簿記3級を取得しよう【お金の流れが見える基礎資格】4児パパ20年事業主が伝える本当のメリット

ひとり親の家計

  1. はじめに ─ 「簿記なんて、経理の人しか必要ない」は本当か
  2. 結論:こんな人に簿記3級は強くおすすめ
  3. 簿記3級の試験概要(2026年現在)
  4. 簿記3級で学ぶ6つの知識領域
  5. 4児パパが実感した簿記3級の効果【実数値】
    1. 効果1:青色申告65万円控除の獲得 → 年間税金20万円超の節税
    2. 効果2:家計の「バランスシート化」 → 隠れ負債を把握
    3. 効果3:減価償却の理解 → 車・家電購入の判断軸変化
    4. 効果4:売掛・買掛の意識 → クレカポイントの収益タイミング把握
    5. 効果5:損益計算書感覚 → 月次・年次の家計収支を体系把握
  6. 簿記の知識を数字で体感する ─ 減価償却の具体的シミュレーション
    1. ケース:200万円の普通自動車(新車)を事業用に購入
  7. 青色申告65万円控除の節税効果を所得別にシミュレーション
  8. 学習方法の比較:独学 vs 通信講座 vs スクール
    1. 独学(市販テキスト+過去問)
    2. 通信講座
      1. スタディング
      2. クレアール
      3. フォーサイト
    3. スクール(通学)
  9. 受検準備のステップバイステップ
    1. ステップ1:テキスト・問題集の選定(1日)
    2. ステップ2:基礎仕訳の反復(30〜40時間)
    3. ステップ3:帳簿・試算表の作成(20時間)
    4. ステップ4:決算手続き(20時間)
    5. ステップ5:過去問5回分(10〜20時間)
    6. ステップ6:CBT試験予約・受検
  10. 80〜100時間をどう配分する? 学習スケジュールの一例
  11. 簿記3級とFP3級、どちらを先に取るべき?
    1. 推奨ルート
  12. 兼業大家として簿記を使う ─ 不動産所得の損益通算という武器
    1. 損益通算の基本イメージ
  13. 簿記の知識がないまま個人事業・大家業を続けた人によくある失敗例
    1. 失敗例1:レシートを溜め込むだけで仕訳をしていない
    2. 失敗例2:プライベートと事業のお金が混ざっている
    3. 失敗例3:減価償却を忘れて一括経費にしてしまう
    4. 失敗例4:家計を「収入-支出」だけで見て資産・負債を把握していない
    5. 失敗例5:不動産所得の赤字を放置し損益通算のメリットを取りこぼす
  14. 簿記3級取得後のステップアップ
    1. ステップA:簿記3級だけで止まる
    2. ステップB:簿記2級へ進む
    3. ステップC:簿記1級・公認会計士・税理士
    4. ステップD:他資格との組み合わせ
  15. 簿記3級の知識を家計改善に応用する具体例
    1. 応用1:家計のバランスシート作成
    2. 応用2:家計の損益計算書
    3. 応用3:減価償却の意識
  16. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. 主婦/主夫が簿記3級を取って意味ある?
    2. Q2. 合格率40〜50%は難しい?
    3. Q3. 個人事業主に絶対必要?
    4. Q4. CBT通年受検になって何が変わった?
    5. Q5. テキストはどれを買えばいい?
  17. 会計ソフト(freee・マネーフォワード)があれば簿記の知識は不要?
    1. Q6. 簿記3級は独立前と独立後、どちらのタイミングで取るべき?
    2. Q7. 簿記3級だけで確定申告は自分でできるようになる?
    3. Q8. 簿記3級の知識は投資(株式・投資信託)にも役立つ?
    4. Q9. 40代・50代から簿記3級を取っても遅くない?
  18. まとめ ─ 「お金の言葉」を覚える資格

はじめに ─ 「簿記なんて、経理の人しか必要ない」は本当か

「簿記って、経理の仕事してる人が取る資格でしょ?」

「家計簿は付けてるし、簿記まで必要ある?」

家計相談を受けるたびに何度も聞かれる質問です。

僕が20年事業主として、そして4児を育てるシングルファーザーとして、はっきり言えることは──

簿記3級は「お金の流れを正しく見るための日本語」です。

簿記を知らないと、

  • 家計簿を付けても何が無駄か見えない
  • 投資の損益計算が感覚的になる
  • 個人事業主なら青色申告65万円控除を取れない
  • ふるさと納税の効果が正確に分からない
  • 家のお金が「収入-支出」だけの単線でしか把握できない

