こんにちは、シンパパ資産設計士です。
価格と価値シリーズ第9回のテーマは、「『高い』と感じる理由」です。同じ価格を見ても、「高い」と感じる人もいれば、「妥当だ」と感じる人もいます。この感覚の違いはどこから生まれるのか、今回は「絶対的な価格」「相対的な価格」「収入との関係」「価値観との関係」という4つの視点から分解していきます。
- 「高い」という感覚は、実はとても曖昧なもの
- 視点①絶対的な価格
- 視点②相対的な価格
- 視点③収入との関係
- 視点④価値観との関係
- 4つの視点を組み合わせて見る
- 他人の「高い」に振り回されないために
- 個人事業主として実感した、収入と「高い」の関係
- 投資家として学んだ、価格感覚の錯覚
- 兼業大家として向き合う、価格感覚のズレ
- 子どもたちが「高い」と感じる瞬間から見えるもの
- 「高い」と感じたときの、自分への問いかけ
- 「アンカリング」という心理的な罠
- 「高い」と感じる金額の境界線は、少しずつ動いていく
- 「高い」を逆手に取る、価格設定する側の視点
- 家族の中で「高い」の基準が違うとき
- 「高い」と感じたときこそ、価値を見直すチャンス
- 収入が増えても「高い」がゼロにならない理由
- まとめ|「高い」は感覚、価値は判断
- 次回予告:シリーズ最終回「価格ではなく価値で買う習慣」
- よくある質問(FAQ)
- 関連記事
「高い」という感覚は、実はとても曖昧なもの
「高い」という言葉は日常的によく使いますが、よく考えてみると、非常に曖昧な感覚です。同じ1万円の商品でも、ある人にとっては「高い」と感じられ、別の人にとっては「安い」とすら感じられます。この違いは、商品そのものの価格が変わっているわけではなく、その価格を受け止める側の物差しが、人によってまったく異なっていることから生まれています。この「物差しの違い」を分解していくと、「高い」という感覚の正体が、少しずつ見えてきます。
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視点①絶対的な価格
まず一つ目の視点は、金額そのものの大きさ、つまり「絶対的な価格」です。多くの人にとって、1万円は1万円、10万円は10万円という、動かしようのない数字です。この絶対的な金額の大きさが、「高い」と感じる最も基本的な要素になります。しかし、この絶対的な価格だけを見て「高い・安い」を判断すると、次に紹介する他の視点を見落としてしまうことになります。絶対的な価格は出発点にすぎず、それだけで価値の判断を完結させるのは早計だという点を、まず押さえておきたいと思います。
視点②相対的な価格
二つ目の視点は、「何と比べているか」という相対的な価格です。同じ5,000円の商品でも、類似品の相場が3,000円であれば「高い」と感じますし、相場が1万円であれば「安い」と感じます。「高い・安い」という感覚の多くは、絶対的な金額そのものではなく、比較対象との差から生まれているのです。
| 比較の視点 | 「高い」と感じやすい状況 |
|---|---|
| 類似品との比較 | 相場より明らかに高い価格設定を見たとき |
| 過去の価格との比較 | 以前買ったときより値上がりしていたとき |
| 他人の体験との比較 | 知人がもっと安く同じものを手に入れたと知ったとき |
この相対的な視点は便利な反面、比較対象の選び方次第で、感じ方が大きく揺さぶられてしまうという危うさも持っています。
視点③収入との関係
三つ目の視点は、自分の収入との関係です。同じ1万円でも、月収20万円の人にとっての1万円と、月収100万円の人にとっての1万円では、家計に占める重みがまったく異なります。「高い」という感覚は、金額そのものよりも、自分の収入に対してその金額がどれくらいの割合を占めるかによって大きく左右されます。この視点を持つと、他人の「高い・安い」という感覚を、自分の感覚とそのまま比べることの無意味さにも気づけます。収入水準が違えば、同じ金額に対する重みも違って当然だからです。
視点④価値観との関係
