- はじめに ─ 「お金の話は卑しい」と教えない
- 結論:子供との金融教育は「日常×想定×階段」で進める
- あの日のミスタードーナツ ─ 「この店、儲かるの?」
- ステップ1:「想定で考える」というフェルミ推定の学び
- ステップ2:売上を想定する
- ステップ3:経費を想定する
- ステップ4:利益を計算する
- ステップ5:人件費の深掘り ─ 立場を変えて考える
- ステップ6:オーナー視点へのジャンプ
- ステップ7:株式投資への接続
- ステップ8:その後の子供の変化
- 個人事業主・投資家・大家。3つの視点を子供に見せる
- 家庭でできる金融教育シーン15選
- 他のシーンでも同じ会話ができる ─ 3つの実践スクリプト
- やってはいけない金融教育3つ
- 金融教育でありがちな、もう2つの落とし穴
- 4児パパが意識する「子供との金融教育」5原則
- よくある質問(FAQ)
- まとめ ─ 子供との金融教育は最高の家庭投資
- ▼ 5つの力シリーズ(看板ピラー8本)
- ▼ 子供との金融教育 関連記事
- ▼ 教育費・進路 関連記事
はじめに ─ 「お金の話は卑しい」と教えない
日本では「お金の話は下品」「子供にお金の話をするのは早すぎる」という空気が根強くあります。
しかし、4児シングルファーザーの僕は逆に「お金の話を子供と堂々とする」ことを意識的に実践してきました。
なぜなら、
「お金の話をタブー視する親のもとで育った子供は、お金の判断力がゼロのまま社会に出る」
からです。それは、子供のスタート位置を意図的に下げる行為だと思っています。
そして、お金の話題は日常に山ほど転がっています。
- スーパーの値札
- レストランのメニュー
- 親の給料
- 家賃・住宅ローン
- 電気代・通信費
- 投資のニュース
最も自然なのは、「子供がふと聞いてきたとき」を逃さないことです。
今回は、僕がミスタードーナツで子供と交わした”お金の会話”を全文公開します。
これは、子供との金融教育の実例として、明日からでも真似できる方法です。
結論:子供との金融教育は「日常×想定×階段」で進める
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 日常 | スーパーやレストランなど、子供が触れる場面で話す |
| 想定 | 「想定で計算してみよう」とフェルミ推定で考えさせる |
| 階段 | 従業員 → 店長 → オーナー → 株主、と視座を上げていく |
→ この3つを意識するだけで、家庭が最強の金融教室になります。
あの日のミスタードーナツ ─ 「この店、儲かるの?」
ある週末、子供たちとミスタードーナツに行きました。
ドーナツを選んでテーブルに着いた途端、上の子が突然こう言いました。
「ねえパパ、この店、儲かるの?」
僕は内心、ガッツポーズしました。
これは、金融教育の最高の入り口だからです。
「あ、それ気になるよね。じゃあ、一緒に想定で計算してみようか」と返し、ここから30分の”お金の会話”が始まりました。
ステップ1:「想定で考える」というフェルミ推定の学び
「正解じゃなくて、想定でいい」を最初に伝える
子供は「正しい答えを言わなきゃ」と緊張しがちです。
だから僕は最初にこう言います。
「これから言うのは全部”想定”。当たってなくていい。自分で考えて数字を出すことが大事だよ」
これで子供は安心して発想を広げます。
フェルミ推定の本質
フェルミ推定とは、「正確な数値が分からない問題を、論理的に推測する技術」です。
- 売上を知らない → でも席数・客単価・回転数で予想できる
- 利益を知らない → でも原価率・人件費で予想できる
これは大人の世界でコンサル・経営者・投資家が日常的に使う思考法です。
子供のうちから慣れさせるのは、お金の教育として最高の投資です。
ステップ2:売上を想定する
席数の予想
「このお店、いくつ席があると思う?」
子供「うーん、テーブルが10個くらいだから、40人くらい?」
「いい線。じゃあ、それで進めよう」
1日の回転数
「席は40。じゃあ、1日に何回お客さんが入れ替わると思う?」
子供「えっと、朝・昼・夕方・夜で4回くらい?」
「うん、それくらいかな。じゃあ40席 × 4回転 = 160人/日」
客単価
「お客さん1人がいくら使うと思う?」
子供「ドーナツ2個でドリンクだから…500円くらい?」
「いいね。じゃあ160人 × 500円 = 8万円/日」
1日の売上 → 月 → 年商
| 期間 | 売上 |
|---|---|
