賃貸不動産経営管理士を取得しよう【2021年国家資格化・大家業の必須資格】20年大家が解説

不動産

  1. はじめに ─ 「大家業のプロ資格」が国家資格化した意味
  2. 結論:賃管士が必要な4つの理由
  3. 理由①:賃貸管理業の上位資格として法的位置付け
    1. サブリース新法(賃貸住宅管理業法)
      1. 登録要件
    2. 業務管理者の役割
    3. 4児パパの活用
  4. 理由②:サブリース新法の理解
    1. サブリースの問題点
    2. サブリース新法の規制
    3. 4児パパの活用
  5. 理由③:大家業のトラブル予防
    1. 賃管士で学べる実務知識
    2. 4児パパの実体験
  6. 理由④:宅建との棲み分け
    1. 宅建と賃管士の違い
    2. 併用効果
  7. 賃管士試験の概要
    1. 出題分野
  8. 学習方法の比較
    1. 独学(市販テキスト+過去問)
    2. 通信講座
      1. アガルート
      2. スタディング
    3. スクール(通学)
  9. 取得後の活用シーン
    1. A:自身の大家業の自衛
    2. B:賃貸管理会社への就職
    3. C:副業・コンサル
    4. D:宅建との組合せ
  10. 賃管士とFP3級・簿記3級・宅建の関係
  11. 失敗パターン
    1. NG1:宅建だけで賃貸運営に挑む
    2. NG2:「民間資格時代の知識」のみで挑戦
    3. NG3:建物設備を軽視
    4. NG4:賃貸借契約の理解不足
    5. NG5:受験準備が遅い
  12. 受験準備のステップ
    1. ステップ1:宅建合格者 vs 未学習者
    2. ステップ2:賃貸住宅管理業法を完全攻略
    3. ステップ3:実務問題で得点
    4. ステップ4:建物・設備で得点
    5. ステップ5:過去問5年分を3周
  13. おすすめ通信講座
  14. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. 賃管士は大家でなくても取れる?
    2. Q2. 宅建と賃管士、どちらを先に取るべき?
    3. Q3. 賃管士の合格率30〜40%は本当に簡単?
    4. Q4. 民間資格時代の参考書は使える?
    5. Q5. 賃管士だけで賃貸管理業を独立できる?
    6. Q6. 賃管士の資格に更新は必要?
    7. Q7. 管理受託契約の重要事項説明は誰でもできる?
    8. Q8. 個人で賃貸管理業に登録するにはどんな要件がある?
    9. Q9. マンション管理士・管理業務主任者との違いは?
    10. Q10. 賃管士取得は個人事業主として経費にできる?
  15. 費用シミュレーション:賃管士取得は「元が取れる」資格か
    1. 前提条件
    2. 年間管理コストの比較
    3. 資格取得費用の内訳
    4. 10年間の累計試算
  16. 現場でよくある失敗事例5選(トラブル実例から学ぶ)
    1. 失敗1:原状回復ガイドラインを無視した過大請求
    2. 失敗2:消防用設備点検の未実施
    3. 失敗3:更新料条項の根拠不明確な契約書流用
    4. 失敗4:サブリース契約の解除条項の見落とし
    5. 失敗5:原状回復費用の負担区分の誤解
  17. 学習スケジュール:合格までの月別ロードマップ(試験11月の場合)
  18. 賃管士に向いている人・向いていない人(自己診断チェックリスト)
    1. 向いている人
    2. 向いていない人(優先順位が低い人)
  19. 管理受託契約書で確認すべき7つのチェックポイント
  20. 実務でよく使う専門用語ミニ辞典
  21. 家主向け保険との相性 ─ 賃管士の知識が活きる場面
    1. 孤独死・特殊清掃等に備える保険
    2. 施設賠償責任保険
  22. 資格取得後、実務経験はどう積むか
    1. 実務経験を積む方法の例
  23. 物件タイプ別・管理委託手数料の相場差
  24. 賃貸住宅管理業者に対する行政処分の種類
  25. まとめ ─ 「賃貸経営のプロ資格」としての賃管士

