地政学で学ぶ資産形成シリーズも、第7話までやってきました。前回(第6話:北極海航路と温暖化が描き変える世界地図)では、温暖化によって閉じていた北の海が開き、新しい航路と眠れる資源をめぐって新しい争いの種が生まれる——という、これまでとは逆向きの地政学の動きを見てきました。今回はその「眠れる資源」というテーマを、舞台を大きく南に移して掘り下げます。テーマはアフリカです。「最後のフロンティア」とも呼ばれるこの広大な大陸を、人口・資源・大国の外交という三つの切り口から眺め、そこに長期投資の教訓を探していきます。シリーズ全体の地図は地政学シリーズ ハブページからたどれます。
私は4人の子どもを育てながら、20年にわたって不動産の大家業、自分の事業、そして投資を続けてきました。妻を病気で亡くしてからは、「自分がいなくなっても子どもたちが困らないお金の仕組み」をどう作るかを、それまで以上に真剣に考えるようになりました。地政学を学ぶのは、どこかの国を応援したり批判したりするためではありません。世界のお金の流れがどんな力学で動いているのかを理解し、自分の資産を長い時間軸で守り、育てるためです。以下はあくまで私個人の見解であり、特定の投資を勧めるものではないことを、はじめにお断りしておきます。
人口爆発と若い大陸——21世紀最大の成長市場の可能性
アフリカという言葉を聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かべるイメージは、おそらく人それぞれだと思います。けれど、投資や経済の視点からこの大陸を眺めるとき、まず押さえておきたいのは「人口」という、とても基本的でありながら見過ごされがちな要素です。
世界全体で見ると、多くの先進国はいま、少子高齢化という大きな課題に直面しています。私たちの国もその一つです。子どもの数が減り、社会全体が年齢を重ねていく。これは経済の成長という観点からは、決して追い風とは言えない流れです。働く人が減り、物を買う人の構成も変わっていくからです。ところがアフリカは、世界の大きな流れとはまったく逆の位置にいます。若い人の割合が高く、人口がこれからもしばらく増え続けると見られている、世界でも数少ない地域なのです。
人口が増え、しかもその中心が若い世代であるということは、経済にとって何を意味するのか。単純に言えば、これから働き、稼ぎ、物を買い、家庭を持つ人が、これからどんどん増えていくということです。物を作る側の力——つまり労働力も、物を買う側の力——つまり市場としての大きさも、長い目で見れば膨らんでいく可能性を秘めている。だからこそ、世界中の企業や投資家が、アフリカを「21世紀における最大級の成長市場になりうる場所」として注目しているのです。「最後のフロンティア」という呼び名には、そうした期待が込められています。
もっとも、ここで浮かれすぎないことも大切だと、私は自分に言い聞かせています。「人口が増える=必ず豊かになる」という単純な等式は、現実には成り立ちません。増えていく若い人たちが、十分な教育を受け、働く場所を得て、安定した暮らしを築けるかどうか。そこには、政治の安定、インフラの整備、産業の育成といった、数えきれないほどの条件が絡んできます。人口という大きな素質を、実際の豊かさに変えていけるかどうかは、これからの長い時間の中で問われていくことなのです。
私はこの「素質」と「実現」の隔たりを、子育ての中でいつも感じてきました。子どもにどれだけ可能性があっても、それが花開くかどうかは、環境や時間や、本人の歩みにかかっています。可能性が大きいことと、それが実を結ぶことは別の話だ——そう考えると、アフリカという大陸に対しても、過度な期待でも過度な悲観でもなく、長い目で静かに見守るという距離感が、いちばん落ち着いて構えられる位置だと感じています。一つだけ確かなのは、世界の人口構成が大きく変わっていくこの流れは、何十年という時間をかけて、世界経済の地図をゆっくりと書き換えていくということです。
コバルト・銅・金——EVと電子機器を支える地下資源
