日本の安全保障と防衛・エネルギー関連|自国の足元を地政学で見る・地政学で学ぶ資産形成シリーズ第13話

投資・資産運用

こんにちは。シンパパ資産設計士です。4人の子どもを育てるシングルファザーで、20年にわたって大家業・事業・投資を続けてきました。妻を病気で亡くしてから、家族の暮らしと資産を一人で守っていくなかで、私は「世界の構造を理解しないまま投資をするのは怖い」と痛感するようになりました。そうして始めたのが、この地政学で学ぶ資産形成シリーズです。

前回の第12話「宇宙とサイバー|国境のない新しい戦場」では、競争の舞台が宇宙とサイバー空間という「国境のない領域」へ広がっていることを見てきました。今回は、その世界規模の競争を、いよいよ私たちの足元――つまり日本という国――に引き寄せて考えます。安全保障、防衛、そしてエネルギー。遠い国際情勢の話に見えて、実は自分たちの暮らしと家計に直結しているテーマです。シリーズ全体の流れを確認したい方は地政学シリーズのハブページもあわせてご覧ください。

あらかじめお伝えしておくと、この記事はあくまで私個人の見解です。特定の政党や政策を支持したり批判したりする意図はまったくありません。安全保障やエネルギー政策は意見が分かれるテーマですから、私は「どの立場が正しい」とは言いません。あくまで「投資家として、自分の国の足元をどう点検し、どう資産設計に反映させるか」という視点に徹します。お金や資産の話はYMYL(人生やお金に関わる重要な領域)ですから、ここでは「考え方の枠組み」をお渡しすることに努めます。投資はご自身の判断と責任で行ってください。

シーパワー陣営の一員という日本の立ち位置

地政学では、国を大きく「シーパワー(海洋国家)」と「ランドパワー(大陸国家)」に分けて捉えることがあります。これはこのシリーズでも繰り返し触れてきた基本的な枠組みです。海に囲まれ、貿易と海上輸送に経済を依存する国はシーパワー。広大な大陸を抱え、陸続きの隣国との関係に神経を使う国はランドパワー。もちろん現実はこの二分法で割り切れるほど単純ではありませんが、世界を見渡すうえでの便利な「補助線」にはなります。

その補助線を引いたとき、日本がどこに位置するかは明らかです。四方を海に囲まれた島国であり、資源も食料も多くを海上輸送に頼る、典型的な海洋国家です。原油も天然ガスも、多くの工業原料も、そして食料の相当部分も、船に乗って海を渡ってやってきます。つまり日本にとって、海上輸送路(シーレーン)が安全に保たれているかどうかは、国の経済の生命線そのものなのです。

この「海に依存する」という構造は、日本の立ち位置を地政学的にかなり明確に規定しています。海上交通の自由が保たれること、主要な海峡が封鎖されないこと、貿易相手との航路が安定していること。これらが揺らげば、日本経済はたちまち打撃を受けます。だからこそ日本は歴史的にも現在も、海洋の自由を重んじる国々――同じくシーパワー的な性格を持つ国々――と協調する傾向を持ってきました。これは特定の政治的立場というより、島国という地理的条件から導かれる自然な帰結に近いものだと、私は理解しています。

私が大家業や事業を通じて学んだことの一つに、「自分の立っている地面の性質を正しく知る」ことの大切さがあります。土地を扱う仕事をしていると、同じ建物でも地盤や立地によってリスクがまるで違うことを痛感します。国もまったく同じで、日本という国がどんな地理的条件の上に立っているのかを知らずに、世界情勢のニュースを眺めても、自分の家計への影響は読み解けません。「日本は海なしには成り立たない国だ」という一点を押さえるだけで、エネルギー価格の変動や貿易摩擦のニュースが、ぐっと自分ごととして見えてきます。

もう少し踏み込むと、シーパワー陣営の一員であるということは、日本が単独で完結できない国だということでもあります。海上輸送の安全は、自国だけでは守りきれません。広大な海を一国で監視し、すべての航路を防衛するのは現実的に不可能だからです。そのため、価値観や利害を共有する国々との協力関係が、安全保障の土台になります。これは投資の世界でいえば「一社にすべてを賭けず、複数で支え合う」分散の発想に近いとも言えます。国家もまた、リスクを分散しているのです。