四つ目の視点は、自分が何にお金を使うことを大切にしているかという、価値観との関係です。趣味や好きなことに関する支出であれば、多少の金額でも「高い」とは感じにくく、逆に興味のない分野の支出であれば、少額でも「高い」と感じやすくなります。価格の感じ方は、金額そのものだけでなく、そのお金の使い道が自分の価値観とどれだけ重なっているかによっても大きく変わってくるのです。これは、このシリーズの初回で扱った「価値」の話とも直結する視点です。
4つの視点を組み合わせて見る
「高い」という感覚は、これら4つの視点が複雑に絡み合って生まれています。絶対的な金額が大きく、相場よりも高く、自分の収入に対する負担も大きく、しかも自分の価値観にあまり合っていない——こうした条件が重なるほど、「高い」という感覚は強くなります。逆に言えば、絶対的な金額が大きくても、自分の収入に対する負担が小さく、価値観にも合っている支出であれば、「高い」とは感じにくいということです。「高い」と感じたときこそ、この4つの視点のどれが強く働いているのかを、一度立ち止まって分解してみることをおすすめします。
他人の「高い」に振り回されないために
SNSや口コミを見ていると、他人の「高い」「安い」という感想が、次々と目に飛び込んできます。しかし、ここまで見てきたように、「高い」という感覚は、その人の収入や価値観という、極めて個人的な条件によって形作られています。他人の「高い」という感想は、あくまでその人自身の物差しによる感想であり、自分にとっての判断基準とイコールではないということを、常に意識しておく必要があります。この考え方は、以前扱った課題の分離の視点とも重なる部分です。
個人事業主として実感した、収入と「高い」の関係
個人事業主として独立したばかりの頃、収入が不安定だった時期には、ちょっとした出費にも「高い」と感じることが多くありました。しかし、事業が軌道に乗り、収入が安定してくると、同じ金額の出費に対する感じ方が、少しずつ変わっていったことを覚えています。金額そのものは変わっていないのに、収入という土台が変わることで、「高い」という感覚そのものが変化するという経験は、収入と価格感覚の関係を、身をもって理解するきっかけになりました。
投資家として学んだ、価格感覚の錯覚
投資の世界でも、「高い」「安い」という感覚は、しばしば錯覚を生みます。ある銘柄の株価が過去の高値から大きく下がっていると「安い」と感じ、逆に過去の安値から上がっていると「高い」と感じてしまう——これは、絶対的な価値ではなく、過去の価格という比較対象に引きずられた、相対的な感覚にすぎません。投資判断においても、日々の買い物においても、比較対象に引きずられた感覚だけで判断すると、本質的な価値を見誤るリスクがあるという点は、共通して意識しておきたいポイントです。
兼業大家として向き合う、価格感覚のズレ
不動産経営においても、修繕費用の見積もりを見て「高い」と感じる場面は少なくありません。しかし、その感覚が、単に相場を知らないことによる思い込みなのか、それとも本当に妥当性を欠いた金額なのかは、冷静に切り分ける必要があります。複数の業者から見積もりを取り、相場という比較対象を自分の中に持っておくことで、感覚だけに頼らない、根拠のある「高い・安い」の判断ができるようになります。この姿勢は、家庭の大きな買い物にもそのまま応用できます。
子どもたちが「高い」と感じる瞬間から見えるもの
4人の子どもたちと買い物をしていると、大人とは違う基準で「高い」「安い」を感じている様子がよく分かります。子どもたちにとっての「高い」は、多くの場合、お小遣いという限られた収入との比較から生まれています。この様子を見ていると、「高い」という感覚の根っこには、やはり自分の持っている資源との比較があるのだと、あらためて実感させられます。大人になっても、この本質的な仕組みは変わらないのだと思うと、子どもたちの素直な感覚から学べることも多いと感じています。
「高い」と感じたときの、自分への問いかけ