| 1日 | 8万円 |
| 1ヶ月(30日) | 240万円 |
| 1年 | 約2,900万円 |
「このお店、年商約2,900万円って予想できたね」
他のお店で”想定ゲーム”をやってみると分かること
この「想定で売上を計算する」やり方は、ミスタードーナツに限った話ではありません。業態が変わると、想定に使う変数も大きく変わることに気づきます。
| 業態 | 客単価の目安 | 回転数の目安 | 売上を左右する要素 |
|---|---|---|---|
| ドーナツ・カフェ系 | 400〜700円 | 3〜5回転/日 | テイクアウト比率、滞在時間 |
| ラーメン店 | 900〜1,200円 | 4〜6回転/日 | 行列の有無、営業時間の長さ |
| ファミリーレストラン | 1,000〜1,500円 | 2〜3回転/日 | 座席の広さ、滞在時間の長さ |
| コンビニ | 500〜700円 | 桁違いに多い(時間帯を問わず入店) | 立地、品揃え、24時間営業 |
子供と一緒に「今度行くお店」で同じ計算をしてみると、業態ごとの利益構造の違いが体感として身につきます。
子供は目を丸くしました。「お店ってそんなに動いてるんだ…」と。
ステップ3:経費を想定する
「でも、売上が全部利益じゃないよ。経費があるから」
原価率
「ドーナツ1個100円で売ってるとして、材料費はいくらだと思う?」
子供「うーん、30円くらい?」
「正解。飲食店の原価率は約30%って言われてるよ」
→ 売上240万円/月 × 30% = 原価72万円
人件費
「店員さんは何人いる?」
子供「3人くらいかな」
「時給1,200円で1日8時間、月22日働くと…1,200×8×22 = 約21万円/人」
→ 3人 × 21万円 = 63万円/月
家賃
「商業地のテナントだから月30万円くらいかな」
水道光熱費・その他
「電気・水道・ガス・廃棄・備品で月15万円くらい」
経費合計
| 経費 | 月額 |
|---|---|
| 原価(材料費) | 72万円 |
| 人件費(3人) | 63万円 |
| 家賃 | 30万円 |
| 水道光熱費・その他 | 15万円 |
| 経費合計 | 180万円 |
原価率・経費構造は業種でまったく違う
「原価率30%」は飲食業の目安であって、すべての業種に当てはまるわけではありません。ここも子供に伝えると、視野が一気に広がります。
| 業種 | 原価率の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 飲食業 | 25〜35% | 材料の仕入れコストが中心 |
| 小売業(スーパーなど) | 65〜75% | 仕入れて売るだけなので原価率が高い |
| アパレル | 30〜50% | 季節ごとの在庫リスクが大きい |
| ITサービス・アプリ | 10〜20% | 一度作れば複製コストがほぼゼロ |
「同じ100円でも、業種によって手元に残るお金の割合が全然違う」ということを知るだけで、子供のビジネスを見る目は大きく変わります。
固定費と変動費の違いも教える
経費には、売上が増えても減っても変わらない固定費(家賃、正社員の給料など)と、売上に応じて増減する変動費(材料費、時給スタッフの人件費など)があります。
「お客さんが1人も来なくても家賃は払わなきゃいけないよね?これが固定費。逆に、お客さんが来なければ材料費はかからない。これが変動費」と説明すると、子供でも直感的に理解できます。
ステップ4:利益を計算する
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 売上 | 240万円 |
| 経費 | -180万円 |
| 利益 | 60万円 |
「このお店、1ヶ月で60万円の利益が出てる予想だね」
子供「えっ、めっちゃ稼いでる!」
「でもね、年間で計算すると…」
| 期間 | 利益 |
|---|---|
| 1ヶ月 | 60万円 |
| 1年 | 720万円 |
「年720万円の利益。だけど、この全部がオーナーの取り分ではないんだよ」
損益分岐点という考え方
「じゃあ、このお店は1日にお客さんが何人来たら、赤字にならずに済むと思う?」という質問も効果的です。
固定費(家賃30万円+水道光熱費15万円など、売上に関係なくかかるお金)を、1人あたりの利益(客単価から変動費を引いた金額)で割ると、赤字にならないために必要な人数が見えてきます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月間の固定費(家賃・水道光熱費など) | 約45万円 |