逆に、簿記3級を取った後の世界では、

  • バランスシート的思考」で家計の体力(自己資本)が見える
  • 損益計算的思考」で月の赤黒・累計の黒字額が見える
  • 減価償却」を知り、車・家電の本当のコストが分かる
  • 売掛・買掛」を知り、クレカ・ポイントの未収益も把握できる

僕自身、簿記3級を取ったのは独立して3年目。

それまでは「売上から経費を引いた残りが利益」という小学生レベルの会計感覚でした。

簿記3級を取った後の青色申告で控除65万円を確定させ、初年度だけで年間税金20万円超が変わりました。

この記事では、4児シングルファーザー × 個人事業主20年 × 投資家20年として、

  • 簿記3級が本当に役立つ場面(経理職以外)
  • 学べる内容と家計・事業への応用例
  • 独学 vs 通信講座 vs スクールの比較
  • FP3級との組み合わせの威力

を本気で解説します。


結論:こんな人に簿記3級は強くおすすめ

タイプ 推奨度 理由
個人事業主・フリーランス ★★★★★ 青色申告65万円控除が取れる
副業を始めた人 ★★★★★ 年間20万円超なら申告必要、帳簿が必須
主婦/主夫(家計マネジメント) ★★★★☆ 家計簿が「資産と負債」の両軸で見える
大家業を始める人 ★★★★★ 不動産所得の青色申告に直結
40代以降の資産形成期 ★★★★☆ 投資の損益、資産推移を体系的に把握
学生・若手社会人 ★★★★☆ 就職にも一定の効果+金融リテラシーの礎
就活目的(経理) ★★★★★ 経理職の登竜門

→ 「お金を持って動かす全ての人」に効く資格、それが簿記3級の正体です。


簿記3級の試験概要(2026年現在)

項目 内容
受検資格 不問(誰でも受検可能)
試験団体 日本商工会議所
試験形式 CBT通年随時受検+年3回の統一試験
受検料 3,300円(業界最安級)
合格率 40〜50%(FP3級より難しい)
勉強時間目安 80〜100時間(1〜3ヶ月)
合格基準 70点以上(100点満点)

→ FP3級より合格率は低いが、3,300円という低価格で受検し放題

不合格でも翌日再挑戦可能な気軽さが特徴。


簿記3級で学ぶ6つの知識領域

簿記3級の試験範囲は、お金の流れの記録と決算に集約されます。

領域 学ぶ内容 家計・事業への活かし方
①簿記の基礎知識 簿記の役割、5要素、勘定科目、簿記一巡 お金の流れの全体像が見える
②仕訳の記録方法 借方・貸方、基本取引、売掛・買掛、固定資産 クレカ・ローン・固定費の正確な把握
③帳簿の仕組み 日記帳・総勘定元帳・残高試算表・精算表 家計簿アプリの裏側構造を理解
④決算手続き 棚卸資産・減価償却・貸倒引当金・決算整理仕訳 車・家電の本当のコスト計算
⑤財務諸表の作成と読み方 貸借対照表(B/S)・損益計算書(P/L) 家計のバランスシート・損益視点
⑥経理実務の基礎 伝票・現金出納帳・領収書・小口現金 経費管理、屋号口座の運用

→ 各領域の詳細は簿記3級 基礎知識完全解説など個別記事で展開予定です。


4児パパが実感した簿記3級の効果【実数値】

僕が独立3年目に簿記3級を取って起きた変化です。

効果1:青色申告65万円控除の獲得 → 年間税金20万円超の節税

  • 簿記3級なし時代:白色申告 控除0円
  • 簿記3級取得後:青色申告 控除65万円
  • 結果:所得税15%+住民税10%+事業税相当 = 約16万円〜25万円/年の節税
  • 生涯換算で500万円超

効果2:家計の「バランスシート化」 → 隠れ負債を把握

  • 学んだ知識:資産・負債・純資産の3要素
  • 行動:住宅ローン・カーローン・クレカリボ残高を可視化
  • 結果:「実は純資産マイナス」だった時期に投資抑制

