暴落局面での投資判断、リーマンショック以降の学び

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投資家として20年、個人事業主として20年、大家として20年のキャリアを重ねてきました。この間、相場は何度も大きく上下してきましたが、中でもリーマンショックは、私自身の投資に対する考え方を根本から見直すきっかけになった出来事でした。4人の子どもを育てるシングルファーザーとして資産形成を続ける中で、暴落局面にどう向き合うべきかという問いは、今も繰り返し自分に問いかけているテーマです。今回は、その経験から得た学びを整理してみたいと思います。

リーマンショック当時の資産状況と心境

リーマンショックが起きた当時、私はまだ投資家としてのキャリアの初期段階にありました。保有していた資産の評価額が短期間で大きく下落していく様子を目の当たりにし、正直なところ強い不安を感じたことを覚えています。ニュースでは連日、金融機関の破綻や株式市場の急落が報じられ、自分の資産形成の前提そのものが崩れてしまうのではないかという恐怖もありました。

このとき最も大きな失敗だったと感じているのは、下落の初期段階でパニック的に一部の保有資産を売却してしまったことです。結果として、その後の回復局面での値上がり分を取り逃す形になり、「下落局面で慌てて動くことの危うさ」を身をもって学ぶことになりました。

暴落局面で「動かない」ことの難しさ

投資の教科書的には「暴落時こそ狼狽売りをしない」というのはよく語られる原則です。しかし実際に資産の評価額が日に日に減っていく状況を目の当たりにすると、この原則を守り続けることがどれほど難しいかを痛感しました。頭では理解していても、感情が判断を揺さぶってくるのです。

この経験以降、私は「暴落が起きたときにどう行動するか」をあらかじめルールとして決めておくことの重要性を強く意識するようになりました。感情的な判断を排除するために、あらかじめ「一定以上の下落があってもポートフォリオの配分比率は変えない」「積立投資は淡々と継続する」といった自分なりのルールを明文化し、暴落が起きたときにはそのルールに従って機械的に行動するよう心がけています。

積立投資を継続することの価値

リーマンショック以降、いくつかの下落局面を経験する中で最も効果を実感しているのが、積立投資を淡々と継続することの価値です。相場が下落している局面では、同じ金額でより多くの口数を購入できるため、結果として平均購入単価を下げる効果が期待できます。いわゆるドルコスト平均法の考え方ですが、これを理屈としてではなく、実体験として理解できたのはリーマンショック以降の経験があったからこそです。

もちろん、その後の相場が必ず回復するという保証はどこにもありません。過去の相場において回復が見られたからといって、将来も同様の展開になるとは限らない点には十分な留意が必要です。それでも、長期的な視点で淡々と積立を続けるという姿勢は、その後のコロナショックなど別の下落局面でも自分を支えてくれる考え方になりました。

現金比率と生活防衛資金の重要性

暴落局面を経験して強く意識するようになったのが、現金比率と生活防衛資金の重要性です。個人事業主という収入が変動しやすい働き方をしている以上、投資資産だけに頼らず、一定期間の生活費をカバーできる現金を別途確保しておくことは欠かせません。相場が暴落しているタイミングで、生活費を工面するために保有資産を売却せざるを得なくなる状況は、最も避けたいシナリオの一つです。

大家業からの家賃収入というもう一つの収入源があったことも、暴落局面を乗り越える上で大きな支えになりました。関連記事の「高配当株だけに偏っていた時期、インデックスに比率を戻した理由」でも触れているように、収入源を複数持つことは、投資判断において精神的な余裕を生む重要な要素だと感じています。

子どもの教育資金と暴落局面のタイミング

4人の子どもを育てる中で、教育資金の準備タイミングと相場の暴落局面が重なるリスクについても、意識するようになりました。教育資金として使う予定の時期が近づいている資金は、値動きの大きい株式投資からより安定した資産へと段階的にシフトしていく方針を取っています。