アフリカが世界の関心を集めるもう一つの大きな理由が、地下に眠る豊富な資源です。前回の第6話で、北極の氷の下に眠る資源の話をしましたが、アフリカはそれをはるかに上回る、文字どおりの資源の宝庫として知られています。
とりわけ近年、世界の注目が集まっているのが、これからの社会を支えるとされる先端技術に欠かせない金属類です。たとえば、電気自動車の電池に使われる金属、電子機器の配線や基板に使われる金属、あるいは古くから価値の象徴であり続けてきた貴金属——こうした資源が、アフリカの各地に豊かに眠っているとされています。第6話で触れたレアメタルやレアアースの話とも重なりますが、アフリカはその供給源として、世界のサプライチェーンの中で見過ごせない位置を占めつつあるのです。第1話で確認したとおり、エネルギーや資源は今も昔も国家の力の源泉であり、産業の土台です。その土台となる金属の多くが、この大陸の地下に眠っているということの意味は、決して小さくありません。
ここで一つ、私が「逆説」として面白く感じる点があります。世界はいま、環境にやさしい社会へと舵を切ろうとしています。電気自動車や再生可能エネルギーの設備は、その象徴です。ところが、そうした「これからの技術」を作るためには、地下から掘り出される金属が大量に必要になる。つまり、未来を担うとされる産業ほど、足元では古典的な「資源の確保」という課題に、より深く縛られていくのです。技術が進めば資源から自由になれるかというと、現実はむしろ逆で、新しい技術が新しい資源への依存を生んでいく。この構造を理解しておくと、世界経済のニュースの見え方が少し変わってくると思います。
ただし、資源の話になるとき、私が必ず立ち止まって考えることがあります。それは「資源があること」と「それで人々が豊かになること」は、決してイコールではない、という冷厳な事実です。豊かな資源が地下に眠っていても、それを採算が合う形で掘り出し、加工し、世界へ運び、その利益を社会に行き渡らせるまでには、無数の段階と、無数の落とし穴があります。掘る費用、運ぶ費用、価格の上下、規制、環境への配慮——間に挟まる現実は、数えきれないほどです。資源の豊かさは、あくまで「可能性」であって、「約束された豊かさ」ではない。このことは、次の項で触れる、ある厄介な現象とも深く結びついています。
私自身、投資の世界で「この資源はこれから必ず必要になる」という大きな物語に、何度も出会ってきました。そうした物語は、いつの時代も人を惹きつけます。けれど、その物語がそのまま特定の一社や一国の利益に直結するとは限らない——むしろ直結しないことのほうが多いというのが、私が長年見てきた現実です。だからこそ私は、資源をめぐる華やかな物語そのものに資産を賭けるのではなく、その物語が世界経済全体にじわじわと及ぼす影響のほうを、静かに眺めるようにしています。
大国の資源外交——投資・インフラ・影響力のせめぎ合い
豊かな資源と、これから伸びゆく巨大な市場。この二つがそろえば、世界の大国がアフリカに強い関心を寄せるのは、ごく自然な成り行きです。実際、いくつもの主要国が、それぞれのやり方でアフリカとの関係を深めようとしています。これがいわゆる「資源外交」と呼ばれる動きです。
資源外交のかたちは、国によってさまざまです。ある国は、道路や鉄道、港湾といった大規模なインフラの建設を支援することで、その見返りに資源や市場への足がかりを得ようとします。別の国は、資金の融資や、企業の進出を通じて関係を築こうとします。また別の国は、長い歴史的なつながりを土台に、文化や教育の面から関わりを保とうとします。手段は違っても、根っこにある狙いは共通しています。すなわち、資源へのアクセスを確保し、成長する市場に食い込み、そして長期的な影響力を築くこと。アフリカという舞台の上で、いくつもの大国の思惑が静かに、しかし確かにせめぎ合っているのです。
ここで私が強くお断りしておきたいのは、特定の国を名指しして「あの国のやり方は強引だ」「この国の関与は善意だ」といった善悪の判定をするつもりは、まったくないということです。どの国にも、それぞれの事情と、自国の利益を守りたいという立場があります。インフラを建設することにも、資金を貸すことにも、それを受け入れる側のアフリカ各国にとっての利点と、注意すべき点の両面があります。一方を善、他方を悪と決めつける見方は、世界を理解するうえでむしろ視野を狭めると、私は考えています。投資家として私が注目するのは、誰が正しいかではなく、「価値が集まる場所には、必ず大国の関心と、それに伴う複雑な力学が生まれる」という、繰り返される構造のほうです。