効果3:減価償却の理解 → 車・家電購入の判断軸変化

  • 学んだ知識:固定資産の耐用年数別償却
  • 行動:「10万円超のものは数年で按分」と意識
  • 結果:衝動買いの抑制+経費計上の最適化

効果4:売掛・買掛の意識 → クレカポイントの収益タイミング把握

  • 学んだ知識:発生主義(実際の支払日ではなく取引日で記録)
  • 行動:ポイント還元を「未収益」として家計に組み込む
  • 結果:ポイント運用効率の向上

効果5:損益計算書感覚 → 月次・年次の家計収支を体系把握

  • 学んだ知識:収益・費用・純利益
  • 行動:家計を月次P/Lで管理
  • 結果:何が利益を圧迫しているかを構造的に把握

→ 合計年間20〜30万円規模の節税+家計改善。簿記3級の受検料3,300円は数日でペイしました。


簿記の知識を数字で体感する ─ 減価償却の具体的シミュレーション

簿記3級で学ぶ「減価償却」は、言葉で説明されるより数字で見たほうが圧倒的に理解が早くなります。ここでは事業用の車を購入したケースで、実際にどんな計算になるのかを追ってみます。

ケース:200万円の普通自動車(新車)を事業用に購入

  • 取得価額:200万円
  • 法定耐用年数:6年(普通自動車の場合)
  • 償却方法:定額法
  • 年間償却費:200万円 ÷ 6年 ≒ 約33.3万円/年
  • 月あたりの実質コスト:33.3万円 ÷ 12ヶ月 ≒ 約2.8万円/月

簿記を知らない状態だと、「200万円のキャッシュが出ていった」という一時的な支出感覚でしか捉えられません。しかし減価償却を理解していると、「この車は毎月2.8万円のコストを6年間払い続けているのと同じ」という実質コスト感覚で判断できるようになります。

これは中古車を選ぶときの判断にも直結します。中古車は法定耐用年数から経過年数を差し引いた期間(簡便法による計算あり)で償却できるため、短期間で経費化しやすく、節税効果が高いという特性を数字で理解できるようになるのです。

資産の種類 法定耐用年数 年間償却率の目安
普通自動車 6年 約16.7%
軽自動車 4年 25%
パソコン 4年 25%
エアコン 6年 約16.7%
木造アパート(住宅用) 22年 約4.5%
軽量鉄骨アパート 19〜27年 約3.7〜5.3%
RC造マンション 47年 約2.1%

兼業大家として物件を持つ場合、この耐用年数の理解は物件選びそのものを左右する重要な知識になります。木造は耐用年数が短い分、減価償却費を早いペースで経費化でき、初期の節税効果が大きくなる一方、RC造は長期にわたって安定した償却が続く、という違いが数字で見えてくるからです。


青色申告65万円控除の節税効果を所得別にシミュレーション

「青色申告で65万円控除が受けられる」と言われても、具体的にいくら得するのかがピンとこない人は多いはずです。ここでは課税所得(各種控除後の所得金額)別に、65万円控除がある場合とない場合の税負担差をシミュレーションします(住民税は一律10%として概算、復興特別所得税は簡略化のため含めていません)。

課税所得(控除前)の目安 所得税率の目安 65万円控除による節税額の目安
300万円 10% 所得税+住民税で約13万円
500万円 20% 所得税+住民税で約20万円
800万円 23% 所得税+住民税で約23万円
1,000万円 33% 所得税+住民税で約30万円

※税率は超過累進課税のため、実際には所得の一部にのみ高い税率がかかります。上記はあくまで目安です。

個人事業主として長く活動してきた実感として、この控除額は「白色申告のままだった場合」との差が年々効いてくるという点が重要です。単年では数十万円でも、10年・20年という時間軸で積み上げると数百万円単位の差になります。青色申告に必要な複式簿記の知識は、簿記3級の範囲でほぼカバーできます。


学習方法の比較:独学 vs 通信講座 vs スクール

独学(市販テキスト+過去問)

コスト:2,000〜4,000円

期間:2〜3ヶ月

推奨テキスト:『スッキリわかる日商簿記3級』『簿記3級 みんなが欲しかった

メリット:最安・自分のペース

デメリット:仕訳でつまずきやすい・質問できない

向く人:勉強慣れ・基礎数学に抵抗ない

通信講座

コスト:3,000〜30,000円

期間:1〜3ヶ月

メリット:動画講義で仕訳が体系的に頭に入る

デメリット:独学より高い

おすすめ通信講座3社

スタディング

  • 受講料3,850円〜(業界最安級)
  • スマホ完結
  • 問題演習量が多く仕訳に強くなる

クレアール

  • 受講料14,800円〜
  • 非常識合格法で出題傾向に絞った学習
  • 仕訳から決算まで一気通貫の動画

フォーサイト

  • 受講料16,800円〜
  • フルカラーテキスト+eラーニング
  • 合格点突破に必要な知識だけを厳選

スクール(通学)