| 客単価 | 500円 |
| 1人あたりの変動費(原価など) | 約150円 |
| 1人あたりの利益(限界利益) | 約350円 |
| 損益分岐点となる来客数 | 約1,286人/月(1日約43人) |
「1日43人以上来れば黒字、それより少ないと赤字。さっき160人来る想定だったから、かなり余裕がある経営だね」と伝えると、子供は「赤字」「黒字」という言葉の意味を数字で理解します。
ステップ5:人件費の深掘り ─ 立場を変えて考える
質問1:「アルバイトとして、時給いくらなら働きたい?」
子供「1,500円くらいかな」
「日本のアルバイト平均は1,100〜1,300円。だから1,500円ならかなり良い時給だよ」
→ アルバイトの立場で労働市場を意識させる。
質問2:「自分が店長なら、アルバイトを時給いくらで雇いたい?」
子供「うーん…1,000円かな?」
「そうだね、雇う側はできるだけ安く雇いたい。1,500円欲しい人と1,000円で雇いたい人で、せめぎ合いするのが労働市場なんだ」
→ ここで初めて「労働には2つの視点」があると理解します。
質問3:「どれくらい儲かるなら、店長をやってみたい?」
子供「うーん、月50万円くらい貰えるなら」
「いいね。じゃあ、店長の年収600万円。でも店長は朝から夜まで働く責任もあるよ」
→ 責任とリターンの関係を学ぶ瞬間。
労働分配率という視点も加える
「さっき人件費は63万円、売上は240万円だったよね。人件費が売上に占める割合を計算してみよう」と聞いてみます。
63万円 ÷ 240万円 ≒ 26%。これが労働分配率です。一般的に飲食業では人件費率が25〜35%程度に収まると経営が安定すると言われています。
「働く人にちゃんと給料を払いながら、お店も利益を出す。このバランスを取るのが経営者の一番大変な仕事なんだよ」と伝えると、雇う側の悩みにも想像が及ぶようになります。
ステップ6:オーナー視点へのジャンプ
「働かなくても儲ける方法がある」と気づかせる
「ここで質問。店長として働かなくても、お店を持つ方法ってあると思う?」
子供「えっ、どういうこと?」
「自分は別の仕事をしていて、お店は人を雇って運営するんだ。これがオーナー」
子供「あー、社長みたいな?」
「そう。お店のオーナーは月60万円の利益から、店長や従業員に給料を払って、残りを受け取るんだ」
「お店を丸ごと買う」発想
「お店を1店舗持つには、開業に2,000〜3,000万円くらいかかる。これが初期投資」
子供「そんなに!?」
「でもね、年間720万円の利益があれば、4年で元が取れる計算になる」
子供「お店持つって悪くないね…」
オーナーの取り分から、さらに引かれるものがある
「さっき年720万円の利益があるって言ったけど、これがそのままオーナーのお財布に入るわけじゃないんだ」と続けます。
会社の利益には法人税がかかります。仮に税率を30%とすると、720万円の利益のうち約216万円は税金として納め、手元に残るのは約504万円です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 会社の利益 | 720万円 |
| 法人税(仮に30%) | -216万円 |
| オーナーに残る利益 | 約504万円 |
「儲かっているように見えても、税金や借入の返済など、外から見えないお金の流れがたくさんある」と伝えると、数字の裏側を見る癖がつきます。
「お店」だけじゃない。「不動産」でも同じ話ができる
僕自身は個人事業主として働きながら、兼業で不動産投資(大家業)もしています。この話は、子供にとってもう一つの”オーナー視点”を学ぶ良い教材になります。
「アパートを1棟買って、部屋を人に貸す。家賃という”売上”から、ローンの返済・管理費・修繕費という”経費”を引いた残りが利益になる」という構造は、お店の経営と本質的に同じです。
「お店は毎日ドーナツを売って利益を出す。アパートは毎月家賃をもらって利益を出す。どっちも”何かを持っていて、それが働いてお金を生む”という点は同じなんだよ」と伝えると、株式・不動産・事業という3つの資産が子供の中で1本の線としてつながります。
ステップ7:株式投資への接続
「お店を丸ごと買うのが大変なら、お店の一部を買う方法もあるよ」
子供「一部?」
「うん。例えばミスタードーナツの会社全体は、何千店舗もある巨大な会社だよね。
その会社をたくさんの人で少しずつ分けて持つ仕組みが、株式なんだ」