投資家としての視点で言えば、ここで押さえておきたいのは「日本のリスクは海の上にある」という構造的な理解です。地震や災害といった国内のリスクはもちろん重要ですが、それと並んで、海上輸送路の安定という「外側のリスク」が、日本の経済と家計に静かに、しかし確実に影響を与え続けている。この二重の構造を頭に入れておくと、世界のどこかで起きた紛争のニュースが、なぜ日本のガソリン価格や食品価格に跳ね返ってくるのかが、腑に落ちるようになります。

防衛費の増加トレンドと関連産業のいま

近年、世界的に防衛費が増加する傾向が続いています。これは特定の国に限った話ではなく、安全保障環境が不透明さを増すなかで、多くの国が防衛への支出を見直し、増やす方向に動いているという大きな流れです。日本もその例外ではなく、防衛関連の予算は中長期で増加する方向にあると報じられています。

ここで大切なのは、私はこの増加トレンドの是非を論じる立場にはない、ということです。防衛費を増やすべきか抑えるべきかは、国の安全保障や財政、外交をめぐる大きな政治的判断であり、意見が鋭く分かれるテーマです。私は一人の投資家・生活者として、「そういう流れが現実に存在している」という事実を観察し、それが経済や産業にどんな影響を及ぼしうるかを冷静に見るだけです。賛成も反対も表明しません。

その前提で、産業の側から眺めてみます。防衛費が増えるということは、防衛装備品や関連技術への支出が増えるということです。航空機、艦船、車両、通信システム、レーダー、電子機器、そして先ほどの回で触れたサイバーや宇宙関連の技術まで、防衛が関わる産業の裾野は意外なほど広いものです。これらの分野には、もともと高い技術力を持つ企業が数多く存在し、その多くは防衛だけでなく民間向けの製品も手がけています。

つまり「防衛関連産業」と一口に言っても、その実態は純粋な防衛専業企業ばかりではなく、自動車、電機、重工業、通信といった幅広い産業に裾野が広がっているということです。ある企業の売上のうち防衛が占める割合はごく一部で、大半は民間事業、というケースも珍しくありません。この「境界の曖昧さ」は、投資を考えるうえで重要な論点になります。「防衛関連株」と聞いて純粋な軍需企業を思い浮かべると、実態を見誤ることがあるのです。

私が事業を営むなかで実感してきたのは、「特需」というものの扱いの難しさです。ある時期に需要が急増しても、それが恒久的に続く保証はありません。予算は政治情勢や財政事情で変わりますし、計画が見直されたり先送りされたりすることもあります。防衛関連の需要も、政策という外的要因に大きく左右される性質を持っています。需要が「政策で決まる」分野は、企業の努力だけではコントロールできない不確実性を抱えている、ということです。

投資家としては、この「政策依存」という性質をよく理解しておく必要があります。業績が市場の自然な需給ではなく、国家の予算編成や安全保障判断によって左右される。それは追い風になることもあれば、逆風になることもある。つまり、防衛関連という分野は「政策次第で大きく振れるテーマ」なのです。この振れやすさをどう受け止めるかは、後の章で改めて考えます。

エネルギー安全保障——原発・再エネ・備蓄という選択肢

安全保障と並んで、日本の足元を点検するうえで欠かせないのがエネルギーの問題です。先ほど述べたとおり、日本は資源の多くを輸入に頼る国です。とりわけ原油や天然ガスといったエネルギー資源は、その大部分を海外からの輸入に依存しています。これは日本という国の構造的な弱点であり、同時に、世界情勢の変化がダイレクトに家計を直撃する経路でもあります。

エネルギー安全保障を考えるとき、論点は大きく三つに整理できると私は捉えています。一つ目は「どこから買うか」という供給源の多様化。特定の国や地域に依存しすぎると、その地域で問題が起きたときに一気に供給が細ります。二つ目は「何で賄うか」という電源の構成。化石燃料、原子力、再生可能エネルギーなど、複数の選択肢をどう組み合わせるか。三つ目は「どれだけ蓄えておくか」という備蓄です。万一の供給途絶に備えて、一定量を国内に貯めておく仕組みです。

原子力発電については、安全性やコスト、廃棄物の問題をめぐって社会的に意見が大きく分かれるテーマです。私はその是非を論じる立場にはありません。ただエネルギー安全保障という観点だけで見れば、「燃料を一度確保すれば長期間発電できる」という特性が、輸入依存を和らげる選択肢の一つとして議論されているのは事実です。一方で、再生可能エネルギーは「国内で生み出せる」という点で輸入依存を減らす方向に働きますが、天候に左右され、安定供給には蓄電などの工夫が必要だという課題も指摘されています。どちらにも長所と短所があり、絶対的な正解はありません。

