こんにちは、シンパパ資産設計士です。
ライフプランの作り方シリーズ第7回です。前回までは、住宅費・車といった「支出」の見積もり方を中心に解説してきました。ライフプランは支出だけを積み上げても完成しません。今回は、ライフプランのもう一方の柱である「収入」をどう予測するかについて、複数の収入源を持つという視点から、できるだけ詳しく解説していきます。
なぜ収入の予測がライフプランの土台になるのか
ライフプランを作る作業は、多くの場合「支出をどう見積もるか」に意識が集中しがちです。教育費・住宅費・車の生涯コストといった支出項目は具体的にイメージしやすい一方、収入については「今の給料がだいたい続くだろう」という漠然とした前提のまま、深く検討されずに終わってしまうことが少なくありません。しかし、生涯収支を正しく試算するには、支出と同じレベルの解像度で収入も見積もる必要があります。
支出予測だけでは片手落ち
どれだけ精緻に支出を見積もっても、収入の見積もりが甘ければ、ライフプラン全体の精度は大きく損なわれます。たとえば、支出は詳細に洗い出したのに、収入は「現在の年収がそのまま65歳まで続く」という単純な前提を置いてしまうと、実際の生涯収支とは大きくかけ離れた結果になりかねません。収入にも支出と同じだけの解像度で向き合うことが、ライフプランの精度を左右する重要なポイントです。
収入は「一本の線」ではなく「複数の線の合計」
会社員として給与収入だけを得ている場合、収入の予測は比較的シンプルです。しかし、副業・個人事業・不動産投資・資産運用など、複数の収入源を持つ人にとって、収入は「一本の線」ではなく「複数の線を積み重ねた合計」として捉える必要があります。それぞれの収入源には異なる成長率、異なるリスク、異なるピーク時期があり、これらを個別に予測してから合計するという手順が、精度の高い収入予測には欠かせません。
収入源を4つのカテゴリに分けて考える
収入源は、大きく次の4つのカテゴリに分けて考えると整理しやすくなります。
- ①給与収入(会社員としての給料、役員報酬)
- ②事業収入(個人事業・フリーランス・副業としての収入)
- ③不動産収入(賃貸経営による家賃収入)
- ④資産収入(配当金・利子・分配金など、資産そのものが生み出す収入)
それぞれのカテゴリは、成長性・安定性・自分でコントロールできる度合いが大きく異なります。この違いを理解した上で、自分がどのカテゴリの収入をどの程度持っているか、そして将来どう組み合わせていきたいかを整理することが、収入予測の第一歩になります。
①給与収入:安定性は高いが、天井が見えやすい
給与収入は、毎月一定額が確実に入ってくるという安定性の高さが最大のメリットです。一方で、昇給ペースや昇進の見込みには天井があり、年齢を重ねるにつれて成長率は鈍化していく傾向があります。会社の給与テーブル・昇給履歴を確認し、今後何歳まで、どのペースで昇給が見込めるかを、できるだけ具体的に予測しておくことをおすすめします。
②事業収入:自分でコントロールできる分、変動も大きい
個人事業主として20年活動してきた経験から言うと、事業収入は自分の努力量や工夫次第で伸ばせる自由度が大きい反面、景気変動や取引先の状況によって大きく変動しうる収入源でもあります。ライフプランに落とし込む際は、直近数年の実績の平均値を保守的なベースラインとして使い、良い年の数字をそのまま将来に引き延ばさないよう注意することが重要です。
③不動産収入:長期的には安定するが、初期は変動しやすい
兼業大家として20年物件を運用してきた経験では、不動産収入は空室・修繕・入居者の入れ替わりなどにより、単年で見ると変動が大きい収入源です。しかし、複数物件・複数年で平均化すると、比較的安定したキャッシュフローとして捉えられるようになります。ライフプランでは、空室率・修繕費を織り込んだ手取りベースの家賃収入を使うことをおすすめします。表面上の家賃収入をそのまま使うと、実態より楽観的な数字になってしまいます。
④資産収入:複利で育ち、老後の柱になる
資産収入は、投資元本が積み上がるほど、配当金・分配金という形で徐々に存在感を増していく収入源です。20年間投資を続けてきた実感として、若いうちは資産収入の割合はごくわずかですが、時間をかけて元本が育つにつれて、老後の生活を支える柱の一つになっていきます。ライフプランでは、資産収入を早い段階から別枠で予測し、複利の効果を可視化しておくと、長期投資へのモチベーションにもつながります。
複数の収入源を持つことのリスク分散効果
収入源を複数持つ最大のメリットは、一つの収入源が減っても、他の収入源が補ってくれるという分散効果にあります。給与収入だけに依存していると、勤務先の業績悪化・リストラ・自身の病気やケガといったリスクが、そのまま生活の危機に直結してしまいます。
一つの収入源が減っても他が補う
