こんにちは、シンパパ資産設計士です。
ライフプランの作り方シリーズ第3回です。前回、人生で起こりうるイベントを5つのカテゴリ(子ども・住まい・車・働き方・その他)に分けて洗い出す方法をお伝えしました。今回は、その洗い出した情報を実際に「ライフイベント表」という具体的な一覧表の形に、丁寧に落とし込みながらまとめていく方法を詳しく解説していきます。
ライフイベント表とは何か
ライフイベント表とは、「年齢」「西暦」「その年に起こるイベント」を1行ずつ並べた年表形式の表です。これまで頭の中や個別のメモに散らばっていた情報を、時系列で見渡せる1枚の表に統合することで、初めて「この先の人生で、いつ何が起こるか」を一望できるようになります。
簡単な例を示すと、次のような形式になります。
| 年齢 | 西暦 | イベント |
|---|---|---|
| 43歳 | 2026年 | 現在 |
| 45歳 | 2028年 | 子どもの一人が高校卒業 |
| 50歳 | 2033年 | 教育費のピーク(複数の子の進学が重なる) |
| 60歳 | 2043年 | 働き方を見直すタイミング |
この表を見れば、「43歳の今から見て、いつ・何が起こるか」が一目で分かります。この一覧性こそが、ライフイベント表という仕組みが持つ、最大の価値だと言えるでしょう。
「頭の中の地図」を「紙の地図」に変える作業
多くの人は、将来の予定について、ある程度は頭の中で把握しているつもりになっています。「もうすぐ受験だな」「そろそろ車も買い替え時だな」といった感覚です。しかし、頭の中の情報は、複数のイベントを同時に、しかも正確な時系列で把握することには向いていません。人間の記憶は、印象に残ったことほど強く覚えている一方で、地味だけれど重要な情報(固定資産税の支払い時期など)は忘れやすいという性質があります。ライフイベント表を作るという作業は、この不完全な「頭の中の地図」を、正確で一覧性の高い「紙(またはデジタル)の地図」に変換する作業だと言えます。
表を見て初めて気づくこと
実際に表を作ってみると、「この年とこの年に、思っていた以上に負担が集中している」「逆にこの数年間は、意外と何も大きなイベントがない」といった発見があります。この発見は、頭の中で漠然と考えているだけでは、決して得られないものです。可視化して初めて見えてくる事実があるからこそ、面倒に思えても表を作る価値があるのです。
表の作り方:基本のステップ
ステップ1:横軸に「年齢」と「西暦」を並べる
まず、自分の現在の年齢を起点に、1年ごとの行を作ります。西暦も併記しておくと、「今から何年後」という感覚と、「西暦何年」という感覚の両方で捉えられるため、後から見返したときに理解しやすくなります。何歳まで表を作るかは人それぞれですが、少なくとも子どもが独立するまで、できれば自分の老後(80代〜90代程度)までを目安にすることをおすすめします。
ステップ2:前回洗い出したイベントを、該当する年に書き込む
前回(第2回)で洗い出したイベントを、それぞれ発生する年齢・西暦の行に書き込んでいきます。子どもの進学のように確実性の高いイベントは、具体的な年に書き込みます。住宅修繕や車の買い替えのように幅のあるイベントは、「◯年〜◯年頃」という形で、想定される期間に印をつけておきます。
ステップ3:イベントが重なる年を確認する
すべてのイベントを書き込んだら、表を上から下まで見渡して、複数のイベントが同じ年に重なっている箇所を確認します。この「重なりの年」こそが、家計にとって特に注意が必要な年です。次回・第4回以降で扱う具体的な金額計算をする際、この重なりの年を意識しながら見積もっていくことになります。
重なりの年は「悪い年」ではない
重なりの年を見つけると、つい「大変な年が来る」とネガティブに捉えてしまいがちですが、これは決して「悪い年」ではありません。むしろ、事前に把握できているからこそ、対策を打てる年だと捉えるべきです。何も知らずにその年を迎えて慌てるのと、数年前から分かっていて準備を整えて迎えるのとでは、精神的な負担がまったく違います。表を作る目的は、不安を煽ることではなく、「あらかじめ知っておくことで、落ち着いて備えられるようにする」ことにあります。
ステップ4:一度作った後、家族の状況変化に応じて更新する
表は一度作って終わりではありません。子どもの進路が変わる、収入状況が変わる、住宅の状態が変わるといった変化があるたびに、該当する行を修正していきます。家計管理シリーズでもお伝えした「完璧を目指さず、続けられる仕組みを作る」という考え方は、このライフイベント表にもそのまま当てはまります。
Excel・スプレッドシートで作る方法
ライフイベント表は紙のノートでも作れますが、後から修正・追記することを考えると、ExcelやGoogleスプレッドシートで作ることを強くおすすめします。具体的な作り方は次の通りです。
基本の列構成
| 列 | 内容 |
|---|---|
| A列 | 年齢 |
| B列 | 西暦 |
| C列 | 子どもに関するイベント |
| D列 | 住まいに関するイベント |
| E列 | 車に関するイベント |