このように「使う時期が近い資金」と「長期的に運用を続ける資金」を明確に分けて管理することで、暴落局面が教育資金の準備タイミングと重なってしまうリスクをある程度コントロールできるようになりました。関連記事の「ジュニアNISA終了後、子ども名義の資産をどう引き継ぐ設計にしたか」でも、こうした資金の性質に応じた管理方法について触れています。

暴落局面はむしろ学びの機会でもある

振り返ってみると、リーマンショックをはじめとする暴落局面は、精神的には非常につらい経験である一方、投資家としての判断力を鍛える貴重な機会でもあったと感じています。実際に資産が大きく目減りする経験をしなければ、頭で理解しているだけの知識が、いざというときに本当に役立つかどうかは分かりません。

暴落局面のたびに、自分の投資ルールや資産配分を見直す機会として捉えるようになったことで、以前よりも冷静に相場の変動と向き合えるようになったと感じています。もちろん、今後どのような暴落が起きるかは誰にも予測できませんが、過去の経験から得たルールを持っていることは、大きな心の支えになっています。

コロナショックで試されたリーマンショックの教訓

リーマンショックから十年以上が経ったころ、コロナショックという別の暴落局面を経験しました。世界的な感染症の拡大によって株式市場が短期間で大きく下落したこの局面は、下落のスピードという点ではリーマンショックを上回るほどの急激さでした。それでも、このときの自分の行動は、リーマンショックのときとは大きく違っていました。

あらかじめ決めていた「暴落時にも積立投資は継続する」「資産配分の比率は変えない」というルールに従い、下落の最中も淡々と積立を続けることができました。評価額が目に見えて減っていく状況は相変わらず精神的につらいものでしたが、リーマンショックのときに感じたようなパニックに近い感覚はなく、あらかじめルールを持っていることの効果を実感する経験になりました。結果として、その後の回復局面での値上がりを取り逃すことなく資産形成を継続できたことは、暴落局面で「動かない」ための備えがいかに重要かを改めて裏付ける出来事だったと感じています。

暴落局面での資産点検を数値で管理する仕組み

感情に頼らず暴落局面を乗り切るために、私は資産配分の点検を数値のルールとして明文化しています。具体的には、株式・債券・現金・不動産といった資産クラスごとの目標比率をあらかじめ決めておき、市場の変動によってその比率が目標から一定以上(目安として5%程度)乖離した場合にのみ、リバランス(資産配分の調整)を検討するという仕組みです。

この仕組みを持つメリットは、暴落局面で「今売るべきか、買い増すべきか」という感情的な判断を都度下す必要がなくなる点にあります。比率が目標からどれだけ乖離しているかという客観的な数値さえ確認すれば、次に取るべき行動がおのずと決まってくるからです。もちろん、この乖離幅の設定に絶対的な正解はなく、自分自身のリスク許容度に応じて調整していくべきものだと考えています。それでも、暴落のたびに一から判断基準を考え直すよりも、あらかじめ用意しておいたルールに沿って淡々と点検する方が、精神的な負担ははるかに小さく済んでいます。

大家業のローン返済と暴落局面が重なったときの備え

大家業を営んでいると、不動産投資ローンの返済という固定的な支出が毎月発生します。この返済と、投資資産の暴落局面が重なった場合にどう資金を確保するかという点も、リーマンショック以降に強く意識するようになったテーマです。

家賃収入自体は株式市場の暴落と直接連動するものではないため、空室が発生していない限り、ローン返済に充てる資金を投資資産の取り崩しに頼る必要は基本的にありません。それでも、万が一大きな空室や修繕費の発生といった不動産特有のリスクと、株式市場の暴落が同時期に重なった場合に備えて、不動産用の資金と投資用の資金、生活防衛資金は明確に口座を分けて管理し、それぞれが独立して機能するようにしています。ひとつの資金源に何かあっても、他の資金源でカバーできる状態を保っておくことが、暴落局面のような不確実性が高まる場面での安心材料になっています。