はじめに ─ 「大家業のプロ資格」が国家資格化した意味

2021年6月、賃貸不動産経営管理士(以下「賃管士」)が国家資格に格上げされました。

それ以前は民間資格でしたが、サブリース新法(賃貸住宅管理業法)の施行に伴い、

  • 賃貸管理業の登録:業務管理者として賃管士または宅建士が必須
  • 200戸以上の管理:賃管士の選任義務

──と、「大家業・賃貸管理業の現場で必要不可欠な資格」として制度化されました。

20年大家業をしている僕としても、

  • 入居者管理・退去精算のトラブル予防
  • 修繕・設備管理の判断
  • サブリース契約の罠の見抜き方
  • 賃貸借契約の正当事由の理解
  • 家賃滞納時の法的対応

──と、「宅建では学ばない、大家業の実務知識」を体系的に学べる、現代の大家にとってマストな資格になっています。

宅建が「不動産取引の資格」なら、賃管士は「賃貸経営の資格」。

両方を持つことで、「不動産購入から賃貸運営まで」の全フローを自衛できる体制が完成します。

この記事では、4児シングルファーザー × 大家20年として、

  • 賃管士の必要性4つ
  • 試験概要と学習方法
  • 宅建との棲み分けと併用効果
  • 取得後の実生活活用

を本気で解説します。


結論:賃管士が必要な4つの理由

理由 効果
賃貸管理業の上位資格として法的位置付け 業務管理者要件
サブリース新法の理解 悪質サブリース契約の防衛
大家業のトラブル予防 入居者・退去・滞納の法的対応
宅建の上位補完(賃貸特化) 賃貸取引の専門知識

大家業・賃貸管理業に関わる人の必須資格


理由①:賃貸管理業の上位資格として法的位置付け

サブリース新法(賃貸住宅管理業法)

2021年6月施行。

賃貸住宅管理業を行う事業者に登録義務が課されました。

登録要件

  • 管理戸数200戸以上:登録必須
  • 業務管理者として、賃管士または宅建士を選任

業務管理者の役割

  • 重要事項説明
  • 管理受託契約の締結
  • 賃貸住宅の管理業務

→ 賃貸管理会社で働く人にとっては、賃管士は事実上の必須資格

4児パパの活用

  • 自身の大家業:戸数まだ少ないので登録不要
  • 将来の拡大に備えて取得

理由②:サブリース新法の理解

サブリースの問題点

  • 30年家賃保証 → 数年で家賃減額
  • かぼちゃの馬車事件」(2018年)で社会問題化
  • 多くのオーナーが残債地獄

サブリース新法の規制

規制内容 内容
誇大広告禁止 「家賃保証で安心」等の表現に制限
不当勧誘禁止 強引な営業の禁止
重要事項説明の義務 契約前の書面交付・説明
将来の家賃減額リスクの明示 必ず説明

4児パパの活用

  • 大家業:サブリース契約は絶対拒否
  • 親族・知人へのアドバイス:新法違反業者を見抜く
  • 詳しくは不動産高額塾の闇で。

理由③:大家業のトラブル予防

賃管士で学べる実務知識

分野 内容
入居者管理 入居審査・契約・更新
賃貸借契約 普通借家・定期借家・正当事由
退去精算 原状回復・敷金返還ルール
家賃滞納 督促・強制執行手続き
修繕 必須修繕・任意修繕の判断
建物設備 給排水・電気・ガス

4児パパの実体験

  • 入居者退去時の原状回復ガイドラインを法的根拠で交渉 → 過剰請求回避
  • 家賃滞納6ヶ月で契約解除を法的に成立
  • 設備故障の善管注意義務を理解 → 入居者負担の判断

→ 詳しくは良質な入居者の見極め方家賃滞納・入居者トラブル完全対処法で。


理由④:宅建との棲み分け

宅建と賃管士の違い

項目 宅建 賃管士
重点分野 不動産取引・契約 賃貸管理・実務
試験範囲 民法・宅建業法・法令制限・税 賃貸管理・建物設備・サブリース新法
出題形式 マークシート50問 マークシート50問
合格率 15〜18% 30〜40%
勉強時間 300〜500時間 100〜150時間
試験日 10月第3日曜 11月第3日曜
受験料 8,200円 13,200円

併用効果

  • 宅建:不動産購入時の自衛
  • 賃管士:賃貸運営時の自衛
  • 「買って終わり」ではなく「持って運用する」全フローカバー

詳しくは宅建取得勧奨で。


賃管士試験の概要

項目 内容
受験資格 不問
試験団体 一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会
試験形式 マークシート50問・2時間
受験料 13,200円
合格率 30〜40%
勉強時間目安 100〜150時間
試験日 年1回(11月第3日曜日)
合格基準 約36点前後(毎年変動)

