親家庭で行事管理に悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。
こうした仕組み作りは、決して一朝一夕にできあがったものではありません。何年もかけて少しずつ手直ししてきたものなので、これから4人育児を始める方や、まだ子どもが少なく将来を見据えている方には、ぜひ早いうちから自分なりの管理方法を試してみることをおすすめします。
免責事項
本記事は筆者個人の経験に基づく一般的な情報提供を目的としています。家庭の状況や働き方は人それぞれ異なりますので、実際のスケジュール管理や子育てに関する判断は、ご自身の状況に合わせて行っていただくようお願いいたします。