何かを「高い」と感じたとき、僕が自分に問いかけているのは、次のような点です。「これは絶対的な金額として大きいのか、それとも何かと比較して高く感じているだけなのか」「自分の今の収入との関係で、本当に負担が大きいのか」「これは自分の価値観にとって、大切な分野への支出なのか」。この問いかけを挟むだけで、感情的な「高い」という反応から、冷静な「価値に見合っているか」という判断へと、思考を切り替えることができます。
「アンカリング」という心理的な罠
価格心理学の世界では、「アンカリング」という現象がよく知られています。これは、最初に見た価格が基準(アンカー)となって、その後の価格判断に強い影響を与えてしまう現象のことです。例えば、定価5万円の商品に「今だけ2万円」という値札がついていると、2万円という金額そのものの妥当性を検討する前に、「5万円より安い」という比較だけで「お得だ」と感じてしまいます。最初に提示された数字が、その後の判断の土台になってしまうという性質を知っておくだけで、値札や広告に踊らされにくくなります。値引き前の価格を一度忘れて、「この商品単体で、この金額に見合う価値があるか」を考え直す習慣が、アンカリングの罠を避ける助けになります。
「高い」と感じる金額の境界線は、少しずつ動いていく
面白いことに、「高い」と感じる金額の境界線は、一度慣れてしまうと少しずつ動いていきます。最初は「高い」と感じていた金額のサービスや商品も、繰り返し利用しているうちに、いつの間にか当たり前の支出として感じられるようになることがあります。これは、収入の変化がなくても起こり得る現象で、いわば「感覚の慣れ」による境界線の移動です。定期的に「これは本当に、今の自分にとって妥当な金額なのか」を、慣れる前の初心に戻って見直すことが、知らないうちに支出の水準が上がってしまう、いわゆる生活水準の膨張を防ぐ助けになります。
「高い」を逆手に取る、価格設定する側の視点
個人事業主として、自分自身のサービスや商品に価格をつける立場を経験してきたことも、「高い」という感覚への理解を深めてくれました。価格を設定する側から見ると、同じ金額でも、伝え方や見せ方次第で「高い」と感じられたり「妥当だ」と感じられたりすることが、身をもって分かります。買う側として「高い」と感じたときほど、それが商品そのものの価値によるものなのか、見せ方によって作られた印象なのかを、一歩引いて見極める視点を持てるようになりました。この視点は、日々の買い物においても、冷静な判断を助けてくれています。
家族の中で「高い」の基準が違うとき
家族の中でも、「高い」と感じる基準は一人ひとり異なります。同じ支出に対して、自分は「妥当だ」と感じていても、家族の誰かは「高い」と感じているかもしれません。この違いをそのままにしておくと、お金の使い方をめぐる小さなすれ違いが積み重なってしまいます。「高い」と感じる基準の違いを、良い悪いで判断するのではなく、それぞれの収入感覚や価値観の違いとして理解し合うことが、家庭内でのお金の話し合いを円滑にする助けになると感じています。
「高い」と感じたときこそ、価値を見直すチャンス
「高い」という感覚は、ネガティブなものとして扱われがちですが、僕はむしろ、価値を見直す良いきっかけだと捉えるようにしています。何かの支出に対して「高い」と感じたとき、それは自分の中の物差しが反応しているサインです。そのサインを無視して感情的に反応するのではなく、なぜそう感じたのかを一度立ち止まって分解してみることで、支出の質そのものを見直す機会になります。このシリーズを通じて紹介してきた考え方は、まさにこの「立ち止まって分解する」という習慣を身につけるためのものでもあります。
収入が増えても「高い」がゼロにならない理由
収入が増えれば、「高い」と感じる場面は確かに減っていきますが、完全にゼロになることはありません。なぜなら、収入が増えるのに合わせて、比較対象となる支出の水準そのものも上がっていくことが多いからです。より良いもの、より快適なサービスへと目が向くようになり、結果として「高い」と感じる基準そのものが、収入の増加とともに引き上げられていきます。「高い」という感覚がなくなることを目指すのではなく、その感覚とうまく付き合いながら、価値のある支出を選び続けることのほうが、現実的で持続可能な向き合い方だと感じています。