出題分野

分野 出題数
賃貸住宅管理業法 12問
管理業務の実務 13問
建物・設備 10問
賃貸借契約 8問
周辺知識(保険・税・税務会計) 7問

賃貸住宅管理業法と実務問題が約50%を占める。


学習方法の比較

独学(市販テキスト+過去問)

コスト:5,000〜10,000円

期間:3〜6ヶ月

推奨テキスト:『賃貸不動産経営管理士 完全合格テキスト

メリット:最安・自分のペース

デメリット:建物設備が初学者には難物

向く人:宅建合格者・継続力ある

通信講座

コスト:15,000〜50,000円

期間:3〜6ヶ月

メリット:動画講義で建物設備が分かりやすい

デメリット:独学より高い

おすすめ通信講座

アガルート

  • 受講料32,800円〜
  • 講師の解説の質
  • 合格特典で全額返金

スタディング

  • 受講料14,300円〜
  • スマホ完結・AI問題復習

スクール(通学)

コスト:30,000〜80,000円

期間:3〜6ヶ月

メリット:講師質問・モチベ維持

デメリット:高額・通学時間


取得後の活用シーン

A:自身の大家業の自衛

  • 入居者・退去・修繕の判断力
  • サブリース契約の見抜き方

B:賃貸管理会社への就職

  • 業務管理者として登録可能
  • 不動産業界への転職アドバンテージ

C:副業・コンサル

  • 大家コンサル
  • 賃貸管理ノウハウ発信

D:宅建との組合せ

  • 宅建+賃管士=不動産業界のフルスペック
  • 個人の不動産取引・運営を完全自衛

賃管士とFP3級・簿記3級・宅建の関係

資格 学ぶ内容 補完関係
FP3級 家計・保険・税金・年金 お金の使い方・備え方
簿記3級 お金の流れ・帳簿 家計・事業の体系化
宅建 不動産取引・法律 購入時の自衛
賃管士 賃貸管理・運営 運用時の自衛

四種の神器として、家計・税・法律・不動産購入・不動産運営の全フローカバー


失敗パターン

NG1:宅建だけで賃貸運営に挑む

  • 宅建は取引までの知識
  • 運営トラブルへの実務対応は別物

NG2:「民間資格時代の知識」のみで挑戦

  • サブリース新法(2021年〜)対応がない
  • 最新テキストで学習必須

NG3:建物設備を軽視

  • 建物設備10問は得点源にも失点源にもなる
  • 動画講義で配管・電気・防火を理解

NG4:賃貸借契約の理解不足

  • 宅建で学ぶ借地借家法をより深く学ぶ
  • 正当事由・更新拒絶の論点

NG5:受験準備が遅い

  • 9月開始では間に合わない(試験11月)
  • 7〜8月までに本格開始

受験準備のステップ

ステップ1:宅建合格者 vs 未学習者

  • 宅建合格者:100時間程度で合格圏
  • 未学習者:150〜200時間
  • 推奨:宅建合格後の賃管士

ステップ2:賃貸住宅管理業法を完全攻略

  • 配点最大の分野
  • 完全攻略で合格圏に近づく

ステップ3:実務問題で得点

  • 入居審査・退去精算・原状回復
  • ケーススタディ問題が頻出

ステップ4:建物・設備で得点

  • 給排水・電気・ガス・防火
  • 動画講義の理解が効率的

ステップ5:過去問5年分を3周

  • 過去問学習は合格の鍵

おすすめ通信講座

詳細比較は宅建取得勧奨も参照。


よくある質問(FAQ)

Q1. 賃管士は大家でなくても取れる?

A. 取れる

受験資格は不問。

Q2. 宅建と賃管士、どちらを先に取るべき?

A. 宅建を先

宅建の基礎(民法・借地借家法)が賃管士の基礎にもなる。

Q3. 賃管士の合格率30〜40%は本当に簡単?

A. 宅建より簡単だが、楽勝ではない

配点最大の賃貸住宅管理業法を確実に取れるかが分かれ目。

Q4. 民間資格時代の参考書は使える?

A. 使えない

2021年国家資格化に伴いサブリース新法が試験範囲に。

最新テキスト必須。

Q5. 賃管士だけで賃貸管理業を独立できる?