備蓄については、国家備蓄・民間備蓄といった形で、一定量のエネルギー資源を国内に蓄えておく仕組みが設けられています。これは保険のようなものです。普段は使わなくても、いざというときに供給が途絶えても一定期間しのげるようにしておく。私は家計でも生活防衛資金という「数か月分の備え」を必ず確保していますが、国のエネルギー備蓄はそれの巨大版だと考えると、その意味がよく分かります。備えがあるから、目先の混乱に右往左往せずに済むのです。

ここでも、私が一貫してお伝えしているのは「正解を当てにいかない」という姿勢です。どの電源構成が最適なのか、原発をどうするのか、再エネをどこまで増やせるのか。これらは専門家の間でも結論が出ていない難問であり、私のような一個人が断定できるものではありません。大切なのは、「日本はエネルギーを外に頼る国であり、その安定をめぐって複数の選択肢を組み合わせて備えている」という構造を理解すること。そして、その構造が揺らぐとき――たとえば世界のどこかで供給不安が起きたとき――に、エネルギー価格を通じて家計に波及するという経路を把握しておくことです。

投資家としての実感を一つ添えます。私はかつて、原油価格が急騰した時期に、事業の燃料費や物件の光熱費が想定以上にふくらみ、収支計画を見直さざるを得なかったことがあります。エネルギー価格は、まさに「世界情勢が家計に届くまでの最短経路」の一つです。だからこそ私は、エネルギー関連のニュースを「遠い国際政治」ではなく「来月の電気代やガソリン代」の話として聞くようにしています。この姿勢が、世界の出来事を自分の暮らしに翻訳する習慣をつくってくれます。

食料・資源・防衛——三つの自立度を点検する

ここで一度、視点を整理しておきましょう。日本という国の「足元の強さ」を測るには、いくつかの「自立度」を点検するのが役に立つと私は考えています。とりわけ重要なのが、食料・資源(エネルギーを含む)・防衛という三つです。これらは国の生存に直結する基盤であり、どれも「外に頼りすぎていないか」という観点で見ることができます。

まず食料です。日本は食料の多くを輸入に頼っており、自給率は決して高くありません。これは長く議論されてきたテーマで、農業政策や貿易のあり方とも絡む難しい問題です。私はここでも政策の是非には立ち入りませんが、「食べるものの相当部分を海の向こうから運んでいる」という事実は、シーレーンの安全という地政学的論点と直結していることだけは指摘しておきたいと思います。海上輸送が滞れば、食卓にも影響が及びうるのです。

次に資源・エネルギーです。これは前章で見たとおり、日本の構造的な弱点であり、供給源の多様化・電源構成・備蓄という三本柱で備えが講じられています。鉱物資源や工業原料についても、特定の国に集中して依存することのリスクが近年あらためて意識され、調達先を分散させる動きが広がっています。これは前々回の半導体・希少資源の話ともつながる論点です。

そして防衛です。これも先ほど見たとおり、自国だけで完結するものではなく、協力関係を含めて成り立っています。装備や技術をどこまで自国で賄えるか、という「防衛産業の自立度」も、近年あらためて注目されるようになりました。

この三つを並べて眺めると、共通する一つの教訓が浮かび上がります。それは「自立度が低い分野ほど、外部環境の変化に弱い」ということです。食料、エネルギー、防衛――どれも外への依存度が高い分野は、世界のどこかで起きた出来事が、巡り巡って自分たちの暮らしを直撃します。そしてこの構造こそが、なぜ私たち個人投資家が「日本だけ」に資産を集中させるべきでないのか、という問いへの答えのヒントになります。

少し立ち止まって考えてみてください。もし自分の資産のすべてを日本国内の資産――日本の株、日本の不動産、日本円の預金――だけで持っていたとしたら、どうなるでしょうか。食料やエネルギーの供給不安が起きて日本経済が打撃を受けたとき、自分の資産もまた同じ方向に大きく傾きます。住んでいる国、働いている国、そして資産を置いている国がすべて同じなら、リスクは一点に集中してしまうのです。これは投資の世界で「ホームカントリーバイアス(自国偏重)」と呼ばれる、よくある落とし穴です。