この構造は、シリーズを通じて何度も顔を出してきました。価値のあるものが集まる場所には、必ず外からの関心と緊張が生まれる。アフリカは、豊かな資源と巨大な市場という二重の魅力を持つがゆえに、まさにその「大国の関心が集中する場所」になっています。そして、こうした外からの関わりは、アフリカ各国にとって、発展のための資金や技術をもたらす機会であると同時に、過度に依存すれば自国の主体性を損ないかねないという、難しい両面性を抱えています。恩恵とリスクが、同じコインの裏表になっているのです。
私はこの「外からの資金や関心が、機会であると同時にリスクでもある」という構造を、商売の中でも何度も見てきました。たとえば、事業を大きくしようとするとき、外から資金を入れれば成長は加速します。けれど、その資金には必ず条件と思惑がついてくる。借りた相手の意向に縛られ、いつの間にか自分の舵取りができなくなる——そんな例を、私は人の事業でも自分の事業でも目にしてきました。だからこそ私は、外からの資金や関心は、ありがたく受け取りつつも、それに飲み込まれない距離感を保つことの大切さを、身に染みて感じています。国家の規模であっても、その本質は変わらないのだと思います。
資源の呪い——豊かな地下資源が必ずしも豊かさを生まない理由
ここで、アフリカを理解するうえで避けて通れない、ある厄介な現象についてお話ししなければなりません。「資源の呪い」と呼ばれる、逆説的な言葉です。これは、豊かな地下資源を持つ国が、必ずしも豊かにならず、むしろさまざまな困難を抱え込んでしまうことがある、という現象を指します。
地下に豊かな資源があるなら、それを売って国は潤い、人々の暮らしも豊かになるはず——直感的には、そう思えます。けれど現実には、そう単純にはいきません。資源に頼りすぎると、その国の経済が資源の輸出に大きく偏ってしまい、他の産業——たとえば、ものづくりや、人々の暮らしを支えるさまざまなサービス——が育ちにくくなることがあるのです。資源さえ売れば外貨が入ってくるので、苦労して別の産業を育てようという動機が弱まってしまう。すると、国の経済の足腰が、資源という一本の柱に偏ってしまいます。
そして、ここに大きな落とし穴があります。資源の価格は、世界の事情によって大きく上下します。ある時は高く売れて国が潤い、ある時は値が崩れて国の収入が一気に細る。経済の柱が資源一本に偏っていると、この価格の波が、そのまま国全体の暮らしを激しく揺さぶることになります。豊かな資源が、安定どころか、むしろ不安定の源になってしまう。これが「資源の呪い」の、いちばん厄介なところです。地下に眠る富が、それを活かす仕組みと制度が整っていなければ、かえって国の歩みを難しくしてしまう——これは、決してアフリカだけの話ではなく、世界中の資源国が直面してきた、普遍的な課題でもあります。
私はこの「資源の呪い」の話を、家計に引きつけて考えると、とても示唆に富んでいると感じます。たとえば、思いがけず大きな臨時収入が入ったとき、それに頼り切って地道な収入の柱を育てることを怠ると、その臨時収入が途絶えたときに、かえって暮らしが揺らいでしまう。一つの大きな収入源に頼ることの危うさは、国の経済も、一つの家庭の家計も、本質は同じなのだと思います。豊かさを安定したものにするのは、一本の太い柱ではなく、複数の柱で支える構えなのです。
この「資源の呪い」は、後ほど触れる通貨や政情の不安定さとも、深く結びついています。資源に偏った経済は、その通貨の価値も、資源価格の波に大きく左右されやすくなります。地下の富が、その国の通貨の足元をかえって不安定にしてしまう——複利を味方につけて長くお金を育てたい投資家にとって、この「足元の不安定さ」は、見過ごせない論点になってきます。次の項で、その点をもう少し詳しく見ていきましょう。
通貨・政情の不安定さという投資リスク