| F列 | 働き方に関するイベント |
| G列 | その他のイベント |
このように、前回紹介した5つのカテゴリごとに列を分けておくと、後から見返したときにどのカテゴリのイベントが多い年か、といった傾向も把握しやすくなります。
数式で年齢・西暦を自動計算する
A列(年齢)とB列(西暦)は、1行目に今の年齢と今年の西暦を入力し、2行目以降は「1つ上の行の値+1」という数式を入れておけば、自動的に連番で埋まっていきます。この工夫だけで、行の追加・削除があっても年齢と西暦がズレる心配がなくなります。
基準となる1行目のデータの決め方
1行目に入力する「今の年齢」「今年の西暦」は、表を作成する時点の実際の値を入れておくのが基本です。ただし、家計管理シリーズ第7回で作成した「年間生活費表」と時期を揃えたい場合は、その年間生活費表を作成した年を基準にしても構いません。どちらを基準にしても構いませんが、複数の表を横断的に見比べる可能性がある場合は、基準となる年をそろえておくと、後々の比較がしやすくなります。
ふりがな・注釈列を追加する工夫
基本の列構成に加えて、H列に「メモ・注釈」という列を追加しておくと便利です。「この年は確定情報」「この年はまだ未定、幅を持たせている」といった補足情報を書き込んでおくことで、第2回で紹介した「確定情報」と「推定情報」の区別を、表の中でも明確に管理できます。列を増やしすぎると表が煩雑になるため、本当に必要な情報に絞って追加することをおすすめします。
条件付き書式で「重なりの年」を強調する
Excel・スプレッドシートの条件付き書式機能を使えば、複数の列に同時にイベントが入力されている行だけを自動的に色付けすることもできます。この機能を使うと、先ほど説明した「イベントが重なる年」を、目視で探さなくても一目で発見できるようになります。
条件付き書式の具体的な設定方法
Excelであれば「条件付き書式」→「新しいルール」→「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選び、C列からG列までの入力セル数を数えるCOUNTA関数を使った数式(例:`=COUNTA($C2:$G2)>=2`)を設定することで、複数カテゴリに同時にイベントが入力されている行だけを自動的に色付けできます。Googleスプレッドシートでも「表示形式」→「条件付き書式」から同様の設定が可能です。一度設定してしまえば、その後は行を追加・修正するたびに自動で判定してくれるため、手動でチェックする手間が省けます。
行を追加・削除する際の注意点
年齢や西暦を数式で自動計算する設定にしている場合、行を挿入・削除すると、数式の参照がずれてしまうことがあります。行を追加する際は、既存の行をコピーして挿入する、あるいは最終行の下に追加するといった形にすると、数式の崩れを防ぎやすくなります。心配な場合は、数式ではなく手入力で年齢・西暦を管理しても構いません。手間は増えますが、誤りに気づきやすいというメリットもあります。
子どもが複数いる場合の表の工夫
4人の子どもがいる我が家の場合、C列(子どもに関するイベント)だけでも情報量が多くなります。この場合、C列をさらに「子どもA」「子どもB」「子どもC」「子どもD」という4つの列に分割し、それぞれの進学・受験のタイミングを個別に記入する方法をおすすめします。こうすることで、「今年はこの子とこの子の進学が重なる」といった重なりも、一目で確認できるようになります。
子ども別の列を作る具体的なメリット
子どもごとに列を分けることの効果は、単に見やすくなるだけではありません。それぞれの子どもについて、進学・受験・部活動・習い事といった情報を時系列で追いかけられるようになるため、「この子については、あと何年でどんなイベントが控えているか」を個別に把握しやすくなるという利点があります。4人分の情報を1つの列にまとめてしまうと、どの情報がどの子のものか分かりにくくなり、後から見返したときに混乱の原因になります。多少列数が増えても、子ども別に分けておくことを強くおすすめします。
子ども同士のイベントの連動にも注目する
子どもが複数いると、上の子のイベントが下の子にも影響を与えることがあります。例えば、上の子が使っていた学用品や制服を下の子が引き継げる場合、その年の特別費は見積もりより少なく済むかもしれません。逆に、上の子の受験期と下の子の入園・入学が重なると、送迎や付き添いなど、お金以外の負担も重なりやすくなります。表を作る際は、金額だけでなく、こうした「手間」の重なりにも目を配っておくと、より実態に即した計画になります。
表を作った後にやるべきこと
表が完成したら、次の2つを確認してください。
- イベントが特に集中している年(重なりの年)はどこかを把握する
- 逆にイベントが少ない、比較的落ち着いている年はどこかを把握する
重なりの年は、事前に貯蓄ペースを上げるなどの対策が必要な年です。逆に落ち着いている年は、教育費以外の資産形成(投資への積立増額など)にリソースを振り向けやすいタイミングだと言えます。この表全体を俯瞰することで、「いつ守りを固め、いつ攻めに転じるか」という時間軸の戦略が見えてきます。