暴落局面でむしろ投資額を増やした判断

リーマンショック以降、複数回の下落局面を経験する中で、単に「売らない」だけでなく、余裕資金がある場合には暴落局面でむしろ投資額を増やすという判断を意識的に行うようになりました。相場が大きく下落しているタイミングは、同じ金額でより多くの口数を購入できる局面でもあるため、通常の積立額に加えて、スポット的な買い増しを行うことを検討するようにしています。

もちろん、これは生活防衛資金や近い将来に使う予定の資金を取り崩してまで行うべきものではなく、あくまで余裕資金の範囲内で、かつ自分自身のリスク許容度に見合った金額で行うことを大前提にしています。実際にコロナショックの下落局面では、通常より多めの金額を投資に振り向けた時期があり、その後の回復局面でその判断が結果的に功を奏した経験もありました。ただし、これはあくまで結果論であり、暴落局面での買い増しが常に正しい判断になるとは限らないという点は、常に念頭に置くようにしています。

子どもたちに暴落局面をどう伝えているか

4人の子どもを育てる中で、資産の評価額が大きく下落する局面をどう子どもたちに説明するかという点も、意外と悩ましいテーマです。ニュースなどで株価の急落が報じられる時期には、子どもなりに不安を感じることもあるようで、家庭でお金の話をする際には、この点にも配慮するようにしています。

子どもたちには、投資は短期的な値動きに一喜一憂するものではなく、長期的な視点で取り組むものだという考え方を、それぞれに合った言葉で伝えるようにしています。「値段が下がっている今は、同じお金でたくさん買えるチャンスでもある」というような前向きな捉え方を伝えることで、暴落局面をただ怖いものとしてではなく、資産形成の一つのプロセスとして理解してもらえるよう心がけています。こうした対話を重ねることは、将来子どもたちが自分自身で資産形成に取り組む際の土台になればという思いもあります。

暴落局面に備えて日頃から行っている資産点検のルーティン

暴落が実際に起きてから対応を考えるのでは遅いと感じるようになってから、私は月に一度、決まった日に資産全体の状況を点検するルーティンを続けています。証券口座の評価額、資産クラスごとの比率、現金と生活防衛資金の残高、そして大家業の家賃収入の入金状況まで、複数の項目を一つの表にまとめて確認する作業です。個人事業主として毎月の帳簿をつけてきた習慣が、この資産点検のルーティンにも自然と活きています。

この月次の点検を続けている理由は、暴落が起きた瞬間に慌てて現状を把握しようとすると、どうしても冷静さを欠いた判断をしてしまいがちだからです。普段から自分の資産状況を数字で把握できていれば、いざ暴落局面に直面したときも、「今の下落幅は資産全体の何パーセントに相当するのか」「生活防衛資金は何か月分残っているのか」といった具体的な数字にすぐアクセスでき、感情ではなく事実に基づいた判断がしやすくなります。

この点検のもう一つの効果は、暴落が起きていない平時においても、資産配分が少しずつ目標からずれていないかを早期に発見できることです。市場が堅調な局面では株式の比率が自然と高まっていくことが多く、これに気づかないまま放置していると、いざ暴落が来たときの下落インパクトが想定より大きくなってしまいます。月に一度の点検を通じて、平時のうちから小さなずれを修正しておくことが、結果的に暴落局面でのダメージを抑えることにつながっていると感じています。

暴落局面を経験して変わった保険・共済との向き合い方

投資資産の暴落局面を何度か経験する中で、投資とは別の角度からリスクへの備えを見直すきっかけにもなりました。以前は収入保障保険や就業不能に備える保険への加入も検討したことがありましたが、保険料に見合うだけの合理性を見出せず、その分を生活防衛資金として厚めに確保しておく方針に落ち着きました。