A. 賃管士の登録+業務管理者の選任で個人事業可能。

ただし実務経験が事業継続には必要。

Q6. 賃管士の資格に更新は必要?

A. 資格自体の有効期限はないが、「賃貸不動産経営管理士」の名称を名乗り続けるには、5年ごとの法定講習(登録更新)を受講し、登録を更新する必要がある。

更新を怠ると名称の使用ができなくなるため、業務管理者として選任され続けるには継続的な受講管理が欠かせない。

Q7. 管理受託契約の重要事項説明は誰でもできる?

A. できない

管理受託契約を締結する際の重要事項説明は、業務管理者(賃管士または宅建士)が行うことが賃貸住宅管理業法で義務付けられている。

宅建の重要事項説明(35条書面)とは対象が異なり、賃管士の説明は「管理業務の内容・実施方法」に関するもの。

Q8. 個人で賃貸管理業に登録するにはどんな要件がある?

A. 200戸以上を管理する場合、国土交通省への登録が必要で、主な要件は次の通り。

要件 内容
財産的基礎 基準資産額(純資産額)が300万円以上
事務所要件 営業に必要な独立したスペース
業務管理者の選任 事務所ごとに1名以上(賃管士 または 宅建士+実務経験)
欠格事由 破産者・暴力団関係者等でないこと

200戸未満であれば登録は任意だが、任意登録でも業務管理者の選任義務は同じルールが適用される。

Q9. マンション管理士・管理業務主任者との違いは?

A. 対象がまったく異なる

マンション管理士・管理業務主任者は「区分所有マンションの管理組合」を対象とした資格。

賃管士は「賃貸経営・入居者管理」を対象とした資格で、大家目線か管理組合目線かが根本的に違う。

区分所有マンションを賃貸に出しているオーナーであれば、両方の視点があると理解が深まる。

Q10. 賃管士取得は個人事業主として経費にできる?

A. 大家業(不動産賃貸業)を事業所得・不動産所得として申告している場合、受験料・教材費・講座費用は必要経費として計上できる可能性が高い

ただし按分の考え方や科目の扱いは税理士や顧問会計士に確認するのが確実。

個人事業主として20年活動してきた経験上、資格取得費用は「業務との関連性」を説明できる記録(領収書・学習記録)を残しておくことが重要だと感じている。


費用シミュレーション:賃管士取得は「元が取れる」資格か

前提条件

以下は理解を深めるための一般化した仮定モデルであり、特定の実例ではない。

  • ワンルームマンション1棟10戸を所有していると仮定
  • 家賃平均70,000円/戸
  • 管理委託手数料の相場:家賃の3〜5%

年間管理コストの比較

管理形態 年間管理費(目安) 備考
管理委託(手数料5%) 約42万円 70,000円×10戸×12ヶ月×5%で試算
自主管理(無資格) 0円+トラブル対応コスト 知識不足による損失リスクあり
自主管理(賃管士取得後) 0円+資格取得費用(初年度のみ) 法的知識でトラブル予防

資格取得費用の内訳

項目 費用目安
受験料 13,200円
市販テキスト・問題集 5,000〜10,000円
通信講座を利用する場合 プラス15,000〜50,000円
合計(独学の場合) 約2万円前後

10年間の累計試算

管理委託を継続した場合の10年累計コストは、上記の試算に基づくと約420万円になる。

これに対し、賃管士を取得して自主管理に切り替えた場合、初期費用は約2万円程度で、あとは自分の時間コストのみが継続的にかかる。

もちろん、自主管理には管理業務そのものに割く時間・手間という見えないコストが発生するため、「管理会社に任せて本業に集中する」という選択肢も十分に合理的である。重要なのは、賃管士の知識があれば「委託するか自主管理するか」を自分の判断で選べるという点にある。

知識がないまま管理会社に「言われるがまま」委託するのと、賃管士の知識を持ったうえで委託先を選定・交渉するのとでは、同じ管理委託でも結果が大きく変わってくる。


現場でよくある失敗事例5選(トラブル実例から学ぶ)

以下は、賃貸経営の現場で報告されることが多い一般的な失敗パターンを整理したもの。

失敗1:原状回復ガイドラインを無視した過大請求

  • 経年劣化分まで借主に請求 → 借主が少額訴訟を提起
  • 国土交通省の原状回復ガイドラインに反すると判断され敗訴
  • 請求額の返還に加え、対応の手間・評判の悪化というダブルパンチ