複数の収入源を持っていれば、たとえ給与収入が一時的に減少しても、事業収入や不動産収入、資産収入がその減少分をある程度カバーしてくれる可能性があります。すべての収入源が同時に同じ幅で落ち込むことは考えにくく、収入源同士の相関が低いほど、この分散効果は高まります。ライフプランを作る際は、それぞれの収入源が「同時に落ち込みにくい組み合わせ」になっているかを意識してみることをおすすめします。
兼業大家・個人事業主としての経験から
実際に個人事業主・投資家・兼業大家という複数の立場を20年続けてきた中で、ある年は事業収入が落ち込んでも不動産収入が支えてくれたり、逆に不動産の大規模修繕で出費がかさんだ年は事業収入でカバーできたりと、収入源同士が補い合う場面を何度も経験してきました。収入源を一つに絞らないという選択は、リスクを抑えながら長期的に家計を安定させる上で、非常に有効な戦略だと実感しています。もし収入源が一つだけだったら、悪い年が重なるたびに、精神的にも家計的にももっと追い詰められていたのではないかと思います。
収入予測で陥りやすい3つの落とし穴
収入を予測する際、多くの人が陥りやすい落とし穴が3つあります。
落とし穴①:楽観的すぎる成長率を前提にする
「毎年3%昇給する」「事業収入は毎年10%伸びる」といった楽観的な成長率をそのまま生涯にわたって適用してしまうと、実際の収入とライフプラン上の予測が大きく乖離してしまいます。過去の実績を振り返り、保守的な成長率を採用することをおすすめします。楽観シナリオはあくまで参考値として別枠で持っておくとよいでしょう。
落とし穴②:インフレ調整を忘れる
収入の名目金額だけを見て「今と同じ生活水準を維持できる」と判断してしまうのも、よくある落とし穴です。物価が上昇していく中で、収入の名目額が変わらなければ、実質的な購買力は目減りしていきます。この点については、次回のシリーズ第8回で詳しく解説していきます。
落とし穴③:収入のピーク時期を見誤る
給与収入は50代でピークを迎え、その後は役職定年・再雇用などにより減少するケースが一般的です。一方、事業収入や資産収入は、必ずしも同じピーク時期を辿るとは限りません。それぞれの収入源が「何歳頃にピークを迎え、その後どう推移するか」を個別に見積もっておくことで、生涯を通じた収入の波をより正確に把握できます。
ライフプラン表に収入をどう書き込むか
ここまで整理してきた考え方を、実際にライフプラン表へ落とし込む方法を紹介します。
年齢×収入源のマトリクスで管理する
ライフプラン表には、横軸に年齢、縦軸に①〜④の収入源を並べたマトリクス形式で書き込むことをおすすめします。こうすることで、ある年齢で給与収入が減少しても、他の収入源がどの程度それを補っているかが一目で分かるようになり、収入の全体像をより直感的に把握できます。
保守的シナリオと楽観的シナリオを両方用意する
収入予測には、必ず保守的シナリオ(成長率を低め・不動産の空室率を高めに見積もる)と、楽観的シナリオ(現状のペースが続く前提)の両方を用意しておくことをおすすめします。ライフプランの意思決定は、基本的に保守的シナリオをベースに行い、楽観的シナリオは「うまくいけばこうなる」という参考値として扱うと、判断を誤りにくくなります。
収入予測は「今の自分」だけでなく「未来の自分」も含めて考える
収入予測というと、つい「今の自分がこのまま頑張り続けたら」という前提で考えがちです。しかし、ライフプランは10年後・20年後・30年後という長いスパンを扱うものである以上、そのときの「未来の自分」がどんな働き方をしているかも含めて想像しておく必要があります。
働き方は年齢とともに変わっていくのが自然
20代・30代のうちは、体力も気力も充実しており、長時間労働や複数の仕事を掛け持ちすることも可能かもしれません。しかし、40代・50代になるにつれて、働き方そのものを見直したくなる場面が出てくるのは自然なことです。ライフプランでは、「今のペースをずっと維持する」という前提ではなく、年齢に応じて働き方が変化していくことをあらかじめ織り込んでおくと、より現実的な収入予測になります。たとえば、給与収入への依存度を徐々に下げ、資産収入や不動産収入の割合を高めていくといったシフトを、年齢ごとに書き込んでおくのも一つの方法です。
「収入を増やす努力」と「支出を減らす努力」は両輪
ライフプランを改善する方法は、収入を増やすことだけではありません。支出管理シリーズで紹介したように、固定費の見直しや無駄遣いの削減によって、実質的な収支を改善するアプローチも同様に重要です。収入を増やす努力と支出を減らす努力は、どちらか一方だけに偏るのではなく、両輪として同時に進めていくことで、より早く、より確実にライフプランの目標に近づけるようになります。収入予測がやや保守的になったとしても、支出側でコントロールできる余地が大きければ、生涯収支は十分にプラスに保てる可能性があります。
収入源を「増やす」タイミングをライフプランに組み込む
収入源を新たに増やそうとするとき、多くの人がつまずくのは「いつ始めるか」というタイミングの問題です。子育てで忙しい時期に新しい事業を始めるのは負担が大きく、逆に子どもが手を離れてから始めようとすると、資産形成に使える時間が短くなってしまいます。この「いつ始めるか」という問いに正解はありませんが、少なくとも自分自身のライフステージと照らし合わせて、無理のないタイミングをじっくり見極めることは十分に可能です。