コスト:30,000〜60,000円

期間:1〜3ヶ月

メリット:講師質問・モチベ維持・簿記2級まで一気に進める

デメリット:高額・通学時間

向く人:簿記2級・1級まで取りたい、教室派、独立してCPA志向


受検準備のステップバイステップ

ステップ1:テキスト・問題集の選定(1日)

  • スッキリわかる日商簿記3級』+ 過去問題集の2冊が王道
  • 通信講座を取るなら独学テキストは不要

ステップ2:基礎仕訳の反復(30〜40時間)

  • 借方・貸方の概念を完全に体に染み込ませる
  • 仕訳問題100問×3周が目安
  • ここを乗り越えれば合格は近い

ステップ3:帳簿・試算表の作成(20時間)

  • 仕訳 → 元帳 → 試算表の流れを反復
  • 計算ミスを減らす訓練

ステップ4:決算手続き(20時間)

  • 減価償却・貸倒引当金・棚卸資産の評価
  • 精算表の作成

ステップ5:過去問5回分(10〜20時間)

  • 過去問または予想問題集で本番形式に慣れる
  • 70点を安定的に超えるかを確認

ステップ6:CBT試験予約・受検

  • CBT方式で通年随時受検可
  • 受検料3,300円
  • 不合格でも翌日再挑戦可

80〜100時間をどう配分する? 学習スケジュールの一例

「80〜100時間」と言われても、日々の生活の中でどう捻出すればいいのか分かりにくいものです。仕事や家事をしながら学習時間を確保する場合の、大まかな配分例を示します。

学習内容 週あたり目安時間
1週目 簿記の基礎知識・仕訳の考え方 7〜8時間
2〜3週目 基本仕訳の反復(売買・現金・預金・債権債務) 各8〜10時間
4週目 帳簿の仕組み(元帳・試算表) 7時間
5週目 決算手続き(減価償却・引当金・棚卸) 8時間
6週目 財務諸表の作成練習 7時間
7〜8週目 過去問・予想問題演習 各6〜8時間

1日1〜1.5時間程度を平日に確保できれば、2ヶ月前後で合格ラインに届く計算になります。毎日机に向かう時間を確保しづらい場合は、通勤・移動時間にスマホで仕訳問題を解ける通信講座を組み合わせると、時間の捻出がぐっと楽になります。


簿記3級とFP3級、どちらを先に取るべき?

観点 簿記3級 FP3級
学ぶ内容 お金の記録・流れ お金の使い方・備え方
直接的な節税効果 ◎(青色申告控除) ◎(保険・年金・iDeCo)
個人事業主の実務
主婦/主夫の家計改善
学習時間 80〜100時間 80〜100時間
合格率 40〜50% 70〜80%
試験頻度 CBT通年 CBT通年

推奨ルート

個人事業主・大家業・副業の人

簿記3級 → FP3級 の順がおすすめ。

青色申告控除を最速で取って税金を圧縮し、その節税原資でFP3級の知識を実装する流れ。

会社員・主婦/主夫の人

FP3級 → 簿記3級 の順がおすすめ。

保険・年金・iDeCoなど身近な改善から取り組み、その後に家計の体系化として簿記。

→ 詳しくはFP3級取得勧奨も参照。


兼業大家として簿記を使う ─ 不動産所得の損益通算という武器

兼業大家をしていると、修繕費がかさむ年や空室が続く年に、不動産所得が赤字になることがあります。ここで簿記の知識が生きるのが「損益通算」です。

損益通算の基本イメージ

  • 給与所得や事業所得が黒字
  • 不動産所得が赤字(大規模修繕・空室損失など)
  • 一定の条件下で、不動産所得の赤字を他の所得と合算し、課税所得全体を圧縮できる

ただし、赤字の中身が「土地取得のための借入金利子」に該当する部分は損益通算の対象外になるなど、簿記・税務の知識がないと正しく判断できない例外も多くあります。複式簿記で不動産所得の帳簿をきちんとつけていれば、青色申告決算書(不動産所得用)を見ながら、どの経費がどこに効いているのかを自分の目で確認できるようになります。