失敗2:消防用設備点検の未実施

  • 共同住宅の消防設備点検を怠り、行政から是正指導
  • 点検報告書の未提出は消防法違反として罰則の対象にもなり得る

失敗3:更新料条項の根拠不明確な契約書流用

  • 他物件のひな形をそのまま流用し、地域の借地借家法上の慣行と食い違う条項を設定
  • 更新料をめぐって借主と交渉決裂、更新拒絶を巡る紛争に発展

失敗4:サブリース契約の解除条項の見落とし

  • 家賃保証契約の減額請求権を理解せずに契約
  • 数年後にサブリース会社から一方的な家賃減額を通告され、収支計画が崩壊

失敗5:原状回復費用の負担区分の誤解

  • 「経年劣化・通常損耗」は貸主負担、「故意・過失」は借主負担という切り分けの原則を理解しないまま精算
  • 敷金精算でのトラブルが最も多い相談内容の一つ

→ これら5つの失敗は、いずれも賃管士の試験範囲(管理実務・建物設備・賃貸借契約)と重なる。資格学習そのものが、実務上のリスクヘッジになる。


学習スケジュール:合格までの月別ロードマップ(試験11月の場合)

時期 学習内容
4月 テキスト1周目(全体像の把握)
5月 賃貸住宅管理業法を重点的にインプット
6月 管理実務(入居審査・原状回復・退去精算)
7月 建物・設備(給排水・電気・ガス・防火)の集中対策
8月 賃貸借契約・借地借家法の理解を深める
9月 周辺知識(保険・税・税務会計)+過去問1周目
10月 過去問2周目・弱点分野の補強
11月 過去問3周目・模試・直前の総復習

宅建合格者であれば、5月・8月のステップは大幅に短縮できるため、4月開始でも十分間に合う

逆に未学習者の場合は、7〜8月スタートでは建物設備分野の理解が浅いまま本番を迎えるリスクが高い。前述の「NG5:受験準備が遅い」を避けるためにも、遅くとも8月までには本格的な学習を開始したい。


賃管士に向いている人・向いていない人(自己診断チェックリスト)

向いている人

  • すでに複数戸を所有し、管理会社との交渉力を上げたい人
  • 宅建保有者で、次のステップとして賃貸運営の知識を固めたい人
  • 将来的に賃貸管理業への転職・独立を視野に入れている人
  • 相続や副業で急に大家になり、体系的な知識が必要な人

向いていない人(優先順位が低い人)

  • 物件を持たず、今後も持つ予定がない人(実務で使う機会が少ない)
  • 管理会社に完全委託し、経営判断にも一切関与しない方針の人
  • 宅建すら未取得で、不動産の基礎知識がまだない人(先に宅建を推奨)

ただし「向いていない人」に該当していても、賃貸経営の実務知識そのものは今後どこかで必ず役立つため、時間に余裕があるなら取得しておいて損はない。


管理受託契約書で確認すべき7つのチェックポイント

チェック項目 確認すべき内容
①委託業務の範囲 入居者募集・契約更新・退去精算のどこまでを委託するか
②管理手数料 家賃の何%か、固定額か、税込表示か
③契約期間・更新条件 自動更新か、更新時に条件変更があるか
④解約条項 解約予告期間、違約金の有無
⑤報告義務 入居状況・修繕状況の報告頻度・様式
⑥免責事項 管理会社が責任を負わないケースの範囲
⑦損害賠償責任 管理会社に過失があった場合の賠償上限

賃管士の学習範囲である「管理受託契約の重要事項説明」を理解していれば、これらのチェックポイントを自分の目で確認しながら契約できる。知識がないまま管理会社のひな形をそのまま受け入れるのと、内容を理解した上で交渉するのとでは、長期的なコストが大きく変わってくる。


実務でよく使う専門用語ミニ辞典

用語 意味
原状回復 退去時に借主が物件を借りた時の状態に戻す義務。ただし経年劣化・通常損耗は対象外
敷金 賃貸借契約時に貸主が預かる担保金。原状回復費用等を差し引いて返還
善管注意義務 借主が物件を「善良な管理者」として注意して使用する義務
正当事由 貸主が更新拒絶・解約を主張する際に必要な、借地借家法上の正当な理由
定期借家契約 更新のない、期間満了で必ず終了する賃貸借契約
普通借家契約 正当事由がない限り、貸主から更新拒絶できない一般的な賃貸借契約
サブリース 不動産会社が物件を一括借上げし、入居者に転貸する契約形態
業務管理者 賃貸住宅管理業法上、事務所ごとに選任が義務付けられる責任者
管理受託契約 オーナーと管理会社の間で締結する、管理業務委託の契約
重要事項説明 契約前に借主・委託者に対して行う、契約内容の重要な説明義務