株式 = お店の所有権の小さなかけら
| 観点 | 個人店オーナー | 上場企業の株主 |
|---|---|---|
| 持ち分 | 100% | 1株単位(数万分の1) |
| 必要な資金 | 2,000〜3,000万円 | 数千円〜 |
| 経営 | 自分で意思決定 | 経営者に任せる |
| 利益の受取 | 全額 | 配当として一部 |
| 売却 | 大変・時間がかかる | 証券口座で即売却 |
「株を買うってことは、その会社の小さなオーナーになるってこと」
配当 = オーナー収益の分配
「会社が儲けたお金の一部は、配当として株主に分けてくれる」
「ミスドの親会社のダスキンも、毎年配当を出してるよ」
子供「じゃあ、株を買ったら、寝てる間にお金が入ってくるの?」
「そう。それをインカムゲインって言うんだよ」
→ ここで初めて、「働く」以外でお金が入る仕組みを子供が理解しました。
詳しくはお金を増やす力・20年運用の高配当株ポートフォリオ公開で。
配当を再投資すると、どうなるか ─ 複利のシミュレーション
「さっき、株を持ってると寝てる間にお金が入るって言ったよね。じゃあ、そのお金をまた株に使ったらどうなると思う?」と聞いてみます。
仮に毎年10万円を、年率5%で運用しながら積み立て続けた場合の想定を一緒に計算してみます。
| 経過年数 | 積立元本 | 運用後の想定額(年率5%) |
|---|---|---|
| 5年 | 50万円 | 約58万円 |
| 10年 | 100万円 | 約132万円 |
| 20年 | 200万円 | 約347万円 |
| 30年 | 300万円 | 約697万円 |
「同じ100万円を積み立てても、時間をかけるほど増え方が加速していくよね。これが複利っていう仕組み」と説明します。
「早く始めるほど有利」という事実は、数字で見せると子供の納得感がまったく違います。投資歴20年の実感としても、複利の効果は最初の数年ではなく、後半になるほど効いてくるものです。
配当利回りと配当性向という2つの数字
もう少し踏み込んで、「配当利回り」と「配当性向」という2つの言葉も紹介できます。
- 配当利回り=株価に対して年間いくら配当がもらえるかの割合(例:株価2,000円で年間配当60円なら利回り3%)
- 配当性向=会社が稼いだ利益のうち、どれだけを配当に回しているかの割合(残りは会社の成長のために再投資される)
「配当性向が高すぎる会社は、将来の成長に投資するお金が少なくなる。逆に低すぎると、株主への還元が薄い。どちらもバランスが大事なんだ」と伝えると、単に配当が多いか少ないかだけでは判断できないという視点が育ちます。
ステップ8:その後の子供の変化
翌週、子供は本屋に行きたいと言った
「お金の話の本ないかな?」と。
ジュニア向け金融教育の本(『13歳からの億万長者入門』など)を選んで読み始めました。
スーパーで「これ原価率いくらかな?」と聞くようになった
ペットボトル飲料の原価率、コンビニ弁当の原価率──
自然に経営者目線で世の中を見る子供に成長しています。
お年玉の使い方が変わった
以前:欲しいものを即購入
今:「これって本当に欲しい?それとも貯めて株を買う?」と自問
→ 一回の会話が、子供の意思決定の質を大きく変えました。
個人事業主・投資家・大家。3つの視点を子供に見せる
僕は個人事業主として働きながら、株式投資と不動産賃貸(大家業)を並行してやってきました。この「3つの立場」を子供に見せられることは、金融教育の大きな強みだと感じています。
個人事業主の視点:「売上と利益は別物」を体で見せる
会社員の家庭だと、給料は毎月決まった額が振り込まれます。しかし個人事業主の家庭では、売上が上がった月・下がった月の波を、子供も何となく肌で感じ取ります。「今月は忙しかったのに、経費もたくさんかかったから手取りはそんなに変わらなかったよ」といった会話が、自然と売上と利益の違いを教える教材になります。
投資家の視点:「お金にも働いてもらう」を実感させる
証券口座の資産残高が増えたり減ったりする様子を、隠さずに見せることもあります。「今日は下がってるね。でも長く続けていると、こういう日は何度もあったよ」と伝えることで、短期の値動きに一喜一憂しない姿勢を、言葉ではなく態度で見せることができます。
大家の視点:「モノを貸して利益を得る」仕組みを見せる
賃貸物件の家賃収入や、修繕・空室といった悩みも、子供にとっては新鮮な話です。「入居者さんが決まらないと家賃が入らない。だから設備を整えたり、家賃を見直したりする」といった話は、需要と供給、価格設定という経済の基本を具体的な事例で教えられます。