会計ソフトに任せきりにしていると、この「なぜその数字になったのか」を説明できないまま申告してしまいがちです。簿記3級レベルの知識があれば、税理士に依頼している場合でも質問の解像度が上がり、結果的により良いアドバイスを引き出せるようになります。


簿記の知識がないまま個人事業・大家業を続けた人によくある失敗例

家計相談や事業相談を受ける中で、簿記の基礎を知らないまま数年間事業や大家業を続けてしまった結果、後から苦労するケースを数多く見てきました。代表的な失敗例を5つ紹介します。

失敗例1:レシートを溜め込むだけで仕訳をしていない

確定申告の直前に1年分のレシートを整理しようとして、何の経費か分からなくなり、結局多くを経費計上できずに終わるパターンです。簿記の知識があれば「取引が発生したその場で仕訳のイメージを持つ」習慣がつき、月次で整理できるようになります。

失敗例2:プライベートと事業のお金が混ざっている

事業用口座を分けていても、生活費を頻繁に事業用カードで支払い、逆に事業経費を個人の財布から出す、といった状態が続くと、期末に「事業主貸」「事業主借」の整理だけで数時間かかることになります。仕訳の考え方を知っていれば、この整理の負担は大きく下がります。

失敗例3:減価償却を忘れて一括経費にしてしまう

10万円を超える資産を購入年に全額経費にしてしまい、後から税理士や税務調査で指摘を受けるケースです。減価償却の考え方(資産計上して耐用年数で按分する)を知らないと起きやすい典型的なミスです。

失敗例4:家計を「収入-支出」だけで見て資産・負債を把握していない

毎月の収支はプラスなのに、住宅ローンやカーローン、カードのリボ残高といった負債の全体像を把握しておらず、いざ資産を棚卸してみたら純資産がほとんど増えていなかった、というケースです。バランスシート的な視点がないと、この「隠れ負債」に気づくのが遅れます。

失敗例5:不動産所得の赤字を放置し損益通算のメリットを取りこぼす

不動産所得が赤字になっているのに、青色申告の仕組みを理解していないために損益通算や繰越控除を使わず、本来圧縮できたはずの税負担をそのまま払い続けてしまうケースです。

これらはすべて、簿記3級レベルの知識があれば防げる、あるいは早期に気づける失敗です。資格そのものより、「仕訳的にお金の動きを捉える習慣」が身につくことに一番の価値があります。


簿記3級取得後のステップアップ

ステップA:簿記3級だけで止まる

  • 個人事業主の青色申告に活用
  • 家計をB/S・P/Lで管理
  • 多くの個人にとってここで十分

ステップB:簿記2級へ進む

  • 就活・転職での評価が一気に上がる
  • 工業簿記が追加 → 製造業の経理にも対応
  • 学習時間:+250〜350時間
  • 合格率:20〜30%(急に難易度上昇)

ステップC:簿記1級・公認会計士・税理士

  • 専門家としての道が開ける
  • 簿記1級:+500時間・合格率10%
  • 公認会計士・税理士:プロ向け資格

ステップD:他資格との組み合わせ

  • 簿記3級+FP3級 = 家計&事業の両軸
  • 簿記3級+宅建 = 不動産事業の基盤
  • 簿記2級+宅建+FP2級 = 不動産投資家の三種の神器

簿記3級の知識を家計改善に応用する具体例

応用1:家計のバランスシート作成

毎年12月末に、

  • 資産:現金・預金・投資・住宅評価額・車評価額
  • 負債:住宅ローン残高・カーローン・カード未払い
  • 純資産:資産 − 負債

を計算する習慣を作る。

純資産の年次推移で家計の健全性が一目瞭然。

応用2:家計の損益計算書

毎月、

  • 収益:給与・副業・配当
  • 費用:固定費・変動費・娯楽費
  • 純利益:収益 − 費用

を月次集計。

「いつ赤字に転じたか」が即把握。

応用3:減価償却の意識

  • 車:6年(普通車)/4年(軽)で按分
  • 家電:5〜8年で按分
  • リフォーム:建物耐用年数で按分

→ 「月いくらの実質コスト」が見える。

詳細は簿記3級 基礎知識完全解説で展開予定。


よくある質問(FAQ)

Q1. 主婦/主夫が簿記3級を取って意味ある?

A. 大いにあります

家計のバランスシート化・損益計算化で、家計の体力と収支構造が立体的に見えるようになります。

Q2. 合格率40〜50%は難しい?