賃管士試験では、これらの用語の定義の正確な理解が繰り返し問われる。日常会話で何となく使っている言葉ほど、試験では正確な定義とのズレでミスをしやすい分野でもある。


家主向け保険との相性 ─ 賃管士の知識が活きる場面

賃貸経営には、火災保険だけでなく家主費用保険・施設賠償責任保険など、複数の保険商品が関わってくる。

孤独死・特殊清掃等に備える保険

  • 特殊清掃費用、家賃保証、遺品整理費用等をカバーする商品がある
  • 賃管士で学ぶ原状回復の負担区分の知識があると、保険でカバーすべき範囲と貸主・借主間で精算すべき範囲を切り分けやすい

施設賠償責任保険

  • 建物の設備不良(給排水管の破裂等)で入居者や第三者に損害を与えた場合に備える保険
  • 賃管士の建物・設備分野の知識があると、どこまでが「貸主の管理責任」の範囲かを判断しやすくなる

保険は「入っていれば安心」ではなく、免責事項と補償範囲を正しく理解して選ぶことが重要。賃管士の学習は、この判断軸を養う副次的な効果もある。


資格取得後、実務経験はどう積むか

賃管士は受験資格が不問である一方、賃貸管理業への独立・転職を考える場合は実務経験が重要になる。

実務経験を積む方法の例

  • 自身の物件を通じて、入居者対応・契約更新・退去精算を実践する
  • 賃貸経営者向けのセミナー・勉強会に参加し、他のオーナーの実例から学ぶ
  • 管理会社とのやり取りの中で、契約書・重要事項説明書を読み込む習慣をつける
  • 自治体が開催する空き家活用・賃貸経営セミナーに参加する

資格はあくまで知識の土台であり、実際のトラブル対応や契約交渉の経験を重ねることで、初めて「使える資格」になっていく。


物件タイプ別・管理委託手数料の相場差

管理委託手数料は物件タイプによって相場が異なる。賃管士の学習では、こうした業界相場の背景にある管理難易度の違いも理解できるようになる。

物件タイプ 手数料相場 手数料が変わる理由
アパート一棟 約4〜6% 戸数が多く管理業務が定型化しやすい
区分マンション1室 約5〜8% 管理組合対応など調整項目が増える
戸建て 約5〜10% 設備トラブル対応が個別性高く手間がかかる
シェアハウス 約10〜20% 入退去頻度が高く、共用部管理の負担が大きい

相場だけを見て「高い・安い」と判断するのではなく、手数料に含まれる業務範囲を管理受託契約書で確認できるかどうかが、賃管士の知識が活きる場面になる。


賃貸住宅管理業者に対する行政処分の種類

賃貸住宅管理業法は、登録業者に義務違反があった場合の行政処分も定めている。オーナー自身が登録するかどうかに関わらず、管理を委託する相手が信頼できる業者かどうかを見極める材料になる。

処分の種類 内容
指示処分 業務改善の指示。比較的軽微な違反に対して行われる
業務停止命令 一定期間、業務の全部または一部を停止させる処分
登録取消し 重大・悪質な違反に対して登録自体を取り消す最も重い処分

委託先の管理会社を選ぶ際、こうした行政処分歴の有無を確認する視点を持てるかどうかも、賃管士で学ぶ知識の実務的な価値の一つといえる。


まとめ ─ 「賃貸経営のプロ資格」としての賃管士

視点 評価
大家業の自衛 ★★★★★
賃貸管理業界への転職 ★★★★☆
サブリース新法対応 ★★★★★
宅建との補完性 ★★★★★
取得難易度 ★★★☆☆

20年大家として、「宅建だけでは賃貸運営の現場で太刀打ちできない」と痛感してきました。

賃貸物件の入居者管理・退去精算・修繕判断・サブリース新法対応は、すべて賃管士の試験範囲。

買って終わりではなく、運用で稼ぐ大家」にとって、賃管士は宅建と並ぶマスト資格です。


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