まとめ|「高い」は感覚、価値は判断
今回のポイントを整理します。
- 「高い」という感覚は、絶対的な価格・相対的な価格・収入との関係・価値観との関係という4つの視点で分解できる
- 他人の「高い」は、その人自身の物差しによる感想であり、自分の判断基準にはならない
- 「高い」と感じたときこそ、一度立ち止まって、どの視点が強く働いているかを確認することが大切
- 感覚に流されず、価値に見合っているかどうかで判断する習慣が、資産形成の土台になる
次回はいよいよ、価格と価値シリーズの最終回です。これまでの9回を振り返りながら、「価格ではなく価値で買う習慣」というテーマでまとめていきます。
次回予告:シリーズ最終回「価格ではなく価値で買う習慣」
次回は、これまで9回にわたって扱ってきた価格と価値というテーマの総まとめです。全10回の一覧を振り返りながら、「これはいくらか」ではなく「これは自分にどれだけの価値があるか」という考え方を、日々の習慣としてどう根づかせていくかを整理していきます。
よくある質問(FAQ)
Q0. 「高い」と感じたら、買うのをやめるべきですか
必ずしもやめる必要はありません。まずは、なぜ「高い」と感じたのかを、4つの視点で分解してみることをおすすめします。分解した結果、自分にとって本当に価値のある支出だと分かれば、納得して購入して問題ありません。
Q1. 収入が上がれば、「高い」と感じることは減りますか
減る傾向はありますが、それだけがすべてではありません。収入が上がっても、価値観に合わない支出であれば、やはり「高い」と感じることがあります。収入だけでなく、価値観との関係もあわせて確認することが大切です。生活水準が同時に上がっていく点にも注意が必要です。
Q2. 他人が「安い」と言っていたものを、自分は「高い」と感じます
それは自然なことです。「高い・安い」の感覚は、収入や価値観という個人的な条件によって形作られるため、他人と感じ方が異なるのは当然のことだと捉えてください。無理に他人の感覚に合わせる必要はありません。
Q3. 相場を調べる時間がないとき、どう判断すればいいですか
すべての買い物で相場を調べる必要はありません。金額が大きいもの、繰り返し発生する支出に絞って、相場を確認する習慣を持つだけでも、十分に効果が得られます。
Q4. 趣味への支出は「高い」と感じにくいのですが、問題ないですか
価値観に合った支出であれば、それ自体は問題ありません。ただし、家計全体のバランスを崩すほどの金額になっていないかどうかは、定期的に確認しておくことをおすすめします。
Q5. 子どもに「高い・安い」の感覚をどう伝えればいいですか
金額そのものだけでなく、「自分の持っているお小遣いに対して、どれくらいの割合か」を一緒に考える機会を持つことをおすすめします。収入との関係という視点は、早いうちから伝えておいて損はありません。
Q6. 投資判断でも同じ4つの視点は使えますか
使えると考えています。特に相対的な価格の視点は、過去の株価との比較に引きずられやすい投資判断において、とりわけ強く意識しておきたい視点だと感じています。
Q7. 「高い」と感じる感覚自体をなくすべきですか
なくす必要はありません。「高い」という感覚は、支出を見直すきっかけになる、大切なセンサーでもあります。感覚を消すのではなく、その感覚の正体を分解して理解することが目的です。
Q8. アンカリングに引っかからないためのコツはありますか
値引き前の価格や、他社との比較表示を一度忘れて、「この商品単体で、この金額に見合う価値があるか」だけを考え直してみることをおすすめします。基準となる数字を自分でリセットする習慣が有効です。
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シンパパ資産設計士
4児を育てるシングルファーザー/個人事業主20年/投資家20年/兼業大家20年
📝 noteでも毎日発信中
投資20年の失敗談・シングルファーザーのリアルな日常・お金の本音——ブログでは書きにくいことをnoteに書いています。