「守りの年」と「攻めの年」を意識する
投資家として20年やってきた経験から言えるのは、資産形成は一定のペースで機械的に進めるだけでなく、その年ごとの状況に応じてメリハリをつけることも有効だということです。イベントが重なる「守りの年」には、投資額を増やすことよりも、特別費積立や生活防衛資金の維持を優先します。逆に、イベントが少ない「攻めの年」には、余裕のある分を積極的に投資へ振り向けることを検討します。この緩急を、あらかじめライフイベント表から読み取っておけると、その場その場での判断に迷わずに済みます。
「重なりの年」の何年前から準備を始めるべきか
重なりの年が判明したら、その何年前から準備を始めるべきかも考えておきましょう。目安としては、重なりの年の3〜5年前から、意識的に貯蓄ペースを上げ始めるのが現実的です。あまり直前になってから慌てて対策を始めても、十分な準備が間に合わないことがあります。逆に、あまりに早くから身構えすぎると、日々の生活の質を必要以上に犠牲にしてしまうリスクもあります。3〜5年という期間は、多くの場合、無理なく準備を整えられる現実的なバランスだと感じています。
まとめ|1枚の表が不安を「見える化」する
今回のポイントを改めて整理しておきます。
- ライフイベント表は「年齢」「西暦」「イベント」を並べた年表形式の表
- 前回洗い出したイベントを、該当する年の行に書き込んでいく
- イベントが重なる年・落ち着いている年を把握することが、この表の目的
- ExcelやGoogleスプレッドシートなら、数式・条件付き書式を使うことで管理がさらに楽になる
次回は、この表に書き込んだイベントの中でも特にインパクトの大きい「教育費」について、子どもの人数から具体的な金額を計算する方法を詳しく解説します。
表を作ってみて感じたこと
僕自身、初めてこのライフイベント表を作ったとき、正直なところ少し気が重い作業になるだろうと予想していました。将来のことを数字で突きつけられるのが怖い、という気持ちもあったからです。しかし実際に作り終えてみると、予想とはまったく逆の感覚を得ました。「漠然と抱えていた将来への不安が、具体的な数字と時期を持った『課題』に変わった」ことで、むしろ気持ちが軽くなったのです。
課題として明確になれば、対策を考えることができます。対策を考えられれば、行動に移せます。行動に移せれば、状況は少しずつでも改善していきます。この一連の流れの、まさに出発点になるのが、今回紹介したライフイベント表です。作成に1〜2時間程度の時間がかかったとしても、その後何年にもわたって得られる安心感を考えれば、決して高くない投資だと感じています。むしろ、これほどコストパフォーマンスの高い投資は、他にはなかなか見当たらないと感じています。
この表を、これから何度も見返すことになる
ライフイベント表は、一度作って終わりの資料ではありません。次回以降のシリーズで、教育費・住宅費・車両費・収入予測・インフレ率・老後資金といった具体的な金額を計算していく際、この表が常に参照される「地図」の役割を果たします。「この表さえあれば、いつ何にお金が必要になるかが分かる」という状態を作ることが、このシリーズ全体の中間ゴールだと考えてください。ここまで来れば、あとは各項目の金額を丁寧に積み上げていくだけの、シンプルな作業が残るのみです。
よくある質問(FAQ)
Q1. ライフイベント表は何年分作ればいいですか?
最低でも子どもが独立するまで、できれば自分自身の老後までの期間をカバーすることをおすすめします。長期になるほど後半部分の精度は下がりますが、大まかな見通しを持てるだけでも十分に価値があります。
Q2. 表の途中でイベントの内容が変わった場合、どう修正すればいいですか?
該当する行のセルを修正するだけで問題ありません。スプレッドシートで作成しておけば、修正は容易です。半年〜1年に1回程度、表全体を見直すタイミングを設けることをおすすめします。
Q3. 夫婦(またはパートナー)で表を共有する場合、どう管理すればいいですか?
Googleスプレッドシートであれば、共有機能を使って複数人で同時に編集・閲覧できます。シングルの場合でも、将来的に家族に共有する可能性を考えて、クラウド上で管理しておくと便利です。
Q4. 表を作る際、細かい金額まで一緒に書き込むべきですか?
今回の段階では、金額まで書き込む必要はありません。まずはイベントとその時期を可視化することに集中してください。具体的な金額は、次回以降の各回(教育費・住宅費・車両費等)で個別に計算し、この表に追記していく形になります。まずは焦らず、時期の把握という最初のステップを丁寧に終わらせてください。
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シンパパ資産設計士
4児を育てるシングルファーザー/個人事業主20年/投資家20年/兼業大家20年
📝 noteでも毎日発信中
投資20年の失敗談・シングルファーザーのリアルな日常・お金の本音——ブログでは書きにくいことをnoteに書いています。