3つの立場を同時に持っているからこそ、「働いて稼ぐお金」「お金に働いてもらうお金」「モノを貸して得るお金」という3種類の収入源を、体験談として語れるのが、この生き方の一番のギフトだと思っています。
家庭でできる金融教育シーン15選
ミスタードーナツに限らず、日常の至るところに金融教育のチャンスがあります。
| シーン | 学べること |
|---|---|
| スーパーで値札を見る | 価格・物価感覚 |
| レストランでメニューを見る | 原価率・利益構造 |
| 電気代の請求書 | 固定費の意識 |
| 親の家計簿 | 収入と支出のバランス |
| 株価ニュース | 経済の動き |
| 不動産のチラシ | 価格・利回り |
| お年玉の使い道 | 消費・投資・貯蓄の選択 |
| ガソリンスタンドの価格表示 | 原油・為替の影響 |
| コンビニのアルバイト求人 | 労働市場・最低賃金 |
| 自販機 | 原価・設置料・利益 |
| ATM手数料 | サービスの対価 |
| 商店街の閉店セール | ビジネスのライフサイクル |
| サブスクの請求 | 継続課金モデル |
| 保険のCM | 確率と統計 |
| 老人ホームの料金表 | 老後資金の現実 |
→ どれも「会話のきっかけ」として使えます。
他のシーンでも同じ会話ができる ─ 3つの実践スクリプト
「想定で計算する」型の会話は、ミスタードーナツに限らず、どんな場所でも応用できます。実際に使っている会話例を3つ紹介します。
スクリプト1:回転寿司で
子供「この店、お皿1枚100円なのに、儲かってるの?」
親「じゃあ考えてみよう。このお店、席いくつあると思う?」
子供「30席くらい?」
親「1人が食べるお皿、何枚くらいだと思う?」
子供「10枚くらいかな」
親「じゃあ1人1,000円。30席が1日3回転したら…」
→ 同じ手順で、席数×回転数×客単価を子供に計算させます。
スクリプト2:コンビニで
子供「コンビニってお弁当以外に何で儲けてるの?」
親「いい質問。レジの後ろに何があるか覚えてる?」
子供「タバコとかチケットとか」
親「実は、お弁当より原価率が低くて儲かる商品もあるんだよ。何だと思う?」
→ 商品ごとに利益率が違うという発想を育てる会話です。
スクリプト3:ガソリンスタンドで
子供「ガソリンの値段、なんで毎週変わるの?」
親「ガソリンの値段って、何で決まってると思う?」
子供「石油の値段?」
親「そう。あと為替も関係してる。1ドル何円かで、輸入する石油の値段が変わるんだ」
→ 原油価格・為替という、少し大きな経済の話につなげられます。
やってはいけない金融教育3つ
NG1:押し付ける
「お金は大事。だから貯金しなさい」
→ 命令されると子は反発します。「想定で考えてみよう」の姿勢で。
NG2:恐怖で教える
「お金を使うと貧乏になるよ」
→ お金への恐怖心は経済的判断を歪める。「使うことも大事」を伝える。
NG3:他の子と比較する
「○○ちゃんはお小遣い帳つけてるのに」
→ お金リテラシーは個人の関心領域で育つ。比較は禁物。
詳しくは4児パパの教育方針で。
金融教育でありがちな、もう2つの落とし穴
NG4:専門用語を使いすぎる
「インカムゲイン」「損益分岐点」といった言葉を、説明なしにいきなり使うと、子供はその場で興味を失います。専門用語は、会話の”最後”に種明かしとして出すのがコツです。先に体験させ、後から名前をつける順番を守ると理解が定着します。
NG5:一度にすべてを教えようとする
ミスタードーナツでの30分の会話も、実際には売上・経費・利益・労働・オーナー視点・株式と、段階を踏んで進めました。一度に全部詰め込もうとすると、子供は消化不良を起こします。1回の会話でテーマは1〜2個までに絞り、続きはまた別の機会に持ち越すくらいがちょうどいいペースです。
4児パパが意識する「子供との金融教育」5原則
原則1:日常で話す
特別な場ではなく、ふとした会話で。
原則2:想定で考えさせる
正解より「自分で数字を組み立てる」プロセスを大切に。
原則3:視座を上げる階段を作る
従業員 → 店長 → オーナー → 株主、の順で視点を高める。
原則4:失敗を歓迎する
「想定が外れた」「お小遣いを使い切った」も大事な学び。
原則5:親自身がモデルになる
親がお金の話を堂々とする姿が、最大の教育。
よくある質問(FAQ)
Q1. 何歳から金融教育を始めるべき?