私自身、若い頃は無意識のうちに国内の資産に偏っていました。日本に住み、日本で事業をし、日本円で稼ぐのですから、それが自然だと思い込んでいたのです。けれども、世界の構造を学ぶうちに、「自分の生活基盤そのものが日本に集中しているからこそ、資産はむしろ外にも分散させておくべきだ」と考えるようになりました。次の章では、この発想を「防衛関連株」という具体例を通して、もう少し掘り下げてみます。

「防衛関連株」を中立的にどう見るか

防衛費の増加というトレンドを受けて、投資の世界では「防衛関連株」がテーマとして語られることがあります。安全保障環境が厳しくなり、防衛予算が増えるなら、関連企業の業績も伸びるのではないか――そんな期待から、関連銘柄に注目が集まる場面が見られます。ここでは、このテーマを政治的な賛否からは切り離し、あくまで投資の視点から中立的に整理してみます。

まず確認しておきたいのは、繰り返しになりますが、私は防衛費の増減について賛成も反対もしない、ということです。これは国の安全保障をめぐる政治的判断であり、投資家としての私が論じる領域ではありません。私が見るのは、「もし防衛関連というテーマに投資するなら、どんな性質のリスクがあるか」という一点だけです。

第一の論点は、前にも触れた「政策依存」です。防衛関連企業の業績は、国家の予算という政策要因に大きく左右されます。予算が増えれば追い風になりますが、財政事情や政治情勢が変われば、計画が見直されることもあります。市場の自然な需給ではなく、政治の判断で需要が決まる。これは、業績の予測を難しくする要因です。「政策次第で大きく振れるテーマ」だという点を、まず頭に入れておく必要があります。

第二の論点は、テーマ株特有の「過熱と急落」です。安全保障に関するニュースが大きく報じられると、関連株に一気に資金が集まり、短期間で値上がりすることがあります。しかし、期待が先行して買われた株は、現実が期待に追いつかないと分かると、今度は失望で急落しがちです。前回の宇宙・サイバーの回でも触れたとおり、私はこうしたテーマ株が「過熱と急落を繰り返す」性質を持つことを、何度も目にしてきました。ニュースの熱気に乗って飛びつくのは、思っているよりずっと危ういのです。

第三の論点は、「境界の曖昧さ」です。先に述べたように、防衛に関わる企業の多くは、防衛専業ではなく民間事業も幅広く手がけています。すると、ある銘柄を「防衛関連だから」と買ったつもりでも、実際の業績は別の事業の調子に大きく左右される、ということが起こります。テーマのイメージと企業の実態が一致しないのです。

これらを踏まえると、私の結論はこうなります。防衛関連株は「政策次第で振れるテーマ」であり、テーマ買い――つまりニュースの熱気に乗って関連銘柄に集中投資すること――は、相応のリスクを伴う。もちろん、これらの企業がよくない会社だという話ではまったくありません。高い技術力を持つ立派な企業も数多くあります。問題は企業の良し悪しではなく、「テーマに乗って集中的に賭ける」という投資手法そのものの危うさにあるのです。

では、どうすればよいのか。私の答えは、これまでの回と一貫しています。もし防衛という分野の成長を取り込みたいなら、個別のテーマ株に大きく賭けるのではなく、市場全体を広く持つ指数(インデックス)を通じて、結果的にそうした企業も含めて保有する、という形がよいと考えています。指数を持っていれば、防衛分野で成長した企業の果実は自然と取り込まれ、淘汰された企業の損失は他で薄められます。どの銘柄が勝つかを当てる必要がないのです。これが、テーマの熱狂に飲み込まれないための、地味だけれど確実な構えです。

投資家の教訓——身近な国だからこそ集中しすぎない

ここまで、日本という国の足元――安全保障、防衛、エネルギー、食料・資源の自立度――を点検してきました。最後に、投資家としての最も大切な教訓をまとめておきます。それは逆説的に聞こえるかもしれませんが、「最も身近な国だからこそ、そこに集中しすぎない」ということです。

私たちは日本に住み、日本で働き、日本円で給料や収入を受け取り、多くの場合、資産も日本国内に置いています。生活のあらゆる土台が、日本という一つの国に乗っているのです。これは自然なことですし、悪いことでもありません。けれども投資の観点で見ると、ここに大きな落とし穴が潜んでいます。生活基盤がすでに日本に集中している以上、資産までも日本に集中させてしまうと、リスクが一点に重なってしまうのです。