これまで、アフリカの大きな可能性——増えゆく人口、豊かな資源、世界の関心——を見てきました。けれど私は、長く商売と投資をしてきた人間として、その明るい面と同じだけ、現実のリスクのほうもきちんと見ておかなければならないと考えています。フロンティアには大きな可能性があると同時に、大きな不安定さも必ず伴うからです。
投資家として、まず意識しておきたいのが通貨の問題です。前項で触れたとおり、資源に大きく依存する経済は、その通貨の価値が不安定になりやすい傾向があります。資源価格が高いときには通貨も強くなり、価格が崩れれば通貨も弱くなる。さらに、物価が急激に上がる現象が起きれば、通貨の価値そのものが目減りしてしまうこともあります。せっかくその国の経済が成長しても、通貨が大きく下落してしまえば、外から投資した立場で見たときの価値は、思ったように増えていない——そんなことが起こりうるのです。これは、第1話以来繰り返してきた「資源国通貨の脆さ」という論点の、具体的な現れだと言えます。
もう一つの大きな論点が、政情の安定です。経済が安定して成長していくためには、政治や社会の枠組みが安定し、約束やルールが守られ続けることが欠かせません。けれど、発展の途上にある地域では、こうした枠組みがまだ十分に固まっていないことがあります。政治の方針が大きく変わったり、社会が不安定になったりすれば、それまで順調だった経済の歩みが、一気に揺らいでしまうこともあります。投資という観点から見れば、これは「先が読みにくい」という、扱いの難しいリスクです。
ここでも、特定の国を名指しして「あの国は不安定だ」と決めつけるつもりはありません。アフリカは非常に広大で、多くの国々から成り立っており、その状況は国によって大きく異なります。安定して着実に発展を続けている国もあれば、難しい課題を抱えている国もある。十把一絡げに「アフリカは危険だ」と語ることは、現実を正しく捉えていないばかりか、偏った見方を広げてしまいかねません。私が言いたいのは、特定の国の善し悪しではなく、「成長の可能性が大きい地域ほど、通貨と政情という、先の読みにくい不安定さも大きく抱えている」という、一般的な構造のことです。
では、この大きな可能性と大きな不安定さが同居する場所と、私たちはどう向き合えばよいのか。一つの国、一つの企業に的を絞って、その当たり外れに資産の行方を委ねるのは、あまりに危うい。当てにいけないものは当てにいかず、見えている可能性には、別のかたちで備える——シリーズを通じて繰り返してきたこの姿勢が、ここでもそのまま生きてきます。次の項では、その具体的な構えを考えてみたいと思います。
投資家の教訓——フロンティアの恩恵を分散で受け取る
さて、ここまでアフリカという「最後のフロンティア」をめぐる話を、可能性と不安定さの両面から見てきました。ここから投資家として何を学び取れるでしょうか。私がこの話からいちばん強く受け取る教訓は、「大きな成長の可能性と、大きな不安定さが同居する場所こそ、一点に賭けず、分散で受け取るべきだ」ということです。
フロンティアには、たしかに大きな成長の可能性があります。けれど、その可能性がどの国で、どの産業で、どの企業の手で実を結ぶのかを、いま正確に当てることは、ほとんど誰にもできません。人口は増えても、それが豊かさに変わるかは時間が決めること。資源は豊かでも、資源の呪いが立ちはだかるかもしれない。通貨は揺れ、政情は読みにくい。これだけ多くの不確実性が重なっている場所で、「この国が伸びる」「この企業が勝つ」と一点に資産を賭けることが、いかに危ういか——アフリカの話は、それを静かに教えてくれます。
では、フロンティアの恩恵を、当たり外れの賭けにせずに受け取るには、どうすればよいのか。私の答えは、シリーズを通じて繰り返してきたものと同じです。特定の国や企業に賭けるのではなく、世界全体に幅広く分散して投資する、という考え方です。アフリカの成長は、それ単体で切り取って投資しようとすると、通貨と政情という大きな不安定さをそのまま背負い込むことになります。けれど、世界全体に広く投資していれば、アフリカの成長から恩恵を受ける世界中の企業——資源を扱う企業、現地に進出する企業、成長する市場に物やサービスを届ける企業——の活動が、その大きな器の中に、薄く広く含まれていきます。アフリカという一点の当たり外れに賭けるのではなく、その成長が世界経済全体に及ぼす波及を、間接的に、しかし確実に取り込んでいくのです。