A. 小学校低学年から。
数字が分かるようになれば、簡単な会話で十分。
Q2. 専門的すぎて子供が理解できないのでは?
A. 専門用語を使わなくてOK。
「お店を丸ごと持つ」「働かずに儲ける仕組み」など、子供の言葉に翻訳する。
Q3. 親自身が金融知識に自信がない
A. 「想定で一緒に考える」スタンスでOK。
親が知らないことは「一緒に調べよう」が最高の教材。
Q4. お小遣いはいくらが適切?
A. 年齢×100〜200円が目安。
重要なのは「使い道を子供に任せる」こと。
Q5. 投資を子供にやらせるべき?
A. ジュニアNISA廃止後は親NISAで代替。
お年玉や児童手当の一部を「お前のために運用しているお金」として可視化するのがおすすめ。
Q6. きょうだいで理解度に差がある場合はどうする?
A. 年齢や興味に応じて、話す深さを変えてOK。
全員に同じ内容・同じレベルで話す必要はありません。一人ひとりのペースに合わせて、簡単な質問から始めれば十分です。理解度に差が出るのはごく自然なことなので、無理に揃えようとしないことが大切です。
Q7. フェルミ推定は、お店の話以外にも使える?
A. 使えます。
「日本にコンビニは何軒あると思う?」「この街に犬は何匹いると思う?」といった、答えが分からない問いを一緒に想定していくゲームは、算数や社会科の学びにもつながります。
Q8. 金融教育に便利なツールはある?
A. 特別なツールは不要。
紙とペン、電卓(またはスマホの電卓機能)があれば十分です。家計簿アプリや証券口座の残高画面を見せるだけでも、十分な教材になります。
Q9. 投資に対して家庭内で抵抗感がある場合は?
A. 「ギャンブルではなく、会社を応援する仕組み」だと伝える。
投資への抵抗感の多くは、「投資=ギャンブル」という誤解から来ています。「株を買うということは、その会社を応援して、一緒に成長する仲間になるということ」だと繰り返し伝えることで、抵抗感は少しずつ薄れていきます。
Q10. 学校の金融教育と、家庭での金融教育は何が違う?
A. 学校は制度、家庭は実感。
学校では新NISAの仕組みや金利の計算式など、制度としての知識を学べます。一方、家庭でしか教えられないのは、「親自身がどう考えて、どう判断しているか」という生きた実感です。両方があって初めて、子供の中に実践的な金融リテラシーが育ちます。
まとめ ─ 子供との金融教育は最高の家庭投資
| 原則 | アクション |
|---|---|
| 日常で話す | ミスド・スーパー・自販機など |
| 想定で考えさせる | フェルミ推定で売上・利益を計算 |
| 視座を階段にする | 従業員→店長→オーナー→株主 |
| 失敗を歓迎 | 想定外れも貴重な学び |
| 親自身がモデル | 親が堂々と話す姿勢 |
「子供との30分のお金の会話」が、子供の生涯の金融判断力を変えます。
20年事業主×4児パパとして、「金融教育は家庭でやる以外にない」と心の底から思っています。
学校では教えてくれない。
親自身が、毎日の会話の中で伝えていくしかない。
ミスタードーナツに行った日のあの30分は、僕にとって最も価値ある親子時間の1つでした。
▼ 5つの力 シリーズ
– 131 家計を経営する P/L・B/S
– 132 7大固定費見直し(貯める力)
– 133 お金を増やす力(株式×不動産×複利)
– 134 お金を稼ぐ力(転職×副業)
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▼ 関連記事
– 子どもとのお金の話し方
– 4児パパの教育方針
– 新NISA完全攻略
– 20年運用の高配当株ポートフォリオ公開
– SBI証券 vs 楽天証券 徹底比較
▼ 5つの力シリーズ(看板ピラー8本)
- ①家計を経営する|P/L・B/Sで家計の真実が見える
- ②お金を貯める力|4児パパが見直した7大固定費
- ③お金を増やす力|株式×不動産×複利
- ④お金を稼ぐ力|転職×副業×法人化
- ⑤お金を守る力|詐欺・保険・分散・税金・借金・契約
- ⑥お金を使う力|時間・健康・思い出に投資
- 【金融教育①】子供と”お金の話”を堂々と(本記事・ミスドで学ぶ)
- 【金融教育②】子供が”YouTubeをやりたい”と言ったら