考えてみてください。もし日本のエネルギー供給に不安が生じ、物価が上がり、経済が停滞したとします。そのとき、あなたの収入(日本での仕事)も、住まい(日本の不動産)も、貯蓄(日本円)も、投資(日本株)も、すべてが同時に逆風を受けます。卵を全部同じカゴに入れていた、という状態です。これがホームカントリーバイアスの怖さです。「自分が一番よく知っている国だから安心」という感覚が、かえってリスクの集中を生んでしまうのです。

だからこそ私は、資産を世界に分散させることを、自分の資産設計の柱の一つにしています。日本の株だけでなく、世界中の株式市場を広く含む指数を持つ。通貨も日本円だけに偏らせない。世界の経済成長を、特定の国に賭けるのではなく、全体として取り込んでいく。こうしておけば、仮に日本が一時的に苦しい局面を迎えても、世界の他の地域が支えてくれる可能性が残ります。これは、シリーズを通じて繰り返しお伝えしてきた「世界分散」という考え方の、最も身近で切実な応用なのです。

誤解しないでいただきたいのは、これは「日本は危ない」という悲観論ではまったくない、ということです。私は日本という国を愛していますし、ここで子どもたちを育て、事業を続けています。日本の足元を点検するのは、日本を貶めるためではなく、自分の暮らしの土台を正しく理解し、賢く備えるためです。足元を知るからこそ、どこに分散すべきかが見えてくる。むしろこれは、日本で生きていく覚悟を持った人間だからこそ、たどり着く結論だと私は思っています。

借金と複利についても、いつものとおり一言だけ。私は基本的に借金には慎重で、安全保障やエネルギー情勢が不透明な局面で過大なレバレッジ(借入による投資)を抱えるのは避けたいと考えています。複利という強い力は、「借り手」として敵に回すのではなく、「資産を持つ側」として味方につける。世界に分散した資産を長く持ち続け、その成長を複利で育てていく。これが私のスタンスです。詳しくはシリーズの他の回でも触れていますので、ここでは深入りしません。

子どもたちに資産の話をするとき、私はいつもこう伝えています。「自分の足元はしっかり知りなさい。でも、足元だけにすべてを置くな」と。これは国の話でもあり、人生の話でもあります。身近なものを大切にしながら、同時にリスクは広く分散させておく。この二つを両立させることこそ、長く生き残るための知恵だと、20年の経験が私に教えてくれました。

まとめ——足元を知り、世界に分散する

今回は、宇宙やサイバーという世界規模の競争を、日本という自分たちの足元に引き寄せて点検してきました。要点を振り返ります。

日本は海に囲まれたシーパワー(海洋国家)であり、資源・食料・貿易の多くを海上輸送に依存している。世界的に防衛費が増加するトレンドのなかで、日本も関連支出を増やす方向にあるが、防衛関連の需要は政策に大きく左右される。エネルギーは輸入依存という構造的弱点を抱え、供給源の多様化・電源構成・備蓄という複数の選択肢で備えが講じられている。食料・資源・防衛という三つの自立度を点検すると、外への依存度が高い分野ほど外部環境の変化に弱いことが見えてくる。

こうした足元の理解から導かれる投資家の教訓は、「身近な国だからこそ集中しすぎない」ということでした。防衛関連株のようなテーマは政策次第で大きく振れ、テーマ買いは相応のリスクを伴います。生活基盤がすでに日本に集中している以上、資産は世界に分散させ、市場全体を広く持つ指数を土台に据える。これが、ホームカントリーバイアスという落とし穴を避け、どんな局面でも退場しないための、私なりの結論です。足元を知ることと、世界に分散すること。この二つは矛盾せず、むしろ補い合うのです。

世界の構造を学ぶ旅は、まだ続きます。シリーズを最初から振り返りたい方は第1話から、全体像を確認したい方は地政学シリーズのハブページ、そして資産形成の考え方を横断的に整理した統合ハブページもあわせてご覧ください。

次回は、さらに視野を広げて、歴史の大きな流れへと話を進めます。第14話:覇権の世界史と資産形成 へ続く。なぜ覇権を握る国は移り変わってきたのか、その大きなうねりのなかで、私たち個人が資産をどう守り育てていけばよいのか。世界に分散するという今回の結論を、歴史というさらに長い時間軸で確かめていきます。次回もご一緒できればうれしいです。

※本記事は私個人の経験と見解に基づくものであり、特定の国・政党・政策・企業を評価したり推奨したりする意図はなく、また投資を勧誘するものでもありません。投資の判断はご自身の責任で、必要に応じて専門家にご相談のうえ行ってください。

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