A. しっかり80時間勉強すれば合格圏

独学で挫折する人が多い理由は「仕訳で詰まる」こと。動画講義で乗り越えれば突破可能。

Q3. 個人事業主に絶対必要?

A. 青色申告65万円控除を取りたいなら必須レベル。

取らずにfreeeやマネーフォワード等の会計ソフトに頼る選択肢もあるが、根本原理を理解しているかで意思決定の質が変わる

Q4. CBT通年受検になって何が変わった?

A. 準備ができたら即受検できる。

紙試験の年3回(6月・11月・2月)に縛られなくなった。

Q5. テキストはどれを買えばいい?

A. 『スッキリわかる日商簿記3級』が独学のスタンダード。

通信講座を取るなら、講座付属テキストで十分。


会計ソフト(freee・マネーフォワード)があれば簿記の知識は不要?

「会計ソフトが自動で仕訳をしてくれるなら、簿記の勉強は不要では?」という質問もよく受けます。結論から言うと、会計ソフトは「作業」を自動化してくれるだけで、「判断」は代わりにしてくれません

  • この支出は経費にできるのか、できないのか
  • 家事按分(自宅兼事務所の家賃・光熱費など)は何%が妥当か
  • 資産計上すべきか、一括経費でよいか
  • 不動産所得の赤字は損益通算できる部分とできない部分のどちらか

こうした判断は、会計ソフトが自動で教えてくれるものではありません。簿記3級レベルの知識があれば、会計ソフトが吐き出す数字の意味を理解しながら、間違った自動仕訳を自分で修正できるようになります。逆に知識がないまま自動化に頼ると、誤った仕訳がそのまま決算書に反映され、税務上のリスクになることもあります。

会計ソフトと簿記の知識は「どちらか」ではなく、知識があるからこそソフトを正しく使いこなせるという補完関係にあります。

Q6. 簿記3級は独立前と独立後、どちらのタイミングで取るべき?

A. 独立前が理想ですが、独立後でも十分に間に合います

独立前に取っておけば、開業初年度から青色申告65万円控除を狙えます。すでに独立している場合も、取得した年から複式簿記に切り替えれば、その年から控除の恩恵を受けられます。

Q7. 簿記3級だけで確定申告は自分でできるようになる?

A. 個人事業主レベルの申告であれば、多くのケースで自力対応が可能になります。

ただし、不動産所得が複数物件にわたる場合や、事業規模が大きくなってきた場合は、簿記の知識をベースにしつつ税理士に相談する体制の方が結果的に効率的です。簿記を知っているかどうかで、税理士との打ち合わせの質が大きく変わります。

Q8. 簿記3級の知識は投資(株式・投資信託)にも役立つ?

A. 直接的な株価分析には使いませんが、企業の決算書を読む土台になります

貸借対照表・損益計算書の構造を理解していると、投資先企業の決算短信やIR資料を読んだときに、「利益は出ているが借入が膨らんでいる」といった財務の違和感に気づきやすくなります。ファンダメンタルズ分析の入り口として、簿記3級は十分に役立ちます。

Q9. 40代・50代から簿記3級を取っても遅くない?

A. むしろ資産形成期・大家業の実務に直結するタイミングです。

簿記3級は暗記量が比較的少なく、社会人経験がある人ほど取引のイメージがつきやすい資格です。20代の就活目的だけでなく、40代以降の資産管理・事業運営の実務資格として捉え直すと、取得の優先度はむしろ上がります。


まとめ ─ 「お金の言葉」を覚える資格

視点 評価
就活で使えるか ◎(経理職の登竜門)
個人事業主の節税 ★★★★★
家計の体系化 ★★★★★
金融リテラシーの礎 ★★★★★
取得難易度 ★★★☆☆
コスパ 業界トップクラス

簿記3級は、「お金の流れを記録するための日本語」を学ぶ資格です。

これを知らないで投資・事業・家計を組むのは、辞書を持たずに外国で生活するようなもの。

8,000円相当の受検料・テキスト代と100時間で得られる節税効果・家計理解を考えれば、20代から取らない理由はない。

僕は、簿記3級は全ての社会人・主婦/主夫・自営業者の必須教養だと心の底から思っています。

そしてFP3級と組み合わせれば、お金の世界の主要な道筋がほぼ全て見えるようになる

この2資格セットは、人生の経済設計を可能にする最強の学習投資です。


▼ シリーズ記事(順次公開予定)
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