子育ての繁忙期と収入源拡大の時期を分けて考える
4人の子どもを育てている経験から言うと、乳幼児期は睡眠時間の確保すら難しく、新しいことに挑戦する余力はほとんどありませんでした。一方、子どもが小学校高学年以降になると、少しずつ自分の時間を確保できるようになり、新しい収入源の種をまく余裕が生まれてきます。子育ての繁忙期には既存の収入源を守ることに集中し、余力が生まれた時期に新しい収入源への挑戦を始めるという時間軸を、ライフプラン表にあらかじめ書き込んでおくと、無理のないペースで収入源を増やしていけます。
小さく始めて、育ってから本格化する
新しい収入源は、最初から大きく始める必要はありません。副業であれば月数千円の収入から、投資であれば少額のつみたてから始め、軌道に乗った段階で徐々に規模を拡大していくという進め方が、リスクを抑えながら収入源を育てる上で有効です。ライフプラン表には、「開始年齢」「軌道に乗るまでの想定期間」「軌道に乗った後の想定収入」の3点を書き込んでおくと、収入源が育っていく過程を可視化できます。焦らず、小さな一歩から着実に積み上げていくという姿勢が、結果的には遠回りに見えて一番の近道になることが多いというのが、これまでの実感です。
まとめ|収入は複数の柱で、保守的に見積もる
今回のポイントを整理します。
- 収入は給与・事業・不動産・資産の4カテゴリに分けて、個別に予測する
- 複数の収入源を持つことで、一つが減っても他が補うリスク分散効果が得られる
- 楽観的すぎる成長率・インフレ調整の欠如・ピーク時期の見誤りという3つの落とし穴に注意する
- ライフプラン表には保守的シナリオをベースに、楽観的シナリオは参考値として併記する
収入と、どう向き合ってきたか
個人事業主として独立してから20年、その間に投資と不動産経営という2つの柱を少しずつ育ててきました。4人の子どもを育てながらシングルファーザーとして家計を支える立場になったとき、給与収入という単一の柱だけに頼るのではなく、複数の収入源を持っていたことが、精神的な支えになったと感じています。一つの収入源だけに家計のすべてを委ねていたら、もっと大きな不安を抱えながら日々を過ごしていたはずです。
収入源を複数持つことは、決して一朝一夕にできることではありません。事業を軌道に乗せるにも、不動産を運用できるようになるにも、資産収入が意味のある金額に育つにも、それぞれ相応の年月がかかります。だからこそ、できるだけ早い段階から、複数の収入源を育てるという視点を持ち、少しずつでも種をまいておくことが、将来の自分を助けてくれると僕は考えています。今回紹介した4つのカテゴリを参考に、ぜひご自身の収入の柱を一つずつ整理してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 複数の収入源を持つのは難しそうですが、何から始めればいいですか?
まずは、今の給与収入以外に、小さくても始められる副業や資産運用(つみたてNISA等)から着手するのがおすすめです。いきなり大きな事業や不動産投資を始める必要はなく、小さな一歩を積み重ねることが大切です。焦らず、無理のないペースで続けていくことを意識してみてください。
Q2. 事業収入や不動産収入は、何年分の実績を平均すればいいですか?
できれば直近3〜5年分の実績を平均することをおすすめします。単年だけだと、たまたま良かった年・悪かった年の影響を強く受けてしまうため、複数年で平均化することで、より実態に近い保守的な数字が得られます。
Q3. 資産収入は、いつ頃から意味のある金額になりますか?
投資元本や利回りによって大きく異なりますが、複利の効果は時間をかけるほど大きくなるため、早く始めるほど有利です。一般的には、10年以上の運用期間を経てから、生活を支える柱として実感できる金額に育っていくケースが多いようです。焦らず、まずは少額からでも早く始めておくことが、後々の実感につながります。
Q4. 保守的シナリオと楽観的シナリオ、どちらを基準に将来の判断をすればいいですか?
住宅購入や教育費の準備計画など、後戻りしにくい大きな意思決定は、必ず保守的シナリオを基準に行うことをおすすめします。楽観的シナリオは、あくまで「うまくいった場合の上振れ」として参考程度に留めておくのが安全です。日々の家計管理も同様に、保守的な数字で運用しておくと、想定外の事態にも慌てず落ち着いて対応できます。
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シンパパ資産設計士
4児を育てるシングルファーザー/個人事業主20年/投資家20年/兼業大家20年
📝 noteでも毎日発信中
投資20年の失敗談・シングルファーザーのリアルな日常・お金の本音——ブログでは書きにくいことをnoteに書いています。