具体的な手段としてよく知られているのが、第5話や第6話でも触れた、米国の代表的な企業に幅広く投資するS&P500や、全世界の株式に分散する全世界株式(いわゆるオルカン)といった、指数に連動する形で広く投資する考え方です。とりわけ全世界株式は、世界中の企業をまるごと持つような構えですから、フロンティアの成長から恩恵を受ける企業の活動も、その中に自然と織り込まれていきます。どの国が伸びるかを当てる必要も、揺れる現地通貨をじかに抱え込む必要もありません。世界という大きな器ごと持っておけば、成長がどこに出ても、そのおこぼれは自然と入ってくる。これが、当てにいかず、漏らさず拾うという私の構えです。もちろんこれは私個人の考え方であり、最終的な判断は一人ひとりの状況に応じて、ご自身で行ってください。
そして、ここでも時間の話を添えておきます。アフリカの人口が増え、産業が育ち、制度が整い、資源が真の豊かさに変わっていく——これらはすべて、何年、何十年という長い時間をかけて進む変化です。短期の値動きやニュースの見出しに一喜一憂していては、こうした大きな潮流の本当の姿は見えてきません。長い時間をかけてコツコツと積み上げること。複利は、借り手の側に立てば恐ろしい敵ですが——資源の呪いに苦しむ国の、価格の波に揺さぶられる脆い通貨を思い出してください——株主の側、つまり投資する側に立てば、これ以上ない味方になります。揺れるフロンティアを直接当てにいくのではなく、世界全体の長い成長を、時間を味方につけて取り込んでいく。可能性と不安定さが同居する場所だからこそ、この長期の目線が、いっそう効いてくると私は感じています。
私が子どもたちに残したいのは、「次に伸びる国を当てる才能」でも「掘り当てれば儲かる資源を見抜く眼力」でもありません。世界のどこで新しい成長が芽吹いても、慌てずにその恩恵を静かに受け取れる構え——そのほうが、私がいなくなった後も、ずっと長く彼らを支えてくれるはずだと信じています。
まとめ
第7話では、「最後のフロンティア」とも呼ばれるアフリカを、人口・資源・大国の外交という三つの切り口から見てきました。増え続ける若い人口は、21世紀最大級の成長市場としての可能性を秘めています。コバルトや銅、金といった豊富な地下資源は、電気自動車や電子機器など、これからの社会を支える技術に欠かせません。そして、その資源と市場をめぐって、いくつもの大国が投資やインフラ建設を通じて影響力を競い合っています。一方で、豊かな資源がかえって経済を不安定にしてしまう「資源の呪い」や、資源価格に揺さぶられる脆い通貨、読みにくい政情といった、フロンティアならではの大きなリスクも、その可能性と背中合わせで存在しています。
投資家として導かれる教訓は、大きな成長の可能性と大きな不安定さが同居する場所こそ、特定の国や企業に賭けてはいけない、ということです。だからこそ、S&P500やオルカンのような指数を通じて世界全体に幅広く分散し、フロンティアの成長を直接ではなく、世界経済への波及というかたちで間接的に取り込む。当てにいかず、漏らさず拾い、時間を味方につける——可能性と不安定さが同居する場所に対して、私はこの構えで向き合っています。これは、特定の国を応援することでも批判することでもなく、新しく生まれる成長を静かに受け止めるための、私なりの距離の取り方です。
さらに学びを深めたい方は、シリーズの出発点である第1話:地政学と資産形成の入り口から読み返してみてください。シリーズ全体の地図は地政学シリーズ ハブページに、関連する資産形成の考え方は資産形成 統合ハブにまとめてあります。
次回は、世界経済の土台を支え続けてきた、あるお金そのものに目を向けます。第8話:基軸通貨ドルとペトロダラーの現在地 へ続く。世界の取引の中心に立つ通貨が、いまどんな位置にあるのか——引き続き一緒に見ていきましょう。
▶ 次の話:第8話 基軸通貨ドルとペトロダラーの現在地