暴落局面において最も避けたいのは、投資資産の評価額が下がっているタイミングで、病気やけがによる収入減少といった別のリスクまで同時に発生してしまうことです。個人事業主には傷病手当金のような制度がないため、こうした複数のリスクが重なる可能性を考慮した上で、生活防衛資金を厚めに確保し、投資資産の取り崩しに頼らずに済む備えを別途用意しておくことの重要性を、暴落局面を経験するたびに再認識してきました。

保険料というコストをかけて民間保険でリスクをヘッジするよりも、その分を現金や流動性の高い資産で確保しておくほうが、自分にとっては合理的だという結論に落ち着いています。それでも、投資というリスク資産の運用と、生活防衛資金というリスクヘッジの仕組みを組み合わせて考えるようになったことは、暴落局面という厳しい経験を通じて得られた、資産形成全体を見渡す視点の広がりだったと感じています。

暴落局面を経験した投資家同士の情報交換から得た気づき

長年投資を続けていると、同じように長期で資産形成に取り組んでいる投資家仲間との情報交換が、暴落局面を乗り越える上で思いのほか支えになることに気づきます。SNSや投資関連のコミュニティを通じて、同じ下落局面をリアルタイムで経験している他の投資家がどのような判断をしているかを知ることは、自分一人で悩んでいるときには得られない視点を与えてくれます。

特に印象に残っているのは、リーマンショックのときには周囲に同じように悩みを共有できる相手がほとんどおらず、孤独な判断を迫られたのに対し、コロナショック以降の下落局面では、オンラインで多くの投資家の反応をリアルタイムに近い形で知ることができ、「自分だけがこの不安を抱えているわけではない」と感じられたことでした。この安心感は、冷静な判断を維持する上で想像以上に大きな支えになりました。

一方で、こうした情報交換には注意すべき点もあります。周囲の投資家の判断や発言に影響されすぎて、自分自身の投資方針やルールから逸脱してしまっては本末転倒です。他者の意見はあくまで参考情報として受け止め、最終的な判断は自分自身のルールと状況に照らして下すという姿勢を、情報交換をする中でも常に意識するようにしています。

暴落局面で見送った「絶好の買い場」という言葉への注意

暴落局面になると、投資関連の情報の中で「今が絶好の買い場だ」という言葉を目にする機会が増えます。過去の経験を踏まえると、こうした言葉に安易に飛びつくことには慎重であるべきだと感じるようになりました。結果的に振り返れば良いタイミングだったとしても、その渦中にいる時点で「本当に底なのか」を正確に判断することは、投資家としての経験を積んでもなお難しいものです。

そのため私は、「絶好の買い場かどうか」を見極めようとするのではなく、あらかじめ決めておいたルールに従って淡々と積立と、余裕資金の範囲での買い増しを続けるという姿勢を貫くようにしています。相場のタイミングを正確に当てにいくのではなく、いつ買っても大きく後悔しないような資産配分と資金管理を平時から整えておくことの方が、長期的には再現性の高い戦略だと考えるようになりました。

まとめ

リーマンショック以降、複数の暴落局面を経験する中で、狼狽売りの失敗、積立投資継続の価値、現金比率の重要性、教育資金の管理方法など、多くの学びを得てきました。感情に流されず、あらかじめ決めたルールに従って行動することの大切さは、実際に資産が目減りする経験をして初めて腹落ちした教訓です。暴落局面は誰にとっても不安なものですが、備えと学びによって、その不安を少しずつ軽減できると感じています。

免責事項

本記事は筆者個人の投資経験に基づく一般的な情報共有を目的としたものであり、特定の投資手法や金融商品を推奨するものではありません。過去の相場動向は将来の成果を保証するものではなく、投資には元本割れのリスクがあります。個別の投資判断については、ご自身の状況を踏まえた上で、金融商品取引業者やファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談ください。

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